今回はいつもと異なり、管理人が技術顧問などという偉そうな肩書で仕事をさせてもらっている一般社団法人産業環境管理協会(JEMAI)の化学物質に関するセミナーのご案内です。
ようやく、昨日(4月6日)今年度のセミナー申し込みページが開きました(おせーよ)。
2021年度も化学物質管理関係のセミナーがございますが、このコロナ禍によりオンラインセミナーへのシフトが加速しています。
具体的なお申し込みは、JEMAIの化学物質管理・規制対応セミナーから行ってください。
もちろん、そのページに行くと具体的なコースの内容はわかる(はっきり言ってHPのほうが詳しく載ってます)のですが、講師の皆さんも人間ですのでセミナーには特色が出てきます。そのあたりのことも多少解説します。
- 化学物質管理のJEMAIのセミナーは充実している!
- どんな内容のセミナーがあるか:製品中の化学物質管理セミナー編
- 【基礎講座Ⅰ】製品中の化学物質を管理する基本的な考え方
- 【規制対応Ⅰ-1】1日丸ごと化学物質管理漬け ~EUの規制(REACH/RoHS/CLPを中心に)
- 【規制対応Ⅰ-2】1日丸ごと化学物質管理漬け ~日米中等の規制(REACH系/RoHS系を中心に)~
- 【規制対応Ⅰ-3-1】EURoHSと中国RoHSに対応する技術文書の作り方
- 【規制対応Ⅰ-3-2】中国RoHS(Ⅱ)管理規則の求める順法証明について
- 【管理体制Ⅰ】化学物質管理に対するチェックシートの記入の仕方 ~ガイドラインに則った化学物質管理の仕組みづくり~
- 【実践Ⅰ-1】製品含有化学物質:伝達情報の作成ノウハウ
- 【実践Ⅰ-2】もう迷わない! chemSHERPAで情報伝達
- どんな内容のセミナーがあるか:事業所における化学物質管理セミナー編
- 講師の方々とセミナーの特徴
- セミナー資料に対する共通の注意点
- セミナーの申し込みはこちらから
化学物質管理のJEMAIのセミナーは充実している!
まあ、お世話になっているからではありませんが、化学物質管理に関するJEMAIのセミナーは、他の団体、企業に比べて充実しています。
というのも、まず事業所にかかわるものと製品にかかわるもの両方のセミナーがあります。それと後付的な部分もありますが、基本のセミナーと個別の内容を深くやるというセミナーがあるため、自分に必要と思われる知識を効率的に得ることができます。
また、個社対応のオンラインセミナーもあります。これは、自分の会社に必要な内容をカスタマイズしてセミナーを実施するというものです。
どんな内容のセミナーがあるか:製品中の化学物質管理セミナー編
まずは、製品中の化学物質管理セミナーにどういうものがあるのか見てみましょう。
体系的には、一番最初に「基礎講座」があり、個別のものとして「規制対応」のための講座、「管理体制」構築のための講座、「実践」と呼ばれる個別具体的な作業の講座が存在します。
【基礎講座Ⅰ】製品中の化学物質を管理する基本的な考え方
ちなみにIは、もう一つ事業所系にも基礎講座があるため便宜上の区分です。
実際の目次や内容は、上に書いたJEMAIのHPをご覧いただくとして、この講座は、製品含有化学物質管理の基礎を学ぶ講座になっています。大きく法規制(主にRoHS,REACHの基本)と管理運用の基本を知るための講座です。
便宜上、集合とオンラインの両方があるのですが、最初からオンラインとされているものは、2回に分けて法規制側と管理運用側の2回を受けることによって、集合タイプの全体が学べるようになっています。集合の開催となっているものも、受講者がオンラインでよいのであれば、オンラインで実施することは可能です。
この講座の講師は、なんと私、OFFICE KSの管理人が務めております(^^;。
【規制対応Ⅰ-1】1日丸ごと化学物質管理漬け ~EUの規制(REACH/RoHS/CLPを中心に)
この講座は、1日丸ごととあるように、EUの規制について10:00-17:00まで昼食時間を除いて6時間解説してくれます。REACH、RoHS、CLPはもちろん、欧州の法規制の構造やプロセス、国連GHSやCEマークの概要の解説も含まれていたと思います。
