循環型社会形成推進基本法の基礎:条約、法規いっちょかみ(その13)

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今回の条約、法規いっちょかみ(その13)は循環型社会形成推進基本法です。

なんで管理人はこんな法律を持ち出してきたのか、「化学物質に関係ないでしょ。」と思ったそこのあなた、そんなことはありません。

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循環型社会形成推進基本法の目的は、循環型社会の形成について、基本原則を定めること

循環型社会形成推進基本法の目的が書かれている第一条は、次のようなものです。

第一条
この法律は、環境基本法(平成五年法律第九十一号)の基本理念にのっとり、循環型社会の形成について、基本原則を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、循環型社会形成推進基本計画の策定その他循環型社会の形成に関する施策の基本となる事項を定めることにより、循環型社会の形成に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与することを目的とする。

いろいろ書いてはありますが、この法律は基本法なので循環型社会を形成するための基本原則が書いてあると考えるのが妥当だと思います。
管理人は、法律家ではないので正しいかどうかの保証はありません。

循環型社会形成推進基本法と化学物質との関連はあるのか

循環型社会形成推進基本法(以下、循環型社会基本法と呼ぶ)と化学物質は一見関連が無いように見えます。

この法律では、循環型社会形成に対して、循環資源の循環的な利用及び適正な処分にあたり、優先順位が決められています。

  1. 発生抑制(リデュース)→循環資源・廃棄物の発生を抑制
  2. 再使用(リユース)→循環資源を製品として、あるいは部品などとしてそのまま使用
  3. 再生利用(マテリアルリサイクル)→循環資源を原材料として使用
  4. 熱回収(サーマルリサイクル)→循環資源を燃焼し、その熱を利用
  5. 適正処分→環境への負荷が低減されるよう適正に処分

通称、3R推進と言われているのは、このリデュース(Reduce)、リユース(Reuse)、リサイクル(Recycle)のことになります。

もちろん、適正処分が適切に行われないと環境汚染につながってしまいます。

しかしながら、この法律を推し進めていくと、再利用や再生利用において、使用されている化学物質について情報が適切に得られないと、循環的な利用ができない、つまり有害な化学物質が含まれた製品ができてしまうかもしれないというある種の矛盾が生じることになります。

これらを回避するために各種のリサイクル法がこの法律の趣旨にのっとり存在します。

この法律では、「循環的な利用」とは、再使用、再生利用及び熱回収と規定されています。

ところが、世界的には熱回収をリサイクル、つまり循環的な利用とみなさないのが一般的です。この部分は、日本の考え方は世界とは異なっていることを認識しましょう。

循環型社会基本法を実現するための各種法規制が存在する

循環型社会基本法は、原則が書いてある法律なので、実際に運用するための法律がその下に存在します。

その一つは、3Rを進めるための資源有効利用促進法(資源の有効な利用の促進に関する法律)で、もう一つが適正な処分のための廃掃法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)になります。

更には、個別の物品の特性に応じた各種リサイクル法が存在します。

  • 容器包装リサイクル法
  • 家電リサイクル法
  • 食品リサイクル法
  • 建築リサイクル法
  • 自動車リサイクル法
  • 小型家電リサイクル法

そして、国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(いわゆるグリーン購入法)も循環型社会の形成のための法律と言えます。

これらの法律においても、化学物質は、その再利用と適正な処理に関して深く関係します。何せ、上のリサイクルの対象になっているものは、化学物質の塊でその性質を利用して機能が発現しているわけですから。

従って、各種リサイクル法においては、有用な化学物質を取り出したり、有害な化学物質を適正に処分することなどが求められています。

循環型社会基本法は後だしじゃんけん?

循環型社会基本法は法律の番号でいうと平成十二年法律第百十号(2000年)の法律です。ところが、廃掃法は昭和四十五年法律第百三十七号(1970年)、資源有効利用促進法は平成三年法律第四十八号(1991年)の法律です。

環境基本法ですら平成五年法律第九十一号(1993年)に成立したにすぎません。

こうしてみると、資源循環、そして化学物質の循環利用に関して言えば、個別の法律が先にできていて(特に廃掃法は、廃棄物の処理自体にいざこざがあったり、国土の狭い日本において喫緊の課題だった)、循環型社会基本法はそれを現代の資源利用の概念にあてはめたものとも言えます。

このため、日本の資源循環の概念は、3Rからなかなか抜け出せていないのかもしれません。もっと言えば、発生抑制(リデュース)、再使用(リユース)のような上流側で制御するような仕掛けがほとんどないとも言えます。

最近、欧州発のサーキュラーエコノミーの考え方が入ってきていますが、今回は循環型社会基本法についてですので記述しません。

もし興味のある方は、JEMAIの化学物質総合管理部門のページの化学物質管理ミーティングのタブ(一番右)のブース内セミナーに行っていただき、国際的な潮流と化学物質管理という管理人のセミナーをご視聴ください。ちょっとだけしゃべってます(^^)。

コメント

  1. ふじい より:

    初めまして。
    ふじいと申します。
    唐突な質問で申し訳ありませんが、
    「適用除外」「適用除外用途」とはどういう意味でしょうか?
    環境業務に就くことになり勉強をしていますが、言葉や表現が難しく、尚更頭に入ってきません。
    恐れ入りますがご教示頂けますと幸いです。

    • OFFICE KS より:

      ふじい様、ご質問ありがとうございます。管理人です。

      「適用除外」「適用除外用途」は、主にRoHS指令において使用されている用語だと思います。
      本来ならば制限されている物質に対して、この用途にだけは、このぐらいまでの量を使用させてくださいと当局に申請して許可されたものです。
      当ブログでも、
      条約、法規いっちょかみ(その3)RoHS指令(1)
      で多少解説していますのでご覧ください。
      その他にも、検索で「RoHS 適用除外」などを検索すると多くの解説記事があると思います。

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