昨年の12月にOko InstitutのRoHSの評価のページに新たな用途適用除外の評価に関するプロジェクト(Pack22)が発表されました。
既にオンラインでのステークホルダー協議が始まっています。期間は昨年の12月23日から今年の3月3日までです。
いろいろなところからの情報で、当ブログの読者の方はご存じの方のほうが多いでしょう。この件については情報遅いもんね。
Pack22は、合金中の鉛など影響の大きいものが多い
Pack22に関する発表内容を見てみると、RoHSの付属書IIIの9個の用途適用除外に関して、16のリクエストがあったことに対する評価だということです。
9つの用途適用除外は6(a)/6(a)-I,6(b)/6(b)-I, 6(b)-II, 6(c), 7(a), 7(c)-I,7(c)-IIで6(a)/6(a)-Iと6(b)/6(b)-Iは、評価の際はそれぞれ1個として取り扱われるような感じで書いてあります。
詳細は、最近ではいろいろなところから情報も出ていますが、上にリンクを張っているOko Institutの発表ページから、Project Descriptionの内容のpdfファイルに飛ぶと詳細を見ることができます。
とはいえ用途適用除外を全部読むのは大変でしょうから、軽くだけ紹介。
6番台は、切削加工性をよくするためにそれぞれ鋼、アルミニウム、銅の合金に含まれる鉛に関するものなので、電気、機械製品においては非常に影響が大きいと考えられます。
7(a)は、高融点はんだ(鉛含有量85wt%以上の鉛合金)
7(C)-Iは、コンデンサの誘電体セラミック以外のガラスまたはセラミック中に鉛を含有する電気・電子部品、例えば圧電デバイス、またはガラスまたはセラミックマトリックス化合物中に鉛を含有する電気・電子部品
7(C)-IIは、定格電圧AC125V、DC250V以上のコンデンサの誘電セラミック中の鉛
になっており、これも影響が大きいでしょう。
スケジュールはどうなっているのか
Pack22は、現在ステークホルダー協議中になるわけですが、その後のスケジュールはどうなっているのでしょう。Project Descriptionによれば、Oeko-Institutがプロジェクトに任命されたのが2020年10月28日で期間は10か月となっていて、2021年7月27日までです。4月末までには欧州委員会に中間報告を行い、最終報告書は、プロジェクトの最終日までに出されることになっています。
実際には、この報告書を受けて欧州委員会が指令の文書を書き換えて、諸手続きを踏んだ後、官報が発行されることになります。
適用除外期限期日との関係
実は、今回評価される用途適用除外の期限期日は、最も早いもので2021年7月21日までになっています。Pack22の最終報告書が出るのは、2021年7月27日でしょうから(もっと早いかもしれない?いやいや、自分が担当だったらって考えたらぎりぎりまで遊ぶでしょう(^^;)、期限期日を過ぎてしまうことになります。
じゃあ、どうなるんだよってことなのですが、心配には及びません。期日を過ぎても新しい規制の文章が出ていないのですから、今までのものが有効のままになります。
今後は新たな情報が出るまで待つしかないでしょう。どちらにしろ用途適用除外の延長申請がなされそれに対する評価を行うということは間違いないのですから。
コメント
いつもお世話になっております
正直、鋼材と銅合金に関しては鉛の適用除外の延長は確定してるよなぁと思いつつ
GW明けぐらいから毎日Oko Institutのページを確認してるのですが
3月末を最終更新として5月下旬現在いまだにPACK22の中間報告って出てないですよね?
あれ?4月末には中間報告出るって欧州委員会のHPにも書いてあったと思ったけど
あれ?って感じでやきもきしてまいます
一般にはPACK22の中間報告って公開されないんでしょうか?
(延長申請を出しているメーカ一覧は出てたと思いますが、その延長申請に対し
欧州コンサルは今現在どう考えてて、7月の最終結論まで協議してるんでしょうか?)
