あけましておめでとうございます、本年もよろしくお願いします
あけましておめでとうございます。本年もブログ「化学物質管理の話」をよろしくお願いします(一応今年は続けるつもりです)。
こういう記事を書いてほしい、こんな内容も欲しいというリクエストは、随時受け付けておりますので、メール、コメント等でよろしくお願いいたします。
それでは、昨年もやりましたが、管理人が勝手に考える今年の成形品に関する化学物質管理における注目内容を記載したいと思います。
今年の内容の前に昨年の振り返り
今年の管理人の好き勝手な注目内容の前に、昨年1年間で当ブログで読まれた記事Top10(Homeページやカテゴリーページは除き記事のページのみで順位付け)は、以下のようなものです。
第1位 TSCAの第6条関係が騒がしい?
第2位 chemSHERPAとは何ですか?
第3位 そもそもchemSHERPAって何ですか?
第4位 shaiという拡張子が付いたファイルが開けない:chemSHERPA Tool
第5位 shciという拡張子が付いたファイルが開けない:chemSHERPA Tool
第6位 chemSHERPA-CIとchemSHERPA-AI
第7位 REACH規則Annex XVII 制限物質について
第8位 EPAがTSCAの5つのPBT物質への規則で追加パブリックコメント募集
第9位 化審法施行令の一部が改正され「2・2・2―トリクロロ―1―(2―クロロフェニル)―1―(4―クロロフェニル)エタノール」及び「PFOA又はその塩」が第一種特定化学物質に指定されました
第10位 chemSHERPA-CI入力支援ツールのデータの見方(成分情報画面)
こう見てみると、昨年は、第1位と第8位にTSCAの6条関係が入ってきています。PBTの5物質(特にPIP (3:1))の調査に皆さん振り回された年だったということがわかります。
PIP(3:1)は、実際にはあちこちに使われていて、業界全体として調査がちゃんとされていなかったという落とし穴まであったからですね。
それ以外、上位には未だにchemSHERPAに関する基本的な事柄に関するアクセスが非常に多いことがわかります。今まで使用していなかったメーカーや業界にも普及というか使用の波が来ているということでしょうか。
第9位に唯一PFOAに関連する記事が入っています。去年は、4記事も入っていたのでそれに比べるとだいぶ落ち着いてきたという感じだと思います。
今年は、どういったものがトレンドになっていくでしょう。管理人の勝手な思い付きですのであてにしないように。
フッ素系化合物についての動向に注意
化審法におけるPFOAに関する規制内容は、上の第9位の記事にあるように「PFOA又はその塩」が第一種特定化学物質に指定されました。しかしながら、PFOA関連物質についてはまだ規制が決まっていない状況なので、今年動きがあると思います。
海外に目を向けるとPOPs条約では、 ペルフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)とその塩及び PFHxS 関連物質が、次回のCOP会議(2022年6月?)で附属書A(廃絶)に入るでしょう。
もうすでにこの物質の調査は、色々回っているようですね。ですが、化審法に取り入れられるのは、POPs条約で決められた後になります。
更には、PFAS(PerFluorinated Alkyl Sulfonates)もしくは、 (PolyFluorinated Alkyl Sulfonates) という感じで、フッ素系有機化合物全般に対する規制強化の話も、EUやアメリカで議論されているようです。
PFASをPerの意味かPolyの意味かどちらで使っているかはかなり重要そうです。
いずれにしろ、 PerFluorinated Alkyl Sulfonatesの方は、今後規制強化されるのは間違いないでしょう。動向に注意したほうが良いでしょう。
RoHS指令の制限物質について
欧州RoHSについては、昨年も
“Study for the review of the list of restricted substances and to assess a new exemption request under Directive 2011/65/EU (RoHS 2) – Pack 15”.
