今回の条約、法規いっちょかみ(その20)は、各国RoHS(その2)です。いやー、しばらく間が開いてしまいました(忘れていたともいう)。
前回の各国RoHS(各国RoHSの基礎(その1)東アジア・東南アジア:条約、法規いっちょかみ(その16))は東アジアと東南アジアでしたので今回は南アジアからです。
今回も簡単にどの国でRoHS類似規制があるのかの紹介になります。何せいっちょかみです。
南アジア
南アジアでは、RoHS類似規制がある国は少ないです。
インドRoHS
インドRoHSは、正確にはE-Waste (Management) Rules, 2016ですが、2018年に改正規則E-Waste (Management) Amendment Rules, 2018も施行されました。
施行日:2016年10月1日
対象製品の範囲:IT機器、通信機器および消費者向け電気電子製品、それとこれらのコンポーネント、消耗品、部品及びスペアパーツ
IT機器とは、コンピュータ、プリンタ、コピー機、携帯を含む電話機などのことです(詳細は、別途ご確認ください)。
消費者向け電気電子製品は、TV、冷蔵庫、洗濯機、エアコンと蛍光灯とその他水銀を含むランプです。
規制物質:鉛、カドミウム、水銀、六価クロム、PBB、PBDE (閾値は欧州RoHSと同じ)
インドRoHSは、廃家電に対する規制であって拡大生産者責任(関係者が共同して解体業者やリサイクル業者に引き渡すような仕組みを作る)が適用されています。
インドRoHSは、2022年の5月に新たな規制案が提出されています。対象品目などがかなり増える予定ですので、注目しておきましょう。
バングラディシュRoHS
バングラディシュRoHSは(Hazardous Waste (WEEE:Waste Electrical and Electronic Equipment) Management Rules 2021)、2021年の6月10日に施行されました。
施行日:2021年6月10日
実は、バングラディシュRoHSについて、管理人は情報をほとんど持っていません。インドRoHSのまねっこだとか言われていますが、中身を全く知らないのでコメントのしようがありません。
中近東
中近東にも、RoHS類似規制はあり、色々と動きの多い地域でもあります。
UAE RoHS
UAE(アラブ首長国連邦) RoHSは、2017年4月に公布されました。
施行日:2018年1月1日より段階的だったが、現在では全てのカテゴリー、物質が規制されている。
対象製品の範囲:EU RoHSと同じ(細かい違いがあるかもしれませんが、管理人は把握していません)
規制物質:EU RoHSと同じ10物質、閾値もEU RoHSと同じです。
適用除外:適用除外については、EU RoHSと同じではないと思います(完全追随にはなっていないはず)。
UAE RoHSの一番の特徴は、EU RoHSのように自己適合宣言だけではだめで、お国の認証が必要だということです。実際にどの程度のことが行われているのかは、管理人はよくわからないのですが、技術的文書などはともかく、お役所手続きがあるのは面倒ですね。
サウジアラビアRoHS
サウジアラビアRoHSは、すでに公布はされていますが、現時点では、実際の規制がかかっているカテゴリーは、まだ多くはありません(確か家庭用電気機器だけだったはず)。とはいっても、順次足されていくはずです。
公布日:2021年7月9日
対象製品の範囲:家庭用機器、情報・通信技術機器、照明器具、電気・電子機器および工具、玩具、娯楽及びスポーツ用機器、監視制御機器
規制物質:鉛、カドミウム、水銀、六価クロム、PBB、PBDE (閾値は欧州RoHSと同じ)
こちらも管理人は、実際の実務のやり方はわかっていません。
トルコRoHS
トルコRoHSは、中近東の国の中で最も早くRoHS類似規制が導入された国です。
施行日:2012年5月22日
対象製品の範囲:EU RoHSと同じ
規制物質:鉛、カドミウム、水銀、六価クロム、PBB、PBDE (閾値は欧州RoHSと同じ)
適用除外については、EU RoHSと同じではありません。
トルコRoHSは、現時点では、改正前の欧州RoHSとほぼ同じです。ただし、適合宣言書を毎年当局に提出する必要があります。
トルコRoHSも改正の動きがあるようですので情報収集に努めましょう。
南アジアや中近東のRoHSについては、なかなか情報が手に入らない
管理人には、南アジアや中近東のRoHSについては、実のところ情報はあまり入ってきません。
何せ、アラビア語が原文だったりするので、英訳でも出なければどうしようもないのが現実ですし、最近になって施行が始まったものや、改正が検討されているものもあります。
最終製品をこれらの国に輸出される方は注意が必要です。というか、情報を手に入れられるようにしておきましょう。相手国の販社や輸入代理店とコミュニケーションを良くしておくことが必要です。
一方、それらの国に輸出する製品を作っているメーカーに部品や材料を納めているメーカーの皆さんは、欧州RoHS基準でRoHS10物質を管理しておけば、基本問題はないと思います。
次回は、今まで言及してこなかった国々のRoHS類似規制について書いてこのシリーズは終了したいと思います。
以下、免責事項
それと、このシリーズわかり易くするために砕けた表現などを使っていますが、規制にそんなものはあるわけがありません。正確性が欠ける場合があります。
コメント
3年前にUAE RoHSについて調べる必要があり、M先生に教えて頂きました。
第三者認証等で結構費用がかかり、部品を3点以上測定というのもあって
装置1台売るにしてもその何割かに相当する認証費用が発生するので、
1,2台程度の納入しか見込みがなければ、営業的に成り立たない感じです。
サウジアラビアの方も同じようですね。費用がかかりすぎるので、自己宣言へ
変えてくれと国外から言われているようですが、変わる様子は伺えません。
第三者認証の導入を考えたのはどんな人なのかと、つい考えてしまいます。
南南東の住人SN様、有用なコメントありがとうございます。管理人です。
まあ、認証なのでお金がかかるのはわかります。更に面倒な手続きもいるので少量販売だと割が合わないですよね。