もし、何かご存知でしたら、教えていただけないでしょうか
パンダ様、コメント、ご質問ありがとうございます。
管理人です。
これは、パンダ様が知りえる以上に知る手段は、一般にはないと思います。多分欧州のOko Institutにコネクションがある人たち位しかわからないと思います。もしくは、延長申請を出した関係者ですね。
従って、管理人もこれ以上の情報は知りません。中間報告をださければならない相手も欧州委員会ですから、どうするかは欧州側で決めることです。
ということで、何にもないんです、残念ながら。
>中間報告をださければならない相手も欧州委員会ですから、
>どうするかは欧州側で決めることです
おぉ・・・そう言う事ですか
てっきり「一般の我々に」欧州委員会へ報告する内容の
中間報告をしてくれるのだと勘違いしてました
コンサルと委員会だけのクローズな報告なら
Okoさんも大々的にスケジュールに書かなくてもいいじゃない・・・
って思います
おかげさまでスッキリしました
ありがとうございます
パンダ様
管理人です。「一般の我々」に出しても別にいいんだと思いますが、頼んでる人は欧州委員会なのでそこには必ず出さなければならないかと。
管理人様
いつも参考にさせて頂いています。
中間報告の件でモヤモヤして質問しようと思ったら・・・
質問と答えが既に載っていた。という不思議な体験をしております。。。
ドン様、コメントありがとうございます。
管理人です。それだけ気にしている人が多いということですよね。
でも、最終報告が出てから行政手続ですし、用途適用除外が無くなったらどれだけ影響が出るかは欧州側も考えると思います。
Okoさんから適用除外の最終レポート出ましたね
https://rohs.exemptions.oeko.info/index.php?id=127
肝心な欧州委員会は沈黙してますが
自社と関係ある
6(a)-1、6(b)-1、6(c)、7(a)の部分だけ頑張って読んでみたのですが
6(a)-1
ビスマス良さげだけど、熱間加工とかまだまだ机上の空論だよね
加工コスト上がってるので環境に悪くないか?
ただ、ビスマスは無理だとしてもみんな研究足りてなくない?
近いうちに代替技術は生まれそう
6(b)-1
現行の0.4%から0.3%まで下げられるんじゃない?
6(c)
三菱マテリアルのエコブラス(シリコン真鍮)は
導電体としては悪くないけど快削材としては加工コスト滅茶苦茶上がるし
リサイクルコストも上がるよね
子供の口に入る可能性のある銅合金とかってカテゴリ分けするのどうだろ?
7(a)
無理
と読み取りましたが、管理人さんの目から見て如何でしょうか?
この内容をそのまま欧州委員会が飲むかどうか、まだ一末の不安はありますが
とりあえず適用除外の大幅な廃止はないのかな・・・?と考えてます
パンダ様、コメントありがとうございます。管理人です。
管理人まだ読んでないです(;_;)。ちょっち、他の仕事の件で時間を取られまくっているのです。
読んだら、記事にしますね。
いつも勉強させていただいております
本日、ふらっと欧州委員会のwebサイトを覗いたら
https://environment.ec.europa.eu/topics/waste-and-recycling/rohs-directive/implementation-rohs-directive_en
Assessment studies on exemptions(免除に関する評価研究)の
Ongoing assessment studies(進行中の評価研究)からPACK22が削除されており
お?6(a),(b),(c)の最終判断決まったか?と
Completed assessment studies(完了した評価研究)の
Exemptions assessment report #22(免除評価レポート #22)をウキウキしながらダウンロードしてみたのですが
あれ?
これ、前から公開されている欧州コンサルのファイナルレポートの内容と同じでは?
いや、確かに少しわかりやすくまとまっているけど
この文章を読むに
「欧州コンサルが欧州委員会に市場の意見をまとめて提出したもの」であって
「欧州委員会が法規として最終決定した内容ではない」様に読めるのだが・・・これなんだ?
こちらの内容で法的に最終決定なのでしょうか?
2024年まで鋼材メーカが鉛レス代替化無理って言うレポート待ちで良いの?
2026年まで鉛入りの真鍮と高温ハンダ使ってて良いの?
とりあえず、アルミ屋に「不純物の鉛を0.4から0.3%まで下げた管理してね」って命じて良いの?
と疑問符だらけの状態です
まぁ欧州コンサルのファイナルレポートと欧州委員会の最終判断が乖離する事は、
そうそうないだろうけど・・・とは思いますが、これが最終判断なのかモヤモヤしております
パンダ様、ご質問ありがとうございます。管理人です。
ええと、これは官報ではないと思いますので、正式な最終決定ではないですね。過去例からいって、内容が変わることはほとんど考えられないかとは思いますが、官報が公布されるまでは旧法が有効です。