この講座の講師は、この分野では有名なTKK(東京環境経営研究所)の松浦徹也 先生が務められています。以下規制対応の講座は、これを含めて4つあるのですがいずれも講師は松浦先生です。
【規制対応Ⅰ-2】1日丸ごと化学物質管理漬け ~日米中等の規制(REACH系/RoHS系を中心に)~
この講座は、上の講座が欧州のみの規制の解説であったのに対し、それ以外の国々、具体的には日本、アメリカ、中国、韓国、台湾、東南アジア諸国といった国々の化学物質規制についてやはり1日解説してくれる講座です。そのほかにも、各国RoHSと呼ばれる規制についても解説されています。
【規制対応Ⅰ-3-1】EURoHSと中国RoHSに対応する技術文書の作り方
この講座は、規制対応とはうたっているものの、より実践的な内容の講座です。
欧州RoHSと中国RoHSは、製品がRoHSに対応することを自己宣言し、適合のマークキング(欧州の場合はCEマーク)をする必要がありますが、そのためには、それを証明する管理のやり方を実施するとともにその根拠となる技術文書を作成しなければなりません。
この講座は、その技術文書をどのように作るべきか具体的に解説し、演習にて実際に作成してみるというセミナーです。
グループ演習形式なのである意味、超実践的です。
【規制対応Ⅰ-3-2】中国RoHS(Ⅱ)管理規則の求める順法証明について
中国のRoHS(II)は、第2段階規制ですが実際に物質の含有制限が実施されている製品は12品目あります。この順法証明をするためには、この規制だけでなく各種関連規制や国家規格や標準について理解しておく必要があります。このセミナーは、それらを解説するもので、中国に製品を出荷する方に特化したセミナーです。
【管理体制Ⅰ】化学物質管理に対するチェックシートの記入の仕方 ~ガイドラインに則った化学物質管理の仕組みづくり~
このセミナーは、社内もしくは取引先の化学物質管理の体制と運用のためのセミナーです。
化学物質管理は、自社のみでは担保出来ず、サプライチェーン全体での管理が必須です。その為、納入先から化学物質管理に関して、自社の管理体制の評価が求められています。
現在、存在している、社内ルールをどう化学物質管理のチェックシートへ反映するか、また不足がちな内容を解説します。
「自社の管理体制を見直したい」、「より適切な製品含有化学物質管理のための内部監査員を教育したい」、『取引先の評価・指導』と考えている企業の方にお勧めとのことです。
ここでガイドラインと言われているのは、製品含有化学物質管理ガイドライン第4.0版のことであり、チェックシートは、製品含有化学物質管理ガイドライン第4.0版 附属書E:チェックシート第4.01版のことです。
この講座の講師は、株式会社環境化学研究所の新井恒隆 先生です。
【実践Ⅰ-1】製品含有化学物質:伝達情報の作成ノウハウ
このセミナーは、顧客に自社製品に含まれる化学物質について適切に情報を伝達するために準備すべきことや注意点等を解説します。そして、調達先からどのように情報をもらうかも解説しています。実際に化学物質の情報伝達にかかわっている方やその管理者の方が対象です。
実際にこのような業務を実施する際の問題や、その対応方法とリスクの基本的な考え方も学びます。
このセミナーでは、chemSHERPAなどのツールを使っての演習や使い方の解説は含みませんのでご注意ください。
この講座の講師も、なんと私、OFFICE KSの管理人が務めております(^^;。
【実践Ⅰ-2】もう迷わない! chemSHERPAで情報伝達
このセミナーは、chemSHERPA-AIデータを自ら作成する方はもちろん、社内や取引先へ指導する方向けのセミナーです。本セミナーで使用した各種資料は、参加者へ電子媒体で提供します。(研修人数限定、AI作成者向け)
PCを使用して、実際にデータ作成の演習をしていただくことになりますので、PC必須です。
資料は、著作権は放棄していませんのでご注意ください。出典を明記していただければ資料を使用して社内教育、取引先への指導などにお使いいただけます。
