どうも管理人です。製品含有化学物質担当になっちゃった人のための超初級化学講座の8回目です。今回は、よく聞くけど、あんまり違いが判らないピーなんちゃらのお話です。
いや、こう書いちゃうとなんかいけない言葉かと勘違いしそうですが、そうではありません。
PFxxっていっぱいあるけど何?
最近のブログのアクセスを見ると、TSCAの件へのアクセスが多いんですけれど、PFOAに関する記事にもアクセスがあります。
でも、PFxxってほかにもあったような、と思っている方もいるでしょう。
PFOS、PFHxS、PFBS、PFAS、、、。いや分かりませんよ、どれがどんな化合物で何に使われてるんだか、どれがどう規制されているんだか、頭がこんがらがります(;_;)。
ここは、超入門なので、どれがどんな化合物を指すのかだけ見ていきましょう。
その前に、PFxxのPFの部分なんですが、普通はPerFluoro の略です(ここでは略の部分を強調するためFを大文字にしてありますが、通常は小文字というかつながった文字列です)。
Fluoroは、元素(通常は、水素が多いと思います)がフッ素に置換されている時に用いる言葉です。そして、接頭語のPerは、この場合完全にの意味です。
従ってPerfluoro何某(PFxx)は、全部フッ素に置換されたxxという意味になります。
PFOS
PFOSは、PerFluoroOctaneSulfonate(略で使われている文字は大文字にしてあります、以下同様です)の略で、通常は、perfluorooctanesulfonic acid(ペルフルオロオクタンスルホン酸)と呼ばれます。
オクタンは、炭素数8個の炭化水素なので、POFSはこんな形の構造式をしています。
この物質とその塩は、日本ではすでに化審法第一種特定化学物質に指定されています。
そのもとになったのは、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約 (POPs条約)で、2009年の会議で附属書B(制限)に加えられたことです。毒性とかどこに使われていたかとかいろいろありますが、もう作っているところもないはずなので、汚染は残っているでしょうが過去の物質といってもいいでしょう。
管理人が現役のころにものすごく話題になった物質です。そういや、POPRCの時、ジュネーブにも行ったな(遠い目)。
PFOA
PFOAは、PerFluoroOctanoic Acid(ペルフルオロオクタン酸)の略です。
構造式は、こんな感じ。えーと、PFOSのスルホン酸の部分がカルボン酸に変わっただけですね。
実はこの物質、PFOSの代替材料としても一部使われてきました。
この物質については、当ブログでは過去にも何度か取り上げましたし、最近では、「化審法施行令の一部が改正され「2・2・2―トリクロロ―1―(2―クロロフェニル)―1―(4―クロロフェニル)エタノール」及び「PFOA又はその塩」が第一種特定化学物質に指定されました」という名前だけえらく長い記事をアップしています。
なので、使用用途などはそちらをご覧ください。
この物質もPOPs条約で、「ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及びPFOA関連物質」が附属書A (廃絶)になっています。
PFHxS
PFHxSは、PerFluoroHexaneSulfonic acid(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)の略です。これだけ、xは略称でも小文字のままなのでそうしてあります。
構造式は、こんな感じ。PFOSの直鎖の炭素鎖の長さが8ではなく6の化合物で、基本構造は同じと言えます。
この物質に関しては、POPs条約で議論されることが決まったことを受け、2018年10月に経済産業省から「PFHxS 等の使用とその使用禁止に伴う代替可能性に関する調査について」という調査依頼が出ています。
そして、2019年のPOPRCで附属書A(廃絶)に勧告することが決まりました。ちなみに、POPRCは、POPs条約のための検討委員会で、ここから勧告された結果が締約国会議で議論されて物質が収載されるかが決まります。
予定では今年(2021年7月)に行われる締約会議で収載されると考えられます。すると、締約国である日本では化審法の第一種特定化学物質にどのように収載するかという議論が始まります。PFOAの場合と同じですね。
PFAS
PFASは、上記のような個別の化合物を指す略称ではありません。
PFASは、Per- and polyFluoroAlkyl Substancesの略です。日本語では、ペルもしくはポリフルオロアルキル物質とでもなるのかな。
定義も異なる場合があるようですが、広くとれば、少なくとも一つの脂肪族炭化水素構造の一部がCF2もしくはCF3に置き換わった部分を持つ化合物になります。
この定義だと、結構膨大な数の化合物がこの範囲に含まれます。
上で見てきたように、多くのフッ素で置換された脂肪族炭化水素化合物は、今後も規制が強化される傾向にあることは間違いなさそうです。
一方、フッ素系の化合物は、色々な産業上なくてはならない物質になっています。電子デバイスを作るのにも必要ですし、耐熱性、撥水性、耐油性などを利用した製品は多々あります。まあ、身近なところではフッ素系樹脂コートのフライパンですかね。
PFAS全体を丸ごと規制したりしたら日常生活が成り立たなさそうなんで、そんなことはないと思いますが、今後どういう動きになるのかは注意していたほうが良さそうです。
まだ、他の略語になってる化合物もあります
他の略号で表されているフッ素系化合物は、ほかにも沢山あると思いますが、今回はパスで(^^;。でもなんか今回も超初級とは言えないような、、、。
次回は、ちゃんと超初級にするぞ!
