これから、今まで当ブログに寄せられて質問を一般化してQ&Aの形でまとめていこうと思っています。
第1回目の質問は、非常に多く寄せられる質問で、
chemSHERPAのVer.が上がった時、今まで作成していたVer.のデータを単に更新すればいいの?
というものです。
この答えは、多分、単に更新すればいい場合もあるし、そうでない場合もあるという、「それじゃどうしろと?」という盛大なツッコミが来そうなものになります。
今あるchemSHERPAのデータのVer.をあげるにはどうするのか
chemSHERPAのデータのVer.の改定の種類
この記事を書いている段階でのchemSHERPAの最新Ver.2.07です。今後、Ver.が上がると思いますが、考え方は同じです。
ただし、chemSHERPAのVer.が大きく変わるつまりメジャーな改定が行われるとき(例えばVer.1.xxからVer.2.xxになるようなとき、次回は多分Ver.2.5xになるとき)は全く異なるやり方になりますので注意してください。
ここで言っているVer.が上がるというのは、Ver.2.06からVer.2.07に上がるようなマイナー改定の場合です。
このことはよく覚えておきましょう。
マイナー改定の場合のでデータの更新方法
chemSHERPAのマイナー改定の場合の管理人が正しいと思っている(そうじゃないと考える人も結構いると思う)データ更新方法は以下の通りです。chemSHERPAはSVHCが追加されるとマイナー改定されますので、最低でも年2回この操作が必要です。
1.新しいVer.のリリースノートをよく読む
新たに追加されている物質(SVHCだけとは限りません)を確認し、自社の製品に使われているリスクを考える。
ここから、リスクがない場合とある場合において異なる対応になります。
2.リスクが限りなく少ない場合
リスクが限りなく少ない場合は、新Ver.のchemSHERPAで旧Ver.のデータを開いて、成分情報画面を開き、一旦確定解除し、再度確定させる。
この行為によって、成分情報のデータは新Ver.になる。
Ver.改定で、遵法判断情報を行うべき物質が増えている場合、遵法判断情報画面に移行して、確定解除し、空白になっている部分にNのフラグを立て、再度確定させる。
この行為によって、遵法判断情報は、新Ver.になる。
3. リスクがあることが明白な場合
必要ならば、上流の供給者に新Ver.のchemSHERPAデータを依頼する。
2.における、確定解除をした際に、新たに追加された物質の情報を追加してデータを作り、確定させる。これは、成分情報も遵法判断情報も同様である。
4.その中間である場合
実際には、2.リスクが限りなく少ない場合と3. リスクがあることが明白な場合の中間である場合も多い。
この場合は、社内で判断する必要が出てくる。
一番極端なやり方は、全ての供給者に全データを依頼するというものであるが、それをやると次回の改定までにデータが全て集まらない可能性も高い。工数も膨大である。
では、何もしないのかというと今度は、規制違反のリスクが増大してくる。
この時に必要なのは会社内にルールを作っておくこととそれに則ってプロセスを実行することである。
部品ごとに上記の2.か3.を考えることも可能であるが、それでは属人的になって人によって判断が分かれる場合もでてしまう。
この辺りはノウハウの問題になってくるので、必要であればコンサルしますって、宣伝か?おい!
chemSHERPAのVer.が上がった時、今まで作成していたVer.のデータを単に更新すればいいの?への回答まとめ
以上のように、この質問は、化学物質の情報伝達についてかなり本質的な問題を含んでいます。
安衛法や化管法においてもSDSの伝達において改訂がなされましたが、きちんと移行期間が定められています。
chemSHERPAの場合は、海外の法規制に合わせている部分もあり、その部分が考慮されていないと言ってもよいかもしれません。
上に書いたように、どの様に運用するかはいろいろな方法がありえるというのが答えになってしまいます。
chemSHERPAのVer.改定に対する対応の質問は、他にもありましたので、また別の切り口で書くかもしれません。
コメント
2.07でIEC62474にPFASが加えられたので、サプライヤーに意図的含有の有無を問い合わせたら「CAS等で物質特定して貰わないと調査できない」って返されちゃいました。
電子部品ならともかく、接着剤とかのケミカル系には普通に入ってそうだし…
こういう場合、「chemSHERPAで回答ください」と依頼するしかないんですかねぇ
にしかわ様、コメント、ご質問ありがとうございます。
あー、言われちゃいましたか?
でも、chemSHERPAも本質は変わらないんですよね。Ver.2.07の遵法判断情報のID 00193にPFASが意図的添加で入ってしまいました。
成分情報ではPFAS全体をまだカバーしてはいないでしょう。
とは言え、単に聞くより標準ツールで聞いたほうがもっともらしいかもしれませんね。成分情報の範囲にあるPFASは調べられるでしょうし。
Ver.上がる度に最新版を要求されるのも手間ですが、いつまでも古いVer.を要求されるのも困ります。
今だと社内は2.07に切り替わっているのに2.06を指定されたり。。。
要求が早い分にはこちらが頑張れば良いだけなのでいいんですが…
ドン様、コメントありがとうございます。管理人です。
古いVer.で要求されて、自分側が新しいVer.のデータしか持っていないとダウングレードできませんからね。
これは、困りますね。
ただ、ものすごくバカみたいな対応としては、chemSHERPAの対応期間は2Ver.前のものは使えなくなってしまうので、
データ量が2倍にはなってしまいますが、一つ前のVer.のデータを上書きしないで取っておくという方法があると思います。