JAMPがやっている基礎講座とどう違うの?と言われそうですが、
- 製品含有化学物質管理の基礎(概要講義)の内容はありません。
- セミナー時間が長く、研修人数を限定することで演習に多くの時間を割きます。入力方法は、絶対覚えてもらいます。
- SCIP対応や最新のVer.に対する情報なども含まれます。
この講座の講師も、なんと私、OFFICE KSの管理人が務めております(^^;。
どんな内容のセミナーがあるか:事業所における化学物質管理セミナー編
次に、事業所における化学物質管理セミナーにはどんなものがあるのか見てみましょう。こちらも、「基礎講座」があり、それに個別の講座、「規制対応」と「実践」の講座があります。だだ、製品系よりはかなり少ないです。
【基礎講座Ⅱ】事業所の化学物質管理:国内法の理解と注意点
この講座は、国内で事業所に関係する化学物質規制を概観するものです。
化学品を製造しない事業所であっても、購入資材中の化学品使用による事業所の安全管理、排出管理、労働者の安全衛生など、いくつもの規制が存在します。事業所が係る化学物質関連法規制を俯瞰し。総合的な順法管理の基本を解説します。
とJEMAIのHPで説明されていますが、本当に化学物質に関する規制の基本だけをなめていく感じのセミナーです。個々の規制について詳細には説明されません。特に、JEMAIが取り扱っている公害防止管理者系の規制についてはそういうものがあるといった程度です。
実際にどんな規制があるのかどういう目的で規制を行っているのかなど基本を全体的に知るための講座です。
この講座の講師も、なんと私、OFFICE KSの管理人が務めております(^^;。
【規制対応Ⅱ】事業所関連化学物質のリスク管理
この講座は、事業所を運営していくときに必要な法規制を説明するとともに、実際の事故の過去事例を紹介しつつどうしたらよかったのか、どうすれば事項予防できるのかを解説しています。また、SDSの見方やどのような管理体制を実施するとよいのか、人材教育は?といった手法の解説も含まれます。
化学物質から生じるリスクをどのように低減していくかなど、事業所内の化学物質に管理に対してはより具体的な講座となっています。
この講座の講師は、元三菱電機で製品、事業所両方の化学物質管理を行っていた宇佐美亮 先生です。
【実践Ⅱ】担当者のためのSDS/GHSラベル作成の基礎
この講座は、その題名の通り、GHSとSDSおよびラベルについて基本から分類のやり方、作成方法の基礎を学ぶためのものです。
従って、内容はこれらの分類や作成を行う方々に向けたものとなっています。主に国内対応ですが、一部海外対応への内容も含まれます。
GHSラベルの基本的作成方法、貼付方法、見方
SDSの基本的作成方法、見方、提供方法
について例を挙げて解説されています。
また、これらのもの作る際、色々悩まれる方も多いと思うのですが、経験豊富な講師が質疑応答で答えていただけます。
この講座の講師は、元住友化学で品質保証をやっていて、JISの改定などにも関わっていた今井弘 先生です。
講師の方々とセミナーの特徴
管理人は、JEMAIに6年ほど勤めましたので、講師の皆さんのセミナーを一度は聞いたことがあります。なので、どんな感じのセミナーなのかはある程度分かります。
まず、松浦さんですが、製品化学物質管理に関しては初期からやっておられる重鎮です。規制対応の講座の詳しさは、一番でしょう。10時から17時まで良く体がもつなと管理人なんかは思ってしまいますが、JEMAI以外の他でもセミナーを複数やられていてすごすぎです。
説明は聞き取りやすいとは思いますが、何といってもすごいのは、その配布資料の量の多さです。1日丸ごとのセミナーでは、300ページoverの資料がついてくる上に関連資料も添付されるので、実質400ページ以上の資料でしょう(印刷する事務方は大変だけど)。しかも、1ページの情報量は多いです。なので、セミナーで資料全部が説明されるわけではなく、一部は省略されます(全部説明してたら丸2日でも危ない)。本人も詰め込みすぎと理解されてはいますので、そういうもんだと思ってください。はっきり言って教科書を受け取ってる感じがします。なので、後で読み返しても十分役に立つでしょう。質問にも丁寧にお答えいただけます。
