今回は、chemSHERPAのデータ作成の実例(その4)になります。
いや前回のchemSHERPAのデータ作成の実例(その3)で、データは作成されたんですけどね。
ですので、このシリーズも今回で終了です。
chemSHERPAデータ作成時の注意点と考え方
今回、chemSHERPAでデータを作成した製品のデータは、情報がいろいろそろっていました。
逆にそろいすぎているが故の問題点もありました。
普通は、逆に情報がないので作れないという問題の方が多いと思います。
その場合は、あの手この手で情報を得るのはもちろんなんですが、既にあるデータを有効活用することも必要です。
その中身は、JEMAIのセミナーでどうぞ(^^)。
それでは、今回のシリーズで作ったデータにおける注意点と考え方を見ていきましょう。
成分情報画面
下図は前回記事で作成した製品の成分情報画面です。
ここでの問題点は、物質のところにカドミウムや鉛などの情報があるのですが、全てRoHSの閾値ぎりぎりの値が書かれていることです。水銀も閾値ぎりぎりではありませんが書かれています。
もとになっているデータは、IPC-1752Aのフォーマットで書かれています。
問題は、上流からの情報においてこれらの物質があるからと言って本当にすべて入力すべきか?ということです。
データ作成では、chemSHERPAのルールでは、全て書けなので書いたわけです。ですが、特に鉛やカドミウムは0.099%とか0.0099%など明らかにRoHSの閾値を超え無いようにだけ書いてあるのではないかと思われることです。
ところが、鉛に0.1%と書かれている場所が一か所あります。これは、もう閾値そのものなのでRoHS指令に違反しているのではないかと思う人が出てきてもおかしくありません。
更には、工程能力などを考える人なども出てくると話はますますややこしくなります。ここでは、不純物は最大値が書かれていると思うのですが、その知識がないと判断に困るなどということが出てきます。
いっそのこと下流の混乱を考えると書かないほうがいいのではないかという考え方も出てくるかもしれません。
これは、SVHCでも同様です。
だからどうしろということを管理人は言うつもりはありません。
chemSHERPAのルールから言えば書くんでしょうねということです。
SCIP情報
もう一つの問題点は、成分情報画面に上記の情報を入れるとSVHCであるカドミウムと鉛が入っているためSCIP情報画面が出てくることです。
閾値以下というデータを入れても強制的に出てきてしまうことです。これに何も入力しないと怒られてしまいます。
実際には、成形品の0.1wt%以下なので入力する必要ないはずです。
前回は、仕方がないのでSCIPデータを入れました。
一方、遵法判断情報画面で、遵法判断した後は遵法判断情報画面では、SCIP情報画面は立ち上がりませんでした。
成分情報側のSCIPの挙動は、chemSHERPAのバグの一つかもしれないと管理人は思っています。とはいえ自信はないので皆さんも確認していただけると幸いです。
chemSHERPAのデータ作成の実例シリーズに関して
chemSHERPAのデータ作成において実際にやってみると、今回のように疑問がいっぱい出てくるかもしれません、というより出てくるでしょう。
それらをどう判断して入力するかは、chemSHERPAに関する各種文書を読むと解決することは多いです。
ですが、それでも判断に迷う場合、事務局に質問するというのが普通のやり方です。
それでも、まだ判断に迷う場合は、組織としてのルールを作っておいて、一定のやり方をするようにして、個人の判断にならないようにしておくことが大切です。
お知らせ
全く別件ですがお知らせです。管理人これから年度末まで結構スケジュールが入っていますのでブログの更新が極端に減ると思います。
また、来年度からは、週2回くらいのペースになるでしょう。何せ年齢とともに「働きたくないでござる」になっていますので(^^;。
コメント
お客様より「鉛が0.1%入ってるから適用除外を書いてください」
という指摘があり、メーカーへ伝えたところ
「RoHS閾値が1000ppm以下なのでRoHSに適用している」と回答をもらったことがあります。
お客様はしぶしぶ納得していましたが、
わざわざ変な情報書かなくてもいいのになぁと思ったことが昔ありました。
通りすがり購読者様、コメントありがとうございます。管理人です。
そういった例がありましたか!実際には工数の無駄を生じるだけなんですよね。
実際、どう考えるかはなかなか難しいところです。