前回まで、4回にわたって11社のグリーン調達基準に鉛およびその化合物を例にして、どのように化学物質の管理規定が記述してあるかを見てきました。
各社各様で、細かいことを言えば同じ書き方をしているものは一つも無く、読解するにはかなりの基礎知識が必要なことは理解頂けたかと思います。
ただ、そうはいってもいくつかのパターンに分けることはできます。いくつかの切り口でどう書かれるパターンがあるか見ていきましょう。
それで、このシリーズはいったん終わりにしたいと思います。
まず最初の切り口は、何を元にして鉛の管理を区別しているかと言うことです。これは、大きく分けて、使用用途(閾値を伴う場合がほとんど)を主体として分けるのか、法規制を主体に分けるのかと言うことになります。前者の例としてB社やI社、後者としてE社があります。もちろん、A社やK社のようにハイブリッドになっている場合もあるわけですが、管理人は、このようなタイプは理解しにくいのではと考えています。
次の切り口として、化学物質の管理のレベルをどのように考えるのかです。鉛およびその化合物は、大部分の会社で禁止物質扱いになっています(もちろんRoHSの適用除外などの例外項目はあります)。ですが、物質によっては管理物質だったり報告物質だったりと管理水準の違う物質に分けて管理している会社が多いです。この用語の定義も各社によって違うため注意が必要です。
次に、電気電子分野に限られますがRoHSの適用除外をどう書くかです。鉛の適用除外を鉛およびその化合物の項目に書くのか、それとも一括のRoHS適用除外の表を指し示すのかです。これは、一長一短があり鉛の項に書くとどうしても、その部分が膨れあがるというか文字数が多くなります。一方、表を指し示した場合、他の物質の除外項目と一緒になるため結構探すのが大変になったりします。
更に、鉛およびその化合物だけで一つの表にするのかどうかと言うことです。これは、化学物質ごとに表が分かれることになるため、見るべきところが分かりやすい利点がありますが、どうしても読むべき量は多くなりがちです。
その他にも、管理するべき物質だけの表が最初に書いてあり、実際の管理値は別表になっている場合は、この会社は、何を管理したいのか分かりやすいと言うのもあると思います。
また、グリーン調達基準は、その会社がどのような製品を作っているかによってモカなり異なります。最終製品を作っているのか、そうではなく部品を供給している会社なのかによっても考え方は違う場合があります。
以上のように、グリーン調達基準の書き方は、化学物質の管理に対する各社の考え方を反映しているといえます。
鉛およびその化合物を例にした今回のシリーズはこれで終了です。
コメント