新井さんは、優しく丁寧な語り口が好評で、セミナーは一つしか担当しておられませんが、事後のアンケートを取ると受講者の満足度が一番高い講師です。説明も丁寧で、具体的にどうするかということや何が使えるのかといったことなど、実際に役立つ講座だと思います。
宇佐美さんは、声の通りはよく聞き取りにくいということは全くありません。講師陣の中では、講義内容が多少ラジカルかもしれませんが、これは事故の具体例やその対応について話されるので、その部分はある程度仕方ないかもしれません。特に事業所の具体的な管理事例と人材育成の考え方は役に立つと思います。
今井さんは、穏やかなしゃべり口調ですが、たまに語尾の音量が下がる場合があるので聞き漏らさないよう注意しましょう。GHSとSDSについては、非常に初期から対応されていて現場経験も長い方なので、迷った場合には相談する(別途相談する場合は有料です)と確実に的確な回答が返ってきます。この分野に関しては、ほとんど生き字引じゃないかと思うことが良くあります。セミナーは、実際の例で解説されていますので役立つと思います。
最後に管理人ですが、本人なので客観的評価はできません。事後アンケートの評価は、講師陣の中では普通です。ただ、資料の作成方法は他の講師陣とは異なります。他の講師陣の資料は、松浦さんほどではないにしろ量は多く、PPT1枚に入っている情報量も多いと思います。
管理人の資料は、枚数は多くなく(それでも実質80枚位あったりします)、PPTに使用するフォントサイズは可能な限り20以上になるよう努力しています。ということは1枚当たりの情報量は少なくなります。
それでいいのかという話もありますが、可能な限りコンパクトにすることを目標としているので、松浦さんとは正反対で、教科書にはなりえませんし、不足分は自分で書き込んでいただく必要があるかもしれません。
基本的な部分を必ず理解してもらうという考えで資料が作られています。
あと、セミナー中「あー」とか「えー」とかが多いです。FtFでは、あまり気にならないかもしれませんが、オンラインだとうざいと思います。もう年が年なので努力はしますが直らないでしょう。
セミナー資料に対する共通の注意点
セミナーで配布する資料について共通の注意点が一つあります。それは、講師が配布する資料において規制や規格についてはその時点の最新のものが解説されたりURLが載っていたりするのですが、これは時間とともに変化します。法改正があったり、URLもリンク切れになったりする場合もあります。
従って、資料は時間がたっても使用しようとするならメンテナンスは欠かせないということです。この点だけは注意してください。
セミナーの申し込みはこちらから
以上説明してきたように、JEMAIの化学物質管理のセミナーは、内容、講師陣とも充実していると言っていいでしょう(管理人を含めていいのかどうかは疑問)。
是非、セミナー受講の検討していただくのはもちろん、サプライチェーンの方々やほかの事業所の方々にもご紹介いただけるとありがたいと思います。
また、申し込みのHPを見ていただくと分かりますが、個社対応にカスタマイズしたセミナーも受けることができます。この法規を詳しく解説してほしいなどのリクエストにもこたえられるはずですので、個社事情に合わせたセミナーが可能です。
全てのセミナーのお申し込みは、こちらから
コメント
管理人様
いつもお世話になっております。
本ブログは毎日確認しております。
色々な情報を提供いただき、かなり助かっています。
管理人様講師のセミナーも受講したことがあり、
その節は大変お世話になりました。
今後もお体に気を付けて、本ブログも続けていただければと存じます。
prince様、コメントありがとうございます。管理人です。
ブログ、毎日確認いただきありがとうございます。大変励みになります。
セミナーも受講されたことがあるんですね。ありがとうございます!
今後とも、よろしくお願いいたします。