コメント
管理人様
いつも勉強させていただいています。
PFASについては、数か月前に米マクドナルドとアマゾンが自主的に使用禁止にしたというニュースを聞いて、これがどのように波及していくのか気にしています。どうなることやら。
しろいかもめ様、いつもコメントありがとうございます。管理人です。
アマゾンは何から何まで扱ってるのでよくわかりませんが、マクドナルドは、今まで結構使ってたと思います。
耐油性も優れてますからね。どういう工夫をするんでしょう、知っていたら教えてください。
食品系は、管理人全く疎いんで。
管理人様
いつも勉強させていただいております
JAPIAさんが独自の調査フォーマットを作成し
PFHxSの閾値をPFHxS及びその塩25ppb
関連物質1000ppbで調査を始めておりますね
https://www.japia.or.jp/topics_detail49/id=2749
数年前PFOAの調査時、納入先からの指示や弊社内の判断として
・PFOAを調べなきゃいけない
・SVHCで閾値1000ppmで調べてる
・PFOAはテフロン粉末を高エネルギー照射で作成すると不純物として生成される場合がある
・25ppbと言う閾値は不純物でも充分に超える値である
よって、SVHCの調査結果によって意図的含有をカバーし
高エネルギー照射法によって粉砕されたテフロン粉末を使用していないこと
で不純物の調査として対応しました
で、今回のPFHxSの場合も
「SVHCで閾値1000ppmの調査」は問題ないのですが
PFOAにおける高エネルギー照射によるテフロン粉末の様な
PFHxSが不純物として含有する条件があるのか?
PFHxSはPFOAの代替物質のため非意図的含有の可能性はないのでは?
と頭を抱えています
納入業者に25ppbの含有ないですか?と問い合わせる事は可能ですが
結局、意図的に入れているならSVHCの調査の際に報告されている
非意図に含有するのであるなら、その条件が判らないと回答できない
条件不明で非意図も調査するなら、片っ端から実測するしかないが
複雑なASSY製品だと分析費がバカにならない
(そもそも実測は不純物の保証としては信頼に欠ける)
と思うのですが
何かPFHxSが不純物として非意図的含有を起こす可能性等をご存知でしたらご教授いただけないでしょうか?
パンダ様、コメントというかご質問、ありがとうございます。
管理人です。
また難しい質問ですねえ(^^;。
何かPFHxSが不純物として非意図的含有を起こす可能性等
は、管理人知りませんです。どこかであるのかもしれないけど。
ここから先は、個人的な考えです。あてにしないでね。
PFOSとPOFAの化学構造と一連の経緯から、PFHxSは、PFOAの場合より非意図的含有の可能性は少ないのではないかと思っています。
PFHxSに関しては、もっと情報が出てくるまでは普通の調査(意図的使用の調査)でやっておくしかないと思います。
[…] 例えば「製品含有化学物質担当になっちゃった人のための超初級化学講座(その8)」のPFxxの記事とかですね。 […]