分析結果報告書とは何か
分析結果報告書は、ある試料に対して所定の方法で分析を行い、その結果を依頼主に報告する際に作成される文書ということになります(そりゃそうだろという突込みが来そうです)。
なので、分析を請け負った会社にとっては、正式な報告書なわけですから、その信頼性には万全の注意を張るのが普通です。
規制により登録認定が必要な測定分析ものもありますし、ISO/IEC 17025として試験所としての標準も決められています。
分析すべきものは多種多様で、公定法が決められているものやいわゆる規格、標準などが決められているものも多くあります。
RoHS指令の制限物質の分析方法
前回の続きと継続性から、RoHS規制にある物質を分析する場合を考えます。
RoHSの規制物質に関する分析方法は、IEC(国際電気標準会議)と呼ばれる電気・電子系の国際標準化の団体で検討され決められています。具体的にはIEC 62321シリーズに枝番が1から8まであり、個々の物質の測定方法や試料の前処理サンプリング方法なども標準化されています。
実際に分析をする人でもなければ、いらない知識と言えばそうなっちゃいます。興味のある人は、標準なので有料(しかも英語)ですが、IECのWEBstoreに行って買ってください。
また、分析を依頼する場合、分析機関から注意点を言われるかもしれません。
例えば、フタル酸エステルの分析を依頼する場合、その辺のビニール袋などに入れて試料を提供するとビニール袋にフタル酸エステルが含まれいていると、本当の試料にはフタル酸エステルは入っていないのに検出されてしまう場合があります。分析機器は感度が良いので、ビニール袋から試料に移行したフタル酸エステルを検出してしまいます。
分析結果報告書には何が書かれるか
分析結果報告書は、どういったものが書かれるのでしょう。
・依頼主
・文書番号(報告書番号) これがないと後でどんな分析をしたか照合できないことになりかねません
・報告日
・分析会社の住所連絡先
・責任者の名前(この人の印があることも多い)と社印
・試料名とそれにまつわるもの(分析するものによっては採取日なども必要になる場合があります)
・受付年月日
・分析結果 これは当然ですね
・分析方法 公定法だったらJISの番号とか
・その他の事項 試料の写真とか附帯事項、特記事項とか
他の項目のあるかもしれませんが、以上のような項目が書いてあるのが一般的だと思います。
分析結果は、その試料の結果でしかない
分析結果報告書において注意しておかなければならないことがあります。例えば、RoHSの制限物質の測定を依頼するとき、分析結果は提出した試料に対する結果に過ぎないということです。
試験機関は、試料を前処理して均質化した状態で測定をしますが、提出した試料は、本当に必要な測定結果を得るための代表になっているかということは、試料の提出側が気にしなければならないことです。
この辺の話になるとややこしくなってくるのでこれ以上このブログでは言及しません。
不使用証明書と分析結果報告書
今まで書いてきたように、分析結果報告書は、提出した試料に対しては正しい数値を得ることができますが、それ以外の試料やロットに関して結果を得ることはできません。もちろん、分析したものと同じロットの製品は多分大丈夫だろうというようなことはできると思います。
一方、不使用証明書は、前回の記事に書いたように分析結果を元にしているというわけではありません。会社としていろいろな手段で調査した結果、例えば聞かれている禁止物質は使用していないと言えますという書類になります。
分析結果証明書は、ピンポイント正確な結果を与えます。一方不使用証明書などは、総合的な知見によって書かれた文書ということができると思います。
管理人は、両者の使用すべきところは異なると思っています。何でもかんでも手に入れればいいという考え方はあまり賛成できかねます。
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