化学物質管理全般の解説書籍

本ブログを見ている皆さんや、化学物質管理を任されている担当者の皆さんは、化学メーカーの方でもなければ、かなり自分がニッチな世界で業務をしていると感じていることでしょう。

なので、相談する相手もなかなか見つからない、専門家やコンサルタントに相談するのも怖そうだし、法外な値段を取られるんじゃないか(実際はそんなことはありません)、とか思ったりするものです。

また、セミナー行くにも遠いし、会社の許可下りるかなと思う方もいるかもしれません。

ということで、何か入門的な書籍がないかなと探したくなるのも人情というものです。

書籍は、法改正に即座にはついてこれない

実は、一般の大型書店で売っている化学物質管理全般の書籍は、法改正にはついてこれないのが普通です。
国内外の環境や化学物質の法改正について情報を届けるということが、商売になっているということがそれを表しています。

少なくとも国内の法律で自分が気にしなければならないものが明確にわかっている場合は、管轄省庁の関連するサイトを追っていれば情報は手に入ります。また、官報を見ていれば情報は判るかもしれません。

ですが体系的に全部の情報となるとこれは非常に難しくなります。例えば、管理人がお世話になっているJEMAIでは、出版の部門があり、環境法・廃棄物処理・土壌汚染関連書籍を販売しています。もちろん公害防止管理者の試験のための書籍もあります。
ですが、毎年改定されるのは国家試験用のものだけでそれ以外はそうでもありません。

化学物質管理の背景や考え方の基礎を学ぶには書籍は有効

一方、書籍は、化学物質の管理はどのような背景があって、どういった考え方があり、それに基づいてどんな法規制があるのかというような、基礎知識を得るには有効です。

いわゆる体系的な考え方を学ぶ際には、ネットや官報で法規制の改定部分を追いかけたり、セミナーで最新情報を取得したりというだけでは、身につかないかもしれません。

ただし、先に述べたように、法規制の改定には書籍はすぐに追いつくことはできないので、それを理解したうえで活用することが必要です。

Amazonで買えるお勧め本

管理人は、たまに著者から化学物質管理の関連の本を頂いたりもするのですが、たくさん読んでるかと言えばそうでもありません(^^;。

ですが、いわゆるネットの書店(Amazonとか楽天とかですかね)で割と簡単に買える本について、斜め読みしたものも含めて簡単に紹介したいと思います。

もちろん、特定の法律、例えば化審法とかREACHとかに特化した本もあるのですが、今回はあくまで全般的に書かれている本を取り扱いたいと思います。

Amazonへのリンクも貼っておきますので、興味がある方は見てみてください。

本当に初心者の方にお勧めの本

まずは、今まで化学物質なんて関係ない部署にいたのに、、、
という方向けの本ですが、もちろん中学や高校の理科や化学の教科書や参考書という手もあるのですが、そういうものには、法律関係の記述はほとんどありません。しかも、身近な化学物質についての記述もありません。

そこでお勧めなのが、

えっ!そうなの?! 私たちを包み込む化学物質 浦野紘平、浦野真弥 共著 コロナ社

です。元横浜国立大の教授である浦野先生が書かれている本で、章レベルの目次だと以下のようになっています。

1. 化学物質とはなにか,いつごろから急に増えたのか
2. 身近な化学物質はどんな貢献をしているのか
3. 化学物質によって被害がでた例
4. 化学物質を管理するための法律はどうなっているのか
5. 化学物質管理のこれまでとこれから

コラムなんかもあっていろいろ面白いです。出版も2017/12/23と割と新しめなのも、良い点です。

化学品を作っている方向けの本

次に原材料や化成品を作っている方向けの本ですが、最近出た本で次のものがあります。実は、この本管理人は内容を見ていないのですが、出版元と著者を考え更に目次を見るとまあお勧めできる本だろうなと思います。

《即戦力への一歩シリーズ1》『化学物質管理』 北野 大[監修] 長谷恵美子・鈴木康人[著] 化学工業日報社

北野 大さんは、ビートたけしさんのお兄さんですが、日本の化学物質の環境評価における第一人者です。タレントは副業のはず。章レベルの目次は、

第1章 化学物質管理の必要性と歴史
第2章 化学物質管理に関する国際条約
第3章 化学物質の有害性に関する日本の化学品法令
第4章 化学物質の有害性に関する海外の化学品法令