で次の追加制限物質が議論されているということを書きました。その報告書が出ましたね。
評価された7物質のうち、規制の推奨をされた物質は以下の二つです。
- Medium chain chlorinated paraffins (MCCPs) – Alkanes, 14-17, chloro
- Tetrabromobisphenol A (TBBP-A, flame retardant)
まだこれから審議にかかっていく段階ですが、本年中に何らかの動きがある可能性はあります。
それとRoHSの適用除外については、常にウォッチしておいた方がいいのは、今年も変わりません。
また、各国RoHSにおいても規制するカテゴリーの追加や、フタル酸エステル4種類の規制を行う国も増えてくると思われますので注意しましょう。
SCIP databaseは欧州のもの
SCIP databaseへの通知は、昨年の1月5日から義務化され、SCIP database Ver.2.0は、11月24日に利用可能になりました。
ですが、SCIP databaseは、欧州におけるdatabaseでほかの国にとっては情報提供だけできれば、問題ない規制と言えます。
管理人の感覚では、何度も書いていますが現状では何の役に立つのかよくわからないというのが正直な感想です。
今年は国内の規制に関しても注目
実のところ、今年は日本の化学物質管理に関する法改正に対応して作業が増えることがすでに決まっています。
化管法の政令改正:ごくたまには事業所の化学物質管理や労働安全衛生法の政令、省令の一部改正に関して意見募集が出ています
で紹介しましたが、SDSやPRTRで管理しなければならない物質が大幅に増えます。これに伴って、SDSの書き換えやPRTR用のシステム変更なども必要になってくるでしょう。もちろん移行期間はあるわけですが、悠長にはしていられない状況だと思います。
化学品を取り扱っている方は、特に注意が必要です。
その他の規制について
管理人は、海外の化学品の規制についてはあまり詳しくありません。ですが、色々な国で化学品に関する規制が厳しくなりつつあるのは事実です。
今や、見ておかなければいけない国は、欧米や東アジアの国だけではありません。東南アジア、中近東、旧ソ連の国々、アフリカ、オセアニア、南米と世界中といってもいいほどです。
自社が、海外に直接(または代理店を通じて)もの(成形品でも化学品でも)を出しておられる方は、相手国にどのような規制があるかは把握しておいた方が良いと思います。
幸い、アメリカのTSCAにおけるPIP(3:1)は、使用に関する遵守日の延長が示されたため、今年は大きな混乱はなく、粛々と調査と代替を行っていくことになるでしょう。
ですが、POPs条約で取り上げられている、
- デクロランプラス並びにその syn-異性体及び anti-異性体 難燃剤
- UV-328 紫外線吸収剤
- メトキシクロル 農薬
などについては、調査がかかる、代替要求などあるかもしれません。管理人の予想では、下の二つの物質はあまり問題にならないかなと思っています(あくまで予想です)。
いつものお願い
最初にも書きましたが、当ブログ、今年は続けるつもりです。
ということで、最後にいつものお願いです。当ブログはリンクフリーです。サプライチェーン上の化学物質管理や情報伝達は、ものの売買をするお互いの理解と協力が不可欠です。その点において当ブログが少しでも役に立つのと思われた方は、皆様のサプライチェーン上に当ブログの拡散をお願いいたします。
コメント
いつもありがとうごさいます。
早速、とあるお客様のグリーン調達ガイドラインに突然、PFASが禁止物質(レベル1では無い)となっていまして右往左往しています。
そもそも、PerとPolyは違う物質を意味してるのでしょうか?
