chemSHERPA講座19:その他の事項

広告
「スポンサーリンク」

chemSHERPA講座の19回目です。

今回は、今までのchemSHERPA講座で書いていることで管理人が重要だと思うポイントを記載ししようと思います。

なぜかというと、chemSHERPAはどうしてもデータ作成法とその周辺の話になってしまうことが多いからです。

そして今回でこのシリーズは終了します。

広告

chemSHERPAは化学物質の情報伝達のスキームの一つに過ぎない

これは、過去にこのブログでも何回も強調してきたことです。chemSHERPA以外の情報伝達方法は海外を見渡せば沢山ありますし、自動車業界はIMDSを使用しています。

残念ながら、chemSHERPAは、日本企業とそのサプライチェーンにある中国、アジア地域の一部で使われているものであり、欧米ではほとんど使われていません。そういう意味ではIEC-62474に則っているとは言うものの、ガラパゴス仕様に近いかもしれません。

また、chemSHERPAは、会社としての製品化学物質管理の一部しか担わないものです。この点も過去に何回も書いています。

chemSHERPAデータは100%正しいとは限らない

これを書くと「いやダメだろ!」と言われそうですが、chemSHERPA講座18:chemSHERPAデータ作成方法8で書いたような問題を詳細に検討して確認してデータ入力する人ばかりかということです。

管理人としては、chemSHERPAの解説に100%あってはいない間違ったデータの授受は行われていると思っています。でも、間違いの種類によっては、ほとんどリスクに影響しないような場合も多いです。

例えば、chemSHERPA-AIの製品重量と成分情報の合計重量は、ピッタリ100%でなくても、警告は出ません。chemSHERPA的には許容していると思うのですが、100%にしろと言ってくる方がいると聞いたことはあります。
はっきり言って、50gのベースにメッキが5mgついているようなとき、製品重量をピッタリ100%にして何の意味があるのかよくわかりません。ベース側の製造上の重量許容範囲はいかほどなのでしょうか?

でも、そのメッキ層に鉛が入っていたらそちらはきちんと把握しないとダメなのです。

chemSHERPAでデータを取り直さなければいけない時はどういうときか?

REACH規則におけるSVHCの追加のせいで、chemSHERPAのVer.は半年に一度マイナーバージョンアップされます。

このデータをchemSHERPAで毎回取り直すことは、やってるメーカーもあるかとは思いますが、工数的にできないメーカーが大部分だろうと思います。

そういった場合、どうやってデータを最新Ver.にあげるのかということは悩ましい問題です。可能であれば、何もしたくないというのが本音かもしれません。

やり方としてはいくつかあると思います。どれが正しいということも無く、リスクがゼロがと言えばそんなことも無いのですが会社として可能なことをやるしかありません。

  • 新たに加わった化学物質や用途が自社に全く関係ないものだと分かるときは、自社でVer.アップしてしまう。
  • 自社で分からないので、chemSHERPAのデータではなく、新たに加わった物質に関して調達先に入っているのが判っているなら教えてねと質問を投げる。
  • Ver.が上がったことを調達先に連絡し、chemSHERPAのデータに変化があるなら期限を決めて送ってねとお願いする。

ところが、このような手法が通じない場合があります。それは、フタル酸エステルなど汎用的に使用される可能性がある物質が追加されたときです。RoHS指令の禁止物質を回避するために使用されているフタル酸エステルなどが追加されてしまうとこれはもう調べざるを得なくなってしまいます。

上のリストに書かれた手法は、自社でリスクが低い物質の場合は有効ですが、含有リスクが高い物質の場合は、データ回収をせざるを得ないことになります。

chemSHEPA講座は一旦終了

今まで19回続いたchemSHEPA講座は、今回で一旦終了です。質問がある方もいると思うので、そのような方はコメントやお問い合わせを利用してください。

chemSHERPAは、動きがあった場合その都度記事にしますが、次回シリーズ化された記事を書くとすれば、V2R1がリリースされたときでしょう。

広告
chemSHERPA
「スポンサーリンク」
シェアする
OFFICE KSをフォローする

コメント

  1. ケムケム より:

    初めまして。
    chemSHERPAを知ってまだ日が浅く、社内にも詳しい人がいなくて一人で必死な日々です。
    そこで質問です。
    取引先にchemSHERPA調査を依頼され、仕入先にお願いし、SHAIファイルを送っていただきました。その複数のSHAIファイルを複合化した際、SCIP情報で一行目が空欄でエラーが出てでぃまい、SCIP情報の登録ができません。
    おそらく私の入力方法に間違いがあるのでしょうが、どうしたものかと悩んでおります。
    なにか原因と思われる要因があればお願いいたします。

    • OFFICE KS より:

      ケムケム様、質問ありがとうございます。管理人です。
      一人での対応は大変ですね。
      複合化の際の問題ですね。SCIP情報でエラーですか。
      こういうエラーは、実際の物を見てみないと文字による説明だけでは難しいものがあります。
      一応、気を付ける点として
      ・頂いたSHAIファイルを開いたときにSCIP情報にチェックが入っているか確認する。
      ・SHAIファイルのVer.が同一であることを確認する。
      ・一つのSHAIファイルに複数部品が入っていないことを確認する。
      をしてみてください。
      これらが正しいのであれば、実際の現象やエラーの表示の画面などを見なければわからないでしょう。
      そういう解析までは、さすがに無料では行っておりません。
      必要であるなら、お問い合わせから個別に質問してください。

  2. ケムケム より:

    管理人様
    早々のご返答ありがとうございます。
    確かに、文面だけではなかなか伝えられなくて、申し訳ないです。

    ただ、頂いた注意点について質問(私が知らないだけだと思いますが、、、)です。
    ・頂いたSHAIファイルを開いたときにSCIP情報にチェックが入っているか確認する。

    とありますが、そもそもすべてのSHAIファイルはSCIP情報が登録されているものなのでしょうか。仕入先より入手したSHAIファイルに情報が登録されていなければ、再依頼しないといけないのでしょうか。
    私は勝手に登録あるものと、ないものが物質によってあるんだな~と考えてしましました。

    ファイルのversionも統一していますし、1SHAIファイルは1部品としていますので、そこが引っかかているのかと。

    あまりにも情報収集が難しく、サポート方法についても社内で相談していきたいと思います。

    エラー内容についてもうまく説明できなくて恐縮ですが、
    いいアドバイスあればよろしくお願いいたします。

    • OFFICE KS より:

      ケムケム様、コメントありがとうございます。管理人です。
      SCIP情報は、SVHCがなければ当然空欄になるのですが、基本情報画面のSCIP情報のチェックボタンにチェックが入っているか?と言うことです。
      これは