2019年7月22日から、欧州のRoHS指令で制限される物質に従来の6物質のほかに、4種類のフタル酸エステルが加わることは、製品含有化学物質の仕事をされている多くの方がご存知だと思います。ただし、カテゴリー8と9の製品は、制限される時期は、2021年7月22日です。
このブログでも以前に4回ほど書かせていただきました(1回、2回、3回、4回)。
RoHS指令ってなんだという方は、こちらあたりから遡ってみてください。
規制されるフタル酸エステルをもう一度確認しておきましょう。
- Bis(2-ethylhexyl) phthalate (DEHP) フタル酸ビス(2-エチルヘキシル) CAS番号 117-81-7
- Butyl benzyl phthalate (BBP) フタル酸ブチルベンジル CAS番号 85-68-7
- Dibutyl phthalate (DBP) フタル酸ジブチル CAS番号 84-74-2
- Diisobutyl phthalate (DIBP) フタル酸ジイソブチル CAS番号 84-69-5
これらのフタル酸エステルの中で日本において最も生産量が多いものは、DEHP フタル酸ビス(2-エチルヘキシル) で全可塑剤生産量の約半分を占めます。これは、日本可塑剤工業会のHPのデータから確認できます。
また、DEHPの使用用途は、塩ビ樹脂(PVC)の可塑剤としての用途が最も多く、そのほとんどといってよい量です。これは、塩ビ工業・環境協会のHPの安全性のページで確認することができます。
一方、欧州では、DEHPも含め、今回RoHS指令で制限されるフタル酸エステル4物質は、REACH規則で認可対象物質になっており、製造も輸入もほとんどできない状態になっています。(こちらは統計データなどの根拠を示せなくて申し訳ないです。)
つまり、DEHPという物質は、日本も含めたアジアには大量に存在するが、欧州では使用量が少ない状態に既になっているということです。
今回制限されるフタル酸エステル4種類は、明らかに日本も含めたアジア地区でRoHS指令の対象となる部品・製品を作っているメーカーにとって、規制対応するのに手間がかかる、つまりリスクが高い状態を引き起こす物質と管理人は考えます。
ただし、制限がかかるのがこの7月22日からですから、輸送や在庫のことを考えれば、今作っている製品は当然フタル酸エステルに対する対応はすでに終わっていなければならないのが普通です。いやまだ終わっていないという方は、早急に対応しないと間に合わないと思います。
既にピークは過ぎたと思いますが、最近話題になっているフタル酸エステルの移行に関する問題は、次回に述べたいと思います。
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