今回の条約、法規いっちょかみ(その27)は、REACH(その14)です。
今回は、TITLE VII AUTHORISATION、つまり認可の項目の続きで第59条からになります。
第59条 Identification of substances referred to in Article 57(第57条で言及した物質の特定)
この第59条には、第57条の要件に当てはまる物質を特定、識別する手続きが書かれています。
以下第59条の内容です。
- 本条第 2 項から第 10 項に定める手順は、第 57 条で言及される基準を満たす物質を特定し、最終的に附属書 XIV に含めるための候補リストを確立する目的で適用されるものとする。欧州化学品庁は、このリストの中で、第 83 条(3)(e)に従って作業計画にある物質を示すものとする。
- 欧州委員会は、第57条に定める基準を満たすと考える物質について、附属書XVの関連セクションに従った文書一式の作成を機関に求めることができる。文書一式は、適切な場合、規則(EC)No 1272/2008の付属書VIのパート3の項目への言及に限定することができる。欧州化学品庁は、この書類を加盟国が入手できるようにするものとする。
- 加盟国は、第57条に定める基準を満たすと考える物質について、付属書XVに従って書類を作成し、欧州化学品庁に送付することができる。文書一式は、適切な場合、規則(EC)No 1272/2008の付属書VIのパート3の項目への言及に限定することができる。欧州化学品庁は、この書類を受領後30日以内に他の加盟国に提供するものとする。
- 欧州化学品庁は、物質について附属書 XV の書類が作成された旨の通知をウェブサイトに掲載するものとする。欧州化学品庁は、すべての利害関係者に対し、指定された期限内に同機関にコメントを提出するよう求めるものとする。
- 発行から 60 日以内に、他の加盟国又は欧州化学品庁は、文書中の第 57 条の基準に関連する物質の特定について、欧州化学品庁にコメントすることができる。
- 欧州化学品庁は、コメントを受領せず、またコメントも行わない場合、この物質を第 1 項のリストに含めるものとする。欧州化学品庁は、第58条(3)に基づく勧告にこの物質を含めることができる。
- コメントを作成又は受領した場合、機関は、第5項で言及された60日間の期間の終了後15日以内に、一式文書を加盟国委員会に付託するものとする。
- 付託から30日以内に、加盟国委員会が特定について全会一致で合意した場合、当機関は、当該物質を第 1 項のリストに含めるものとする。欧州化学品庁は、当該物質を第58条(3)に基づく勧告に含めることができる。
- 加盟国委員会が全会一致で合意できなかった場合、欧州委員会は、加盟国委員会の意見の受領後3ヶ月以内に、物質の特定に関する提案の草案を作成するものとする。物質の同定に関する最終決定は、第133条(3)にいう手続きに基づいて行われるものとする。
- 欧州化学品庁は、物質の含有に関する決定がなされた後、遅滞なく、第1項のリストをそのウェブサイトに掲載し、更新するものとする。
第60条からは章が変わり、CHAPTER 2 Granting of authorisations (認可の付与)になります。
CHAPTER 2 Granting of authorisations(認可の付与)第60条 Granting of authorisations(認可の付与)
CHAPTER 2の認可の付与の章と以降の認可に関する章では、第60条のみを逐条訳しますが、それ以降は概要を書くのみにとどめることにします。
というのも、認可を得ること自体が稀なケースであり、日本企業が関わるかと言えば、ほとんどそういう場合は無いと考えられるからです。
では、60条です。
- 欧州委員会は、本タイトルに基づく認可の申請について決定を下す責任を負うものとする。
- 認可は、附属書XIVに規定される固有の性質に起因する物質の使用による人の健康又は環境に対するリスクが、附属書Iの第6.4項に従い、かつ申請者の化学安全報告書に記載されているように適切に管理されており、第64(4)(a)にいうリスク評価委員会の意見を考慮して、第3項を害することなく、付与されるものとする。欧州委員会は、認可を与える際、及びそこで課される条件において、拡散的又は分散的な使用から生じるリスクを含め、決定の時点で判明しているすべての排出、放出及び損失を考慮するものとする。
欧州委員会は、能動的植込み型医療機器に関する加盟国の法律の近似性に関する1990年6月20日の理事会指令90/385/EEC(1)、医療機器に関する1993年6月14日の理事会指令93/42/EEC(2)または体外診断医療機器に関する1998年10月27日の欧州議会および理事会の指令98/79/EC(3)で規制されている医療機器における物質の使用から生じる人間の健康に対するリスクを考慮してはならない。
(1) OJ L 189, 20.7.1990, p. 17. Directive as last amended by Regulation (EC) No 1882/2003.