となっており、特に3章は詳しく書いてあります。化学品を扱う企業の方で、総合的な法的知識が欲しい方にはぴったりだと思います。特に出版日が2019/8/22でかなり新しいため、最新の情報も得ることができます。

次に紹介する本は、化学品を作っている方にも成形品を作っている方にもに役に立つ本です。というのも、どちらかというと海外に関する化学物質の規制法が網羅的に書かれてる本だからです。日本の法律は、化審法、化管法、労安法、毒劇法しか載っていません。

製造・輸出国別でわかる!化学物質規制ガイド 松浦徹也 加藤 聰 中山政明 編 一般社団法人 東京環境経営研究所 監修 第一法規株式会社

章レベルの目次は、前付録と序章ののち、

第1章 化学物質規制について
第2章 分類と表示について
第3章 電気電子製品の含有化学物質規制について
第4章 電気電子製品以外の含有化学物質規制について
第5章 廃棄・リサイクル法について
第6章 新たな規制動向について
第7章 自律的マネジメントシステム

この本には、資料編として参考URL集が載っています。これが実務的には役に立つかもしれません。また、3章には各国RoHSが載っています。この本も出版日が2018/1/17と新しいです。

成形品を作っている方向けの本

最後に成形品を作っている方向けの本ですが、最初に紹介する本は、かなり網羅的に書かれすぎていて、多少消化不良を起こすかもしれません。やらなければいけない内容は、すべて書かれているとは思いますが、分析方法まで入れるのが良いのかと言われると管理人的にはちょっとだけ疑問です。

“ケムシェルパ"を活かした よくわかる規制化学物質のリスク管理 松浦 徹也 (著), 杉浦 順 (著), 島田 義弘 (著), 東京環境経営研究所 (監修) 日刊工業新聞社

章レベルの目次は、以下のようになってます。出版日は、2017/3/29です。

第1章 リスクマネジメントの基礎
第2章 chemSHERPA(ケムシェルパ)の使い方
第3章 RoHS(ⅠⅠ)指令やREACH規則が求めるリスクマネジメント
第4章 新たな規制物質の動向
第5章 特定有害物質の検査法
第6章 EU輸出企業の対応事例
第7章 マネジメントシステムの統合

この本の最も良いところは、第6章に実際の会社(実名入り)の対応方法の事例が載っていることでしょう。また、当然なのですがchemSHERPAはVer.1にしか対応していません。

最後に紹介する本は、成形品の方だけでなく化学品を取り扱っている方にも多少は役に立つかもしれません。

よくわかる 製造業の化学物質管理(改訂2版) 傘木和俊 (編集) オーム社

この本も別の意味でかなり網羅的に書かれています。ただ、ひとつ前に紹介した本に比べると化学物質に関する基礎知識からリスク評価法、製造業における管理という感じでまっとうな順序で書かれています。それと1項目が見開きのページに納められているので、目的別には引きやすいかもしれません。ただ、この本も管理人にとってはそこまでいるのかという項目もいくつかはあります。

章レベルの目次は、以下のようになってます。ただ、出版日は、改訂2版ではあるものの、2016/9/24と今回紹介した本の中では最も古いです。

第1章 化学物質の基礎知識
第2章 化学物質の管理と規制
第3章 化学物質のリスク評価
第4章 化学物質のリスク管理と削減手法
第5章 製造業の化学物質管理の実践的アプローチ
第6章 化学物質管理の国際的潮流への対応とその実践的アプローチ
第7章  化学物質規制を製造業の強みに変える

管理人は過去にこの本を教科書に講義をしたことがあるのですが、不得意な部分はどうしても深くは説明できませんでした。扱っている範囲は広い本だと思います。

買うなら自分に必要な知識が得られる本を

上にも書いたのですが、化学物質管理に関する本を買う場合、法規制に関しては改正されるのは当たり前なので、情報は古くなるということに注意しましょう。一方、基本的、体系的知識を得るために本は有用です。

ですが、もし本を買う場合、自分の知識レベルと今の業務などに照らし合わせて何の知識が必要かよく吟味して選んでください。専門書は安くありません。会社の費用で買うにしても同様です。

今回は、比較的出版年月日が新しく、特定の法や領域でなく全般的な知識を得られるものを選んでみました。