今回は、REACH SVHC:追加分だけゆっくり解説(2)です。
前回のREACH SVHC:追加分だけゆっくり解説(1)で、すでに認可候補物質(SVHC)になっている物質は、基本言及しません、と書きました。
しかしながら、別のシリーズでやっているREACH 制限物質の解説がある(例えばこれ)のですが、制限物質ってSVHCと被るのが結構あるのよね。ですので、そちらのシリーズも併せて見ていただくと良いかもしれません。
第23次SVHC 2-methylimidazole
REACH SVHC:追加分だけゆっくり解説(2)の化合物は、2-methylimidazoleです。
また、第23次SVHCで加えられた化合物は、REACH認可候補物質(第23次SVHC)が2020/6/25に公表されましたをご覧ください。
化学物質名:2-methylimidazole (2-メチルイミダゾール)
IUPAC命名法:2-Methyl-1H-imidazole
化学式:C₄H₆N₂
分子量: 82.11
構造式:
CAS RN:693-98-1
EC No.:211-765-7
常温では固体です。
何を理由にSVHCに入れられたかという点は Article 57c による生殖毒性が理由になっています。
2-methylimidazoleの危険性は何か
SDSで見ると、2-methylimidazoleの危険性に関しては、結構いろいろあるのだとわかります。
飲み込むと有害:こんなん飲むかという突込みは却下! 経口の急性毒性のことです。
生殖能または胎児への悪影響のおそれ
発がんのおそれの疑い
重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷
神経系臓器の障害のおそれ などです。
どんなところに使われるのか
ECHAのニュースリリースで使用例として挙げられているのは、コーティング製品の製造における触媒というものですが、なんだかよくわかりませんね。
またECHAのSubstance Infocardによれば、コーティング製品の他、別の化学物質を製造する際に使われているようです。中間体ということですね。
NITEのCHRIPによれば、用途はエポキシ樹脂硬化剤,工業用殺菌剤,防錆剤,静電気防止剤,医薬・農薬原料となっており、防錆剤,静電気防止剤はコーティング製品ですし、医薬・農薬原料は中間体ですね。
この物質は、欧州域内には年10t以上という範囲の少量しか製造輸入されていません。
日本においては、化学物質としての特別な規制は存在しません。
2-methylimidazoleを含む可能性がある製品は多くない
ここからは、管理人の主観が入っていますので、決して鵜呑みにしないでください。参考情報程度であり必ず自分で判断して下さい。プライバシーポリシーにも書いてある通り、管理人は一切の責任を負いません。SVHCの解説の際は、必ずこの注意書きが入ります。
以上のように、2-methylimidazoleそのものは、他の化学品の原料でああることがほとんどです。もしエポキシ樹脂硬化剤として使用されたとしても、硬化後は別の形に変わっています。コーティング製品(日本だとコーティング剤と言った方がわかりやすい気がする)もこのままの形で使われることは、ほぼないんじゃないかなあ。
従って、2-methylimidazoleを含む可能性がある製品は、特定領域のものだけであり、一般には多分非常に少ないと管理人は思います。
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