chemSHERPA講座の8回目です。
今回からは、chemSHERPAの範囲に含まれている規制と化学物質のお話です。
chemSHERPA-CIには成分情報しかありませんが、chemSHERPA-AIには、成分情報と遵法判断情報があります。
特に遵法判断情報は、どういう判断を行うのか最初は面食らう方がいるかもしれません。
ではいって見ましょう。
chemSHERPA 管理対象物質とは
chemSHERPAをDLすると必ず、chemSHERPA 管理対象物質 Ver.X.XX説明書というものが付属しています。
この文書を読むと管理対象物質がどういったものかわかります。
chemSHERPAの管理対象物質は、それを規定する元となる法規制と業界標準(管理対象基準と呼ばれます)によって決まります。
この記事を書いている最新版(chemSHERPA Ver.2.08)では、それらの管理対象基準は、11項目で法規制が9項目、業界標準が2項目になっています。
管理対象基準
現在のchemSHERPA管理対象基準は、以下のものです。後ろの()内に略記号(chemSHERPAのツール内で書かれている表現)を示します。
- (日本) 化審法 第一種特定化学物質 (CSCL)
- (米国) 有害物質規制法(TSCA) 使用禁止又は制限物質(第6条) (TSCA)
- (EU) ELV 指令 (ELV)
- (EU) RoHS 指令 Annex II (EU RoHS)
- (EU) POPs 規則 Annex I (POPs)
- (EU) REACH 規則 Candidate List of SVHC for Authorisation(認可対象候補物質)及びAnnex XIV(認可対象物質) (SVHC)
- (EU) REACH 規則 Annex XVII(制限対象物質)(REACH Annex XVII)
- (EU) 医療機器規則(MDR)Annex I 10.4 化学物質 (MDR)
- (中国)电器电子产品有害物质限制使用管理办法 (China RoHS)
- Global Automotive Declarable Substance List (GADSL) (GADSL)
- IEC 62474 DB Declarable substance groups and declarable substances (IEC62474)
最初の9個が規制で、後ろの2個が業界標準ですが、10は、自動車の業界標準、11は、電気電子の業界標準です。
こうやってみると、EUの規制がやたら多いですね。また、chemSHERPAがカバーしている業界範囲もある程度分かってきます。
皮膚接触に関するものは、多少あるものの、食品や化粧品、薬など直接体内に取り込まれたり、恒常的に皮膚に接触するものは範囲外になっています。当然、麻薬なども考えられてはいません。
更には、特殊なもの、例えば原子力関係とか軍事関係とかも考えてはいないでしょう。
実際にchemSHERPAに搭載されている物質リストは、これらの基準から物質まで展開した検索用物質リストと呼ばれるものです。例えば、鉛およびその化合物と言った群単位では検索できないので、物質単位まで展開してあるわけです。
業界標準はその業界で開示が必要な物質の集まり
chemSHERPAで管理対象基準になっているもののうち、二つは業界標準で、自動車と電子電子の標準であることは上述しました。
これらの業界標準では、開示するべき物質がそれぞれ決められており、さらに改定が行われています。従って、法規制にはない物質も開示が求められることがあります。
例えば、銅ケーブルの芯材を入力してみると銅は管理対象物質であることがわかります。
では、これがどの基準に基づき管理対象物質とされているかと言えば、GADSLのみであり、法的な規制ではないことがわかります。
更に、電気電子の業界標準であるIEC-62474は化学物質については、成分情報で記載されるほかに、遵法判断情報で遵法しているのかどうかという判定を行うプログラムが、chemSHERPAには組み込まれています。これは判り難い人がいるかもしれません。
次回はより面倒な成分情報や遵法判断情報の話
成分情報だけなら検索して入れればいいので簡単か?と言えば実際には正確に入力しようとするとそうでもありません。遵法判断情報は、判り難いという話は時々耳にします。
ですので、次回もchemSHERPAの範囲に含まれている規制と化学物質の続きで、このあたりのことを解説します。
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