川上に調査依頼をしたほうがいいのか迷っているのですが、もうすぐsvhcも公開されそうですし、お互い負担が大きいな~と悩んでいます。
毎日お仕事様、コメントと質問(?)ありがとうございます。管理人です。
えー、もうPFASに制限がかかっているんですか?それあまりにも早いような、、、。
PerとPolyの違いですが、炭化水素鎖のHが全部Fに置き換わっているのがPerで一部が置き換わっているのがpolyです。
ですので、PerよりもPolyの方が大幅に広い範囲が対象になります。
お客様にPerなのかPolyなのか聞いてみるのはありかもしれませんね。
調査されても、川上も困りそうですね。使ってないことがわかりきっているところ以外、すぐにはまともな答えが返ってこないのではと予想します。
だからどうしたらいいという答えは管理人持ち合わせていないんですが。
管理任さま。
返信、どうもありがとうございました。
PFASは、ちょこちょこ耳にしていて、物質が沢山あることはわかっていたんですが…
PerなのかPolyは、とてもわかりやすく助かりましたとのことです。
私はちんぷんかんぷんですか。
どうするかは、うーんですね。
負担が増し増しですね。
毎日お仕事様、お返事ありがとうございます。管理人です。
いや、毎日お仕事様の質問だと思ってました。別の担当の方の役に立ったということですね。
まあ、役に立ったならそれでもいいや(^^;。
今後ともよろしくお願いします。コメントあると元気が出ますので。
弊社は加工部品のASSYメーカです
最近、POPs関連でPFCAs(C9-C14)とMCCPの調査依頼が来ており
POPsを意図しているなら「経産省が意図的な添加用途を把握するための調査」のはずが
何故か「閾値25ppbの非含有保証」の調査にすり替わっており
どこから突っ込めばいいのか頭を抱える日々
そんな最中ふと気になったのですが
MCCPは加工助剤に添加されるケースがあるとのこと
・意図的含有の有無はSVHCなどで行っている調査を転用
・非意図的含有はPOPsの結果、副生成物が生じる条件等が明るみになるだろうからそこでフォロー
とするとして
加工助剤に入っていた場合、洗浄工程で洗い落とされるとは思いますが
25ppbレベルの閾値だと洗浄不足で残留する可能性はあるのでは?
でも、POPsで廃絶が決まったら、その加工助剤そのものが廃止になるから洗浄不足も関係ないのでは?
いや、加工メーカが長期在庫として加工助剤を買いだめしていて、生産中止加工助剤を使い続けて洗浄不足だと、うちに収められている納入品に残留している可能性は?
加工助剤を調べれば良いんだろうけど、長期在庫品って助剤メーカも答えてくれないのでは?
そもそも、スクリーニング試験が定義されていないんだから、仮に残留してても実際に摘発される事はありえないのでは?
とモヤモヤしています
普段は助剤は洗浄工程で落ちるって認識なのでフォローが甘いのですが
閾値25ppbレベルの規制における助剤の残留ってどうやって管理すべきなのでしょうか?
パンダ様、コメント、ご質問ありがとうございます。管理人です。
個人的意見ですが、管理のしようが無いと思います。今の時点は「ちゃんと洗ってますよ、こういうプロセスで、」しか答えようが無いのではないでしょうか。
そりゃ細かいこと言えばいっぱいありますよ。洗浄工程で正しい洗浄剤を使って正しく洗わなければ、実際には残ってしまうとかね。
分析もできるとは思いますけど、ほとんど意味が無いと思う理由は以下です。
加工助剤というからには、一般には金属系の加工だと思うのですが、その場合閾値の分母って何ですか?まさか金属全体なわけないですよね。
ですので、管理人は正しいのは加工助剤のメーカーにMCCP含有のものは納入禁止(代替物を提案させる)の通達を出すことが一番手っ取り早いと思います。どうせそうしなきゃならなくなるんだし。
管理人様
重箱の隅をつつく様な、細かい質問にも関わらず丁寧なご回答
本当にありがとうございます
私も管理人さんと同じ様に考えてはいるのですが
如何せん客先から「絶対0、完全0の保証にサインを」とつつかれ
それを持論だけで反論するのも心細く相談させていただきました
そろそろPACK22を受けたRoHSの適用除外の結果がでてくる時期ですし
POPs関連で異様に低い閾値に対する問合せも増えてきており
コロナや戦争の影響で資材不足のあおりで管理体制が不明な怪しいサプライヤからの
代替材を購入せざるを得ない事に対する管理体制などなど
頭の痛い課題が山積みですが、またお知恵をお貸しいただけると有難いです