chemSHERPA Tips(8)単純化

chemSHERPA Tips(8)は、遵法判断情報における単純化の話です。

この記事では、前回の記事chemSHERPA Tips(7)マイナーバージョンアップ対応で作成したコネクタのデータを使用します。

単純化とは何か

実は、成形品ツールの操作マニュアルや入力マニュアルを見ても、単純化の説明はあまりというかほとんど書かれていないのです。単純化という言葉は、操作マニュアルで3か所、入力マニュアルには1か所しか出てきません。

唯一単純化に関しての説明は、操作マニュアルに「単純化することで、各IDが用途コードごとに集約されます。」とあるだけです。わからんだろ、普通。

一方、入力マニュアルには、操作するとどういうことが起こるか書かれていて、
「「単純化」ボタンを押下すると、最大の含有率以外が削除されます。その際、含有量は削除された行の含有率を合わせた総量が表示されます。」
これも判りにくいな。

ということで、マニュアルを読んでもあまりよくわかりません(管理人の読解力がないだけ?)。ということで、実例でどうなるのか見た方がわかりやすいと思います。

コネクタのデータを例に解説してみる

まず、chemSHERPA-AI Ver.2.01を立ち上げて、chemSHERPA Tips(7)マイナーバージョンアップ対応で作成したコネクタのデータを開きます。そして、遵法判断情報画面に遷移して、確定解除をしてください。更に、Yのみ表示にチェックを入れます。すると図1のような画面が得られます。

コネクタの遵法判断画面
図1 コネクタの遵法判断画面(確定解除)

この遵法判断画面を見ると、行の5,6には、臭素系難燃剤が対象物質とされ参照法規制、報告用途、報告閾値までが同じで、含有率、含有量、使用部位の異なるデータが入っています。

つまり、この臭素系難燃剤は、場所は違えど同じ用途で使用されていることになります。この場合は、使用部位が2つの部品の2か所でで済んでいますが、複雑な基板などの場合、用途は同じでも、使用部位がなん十か所にもなる場合もあり得ます。
更に、それを組み立てて最終製品までになると、と考えるとおじさん、頭が痛くなります(^^;。

ですので、どうせ同じ用途なら簡単にできないの、データ容量も軽くなるし、と考えられたのが単純化だと管理人は思っています。ただし、当然ですが一部のデータは欠落します。

単純化するとどう変化する

それでは、図1の右上にある紫色の枠で囲った単純化のボタンを押しましょう。

すると図1の画面は図2の画面のように変化します。

単純化を行った遵法判断画面その1
図2 単純化を行った遵法判断画面その1

今まで、行5,6に書かれていた臭素系難燃剤のデータは、1行になっています。参照法規制、報告用途、報告閾値は、当然同じですが、含有率は、図1の5行目のものが採用され、6行目のものは無くなってしまっています。
次に含有量ですが、図1の5行目の73.75mgと6行目の590mgの合計である663.75mgになっています。

入力マニュアルに書かれている、「最大の含有率以外が削除されます。」とは、この場合、含有率の少ない図1の6行目の118000(ppm)は、削除されるということです。

一方、「含有量は削除された行の含有率を合わせた総量が表示されます。」とあるのは、実際には図1の行5,6の含有量の合計が表示されるという意味です。
ですので、マニュアルの表現は、完全には正しくなく、管理人が思うに「含有量は削除された行の含有量も合わせた総量が表示されます。」の方が理解しやすいと思います。

これは上にも書きましたが、今回は2か所、2部品で単純ですが、同じ物質で同じ用途の個所が10か所あった場合でも、含有率は最大値が示され、含有量は、含有量の合計が示されて、1行のデータになります。

使用部位の表現

単純化されると同じ物質で用途が同じものは、図2で見たように1行に集約されます。それでは、その物質がどこに使われているという情報はどうなってしまうのでしょうか?
図2だとよくわからないので、使用部位の部分を広げて示したのが図3です。

単純化を行った遵法判断画面その2
図3 単純化を行った遵法判断画面その2

これを見てみると、使用部位は、,で区切られて同じ行に羅列されていることがわかります。
従って、どこの部位にこの物質が入っているのか、最大含有率はいくつで、どのくらい含有されているのかの情報は保持されますが、どの部品に最大含有率があるのかとか、どこに何mg入っているのかというような情報は保持されません。

chemSHERPAのIEC62474における遵法判断するためには、それでもかまわないということになります。