(2) OJ L 169, 12.7.1993, p. 1. Directive as last amended by Regulation (EC) No 1882/2003.
(3) OJ L 331, 7.12.1998, p. 1. Directive as last amended by Regulation (EC) No 1882/2003. - 第 2 項は、以下のものには適用しない:
(a) 第 57 条(a)、(b)、(c)又は(f)の基準を満たす物質で、付属書 I の 6.4 項に従って閾値を決定することができな いもの;
(b) 第57条(d)又は(e)の基準を満たす物質;
(c) 第57条(f)に基づき特定された、難分解性、生物蓄積性及び毒性、又は非常に難分解性及び非常に生物蓄積性の性質を有する物質。 - 第 2 項に基づき、又は第 3 項に列挙された物質について認可が与えられない場合、社会経済的便益が当該物質の使用から生じる人の健康又は環境に対するリスクを上回ると示され、適切な代替物質又は技術が存在しない場合にのみ、認可を付与することができる。この決定は、以下のすべての要素を考慮し、第64条(4)(a)及び(b)で言及されるリスク評価委員会及び社会経済分析委員会の意見を考慮した上で行われなければならない:
(a) 提案されたリスク管理措置の適切性及び有効性を含む、物質の使用によってもたらされるリスク;
(b) 申請者又は他の利害関係者によって示された、その使用から生じる社会経済的利益及び認可拒否の社会経済的影響;
(c) 第62条第4項(e)に基づき申請者が提出した代替案の分析、又は第62条第4項(f)に基づき申請者が提出した代替案、及び第64条第2項に基づき提出した第三者からの拠出;
(d) 代替物質又は代替技術の人の健康又は環境に対するリスクに関する入手可能な情報。 - 適切な代替物質又は代替技術が利用可能であるかどうかを評価する場合、欧州委員会は、以下を含むすべての関連する側面を考慮するものとする:
(a) 代替品への移行が、リスク管理措置の適切性及び有効性を考慮した上で、人の健康及び環境に対する全体的なリスクの低減につながるかどうか;
(b) 申請者にとっての代替物の技術的及び経済的実現可能性。 - 附属書XVIIに定める制限の緩和となる場合は、使用を許可してはならない。
- 認可は、申請が第62条の要件に適合して行われた場合にのみ付与される。
- 認可は、将来の見直し期間に関する決定を害することなく、期間限定の見直しの対象とし、通常、監視を含む条件を付すものとする。いかなる認可についても、期限付き見直しの期間は、適宜、第4項(a)から(d)に掲げる要素を含むすべての関連情報を考慮して、ケースバイケースで決定される。
- 認可は、以下の事項を特定しなければならない:
(a) 認可を受ける者;
(b) 物質の識別;
(c) 認可が付与される用途;
(d) 認可が付与される条件;
(e) 期限付きの審査期間;
(f) 監視の取り決め。 - 認可の条件にかかわらず、保有者は、技術的かつ実際的に可能な限り被ばく量を低減することを保証しなければならない。
以上ですが、先に述べたように次回からは、このREACH規則の解説は、管理人が必要そうだという主観に基づき(正しいとは限らない(^^;)、スピードを上げていきますのでよろしくお願いします。
俺に必要なところがなんで書いてないんじゃー、とかいう場合は、リクエストしてください。
以下、免責事項
このシリーズわかり易くするために砕けた表現などを使っていますが、規制にそんなものはあるわけがありません。正確性が欠ける場合があります。
コメント