製品化学物質の情報伝達について(その10)サプライチェーン上の位置

製品化学物質の情報伝達について:第2シーズン

アンケート結果を受けて書くもの決めましたでお知らせしたように、皆様から続けてほしいという要望の多かった製品化学物質の情報伝達についての第2シーズンを始めます。
前回は、どんな情報伝達のリクエストが来るのか、それはどういったものなのかという点を中心に記述していました。リクエストに対する返答の仕方というかそういうのはあまり書いていません。

第2シーズンでは、立場や業種の違いや返答はどうするのか、というようなことにも少しは記述したいと思います(過大な期待をされても困ります(^^;)。第1シーズンと被るところはなるべく引用で済まそうと思いますが、抜けがあってもご容赦ください。

サプライチェーンにおける自社の位置はどこか

製品化学物質の情報伝達に関しては、自社がサプライチェーンのどこに位置しているのか、そして何を製造したり販売しているのかによって、実施することやその負荷が非常に異なってきます。管理人は、製品化学物質管理に関するセミナーの講師もやっているのですが、受講者の皆さんの会社が何を作っているのかによって質問が異なることも感じています。

最下流メーカー(一般市場に自社ブランド製品を出すメーカー)

自分の会社が、サプライチェーンの最下流に位置している方が製品化学物質の情報伝達に関して気にすることは、川中の企業や上流側の企業とかなり異なります。「自社製品をグローバルに展開するメーカー~ 最川下企業の役割 ~(第1版)が公開されました」で紹介したとおり、ここ立場の企業向けたガイダンスができるくらいです。
最下流メーカーは、製品化学物質情報伝達の依頼の起点になります。この理由は、その企業は売るつもりである国の規制に対応した製品を製造しなければならないことに主な理由があります。
従って、最下流メーカーの悩みの多くは、調査しても回答が得られないと言うことになります。最下流メーカーの製品は、部品点数が非常に多いのが普通で、下手すれば何万点もの部品に関する調査が必要になります。全部のデータがまともに得られることはほとんど無いと言っても過言では無いかもしれません(^^;。

川中メーカー(部品原材料を調達して、自社独自の製品(部品や化成品)を製造するメーカー)

川中メーカーは、サプライチェーンの中核を形成しています。その種類は様々で、川下(下流)よりであれば成形品を加工組み立てする会社もあるでしょうし、金属加工、プラスチック成形なども含まれるかもしれません。
川上(上流)よりであれば化学品を調達して接着剤や塗料と言った化成品を製造したり、機能性のフィルムを製造したり等と言うこともあるかもしれません。
一方、メッキや塗装などの表面処理を行う会社も川中メーカーに入ると思われます。
川中メーカーの悩みは、川下から訳のわからない製品化学物質の情報伝達の依頼がくることや川上からは調査をお願いしても返事が来ないことなど、多くの問題が川中企業に集約されてしまっていることだと思います。

川上メーカー(原材料を製造しているメーカー)

最上流メーカーという場合何処までさかのぼるんだと言う話になるので(まさか鉱業じゃないよね)、一般に言われる原材料メーカーという形にしておきます。石油化学コンビナートの生産品なんて切り分けが結構面倒くさいのではないかと素人ながら考えてしまいます。これらの会社においては、基礎素材が作られるので(鉄とか銅とかもそうでしょうし、無機化合物とか石油化学製品もあります)、製品化学物質の情報伝達に関して言えば、ほぼ答える立場になります。
川上メーカーの悩みは、当然、川下からですが、こんなこと我が社に聞いてもわからないだろうという要求が来たり、含有禁止と書いてあるけどどういう意味なんだろう(保証なんかできないぞ)。等といった、原材料を熟知した故の悩みが存在します。

商社(直接製造はしていないが、サプライチェーン上の売買には関係する)

上記の川下、川中、川上のメーカー以外に、サプライチェーン上重要な役割を担っているのが商社です。実際の取引は、商社を通じて行われることはごく普通に存在します。
従って、製品化学物質の情報伝達に関しても役割を担うと考えるのが普通です。
chemSHERPA HPの管理ガイドラインページの下の方には、製品含有化学物質の管理および 情報伝達・開示に関するガイダンス「商社ガイダンス(第3版)」が載っておりどのように情報伝達をすべきか考え方が書いてあります。
これを読むと「そんなん、できるわけがないだろ!」とぶち切れる方がいらっしゃると思いますが、管理人はガイドラインの通りだと思います。

まとめ

製品化学物質の情報伝達においては、

製造メーカーでもサプライチェーン上の位置によって、やることと悩みは異なります。
商社も、サプライチェーン上の役割は担わなければなりません。

以上のことから、顧客や調達先とのコミニュケーションが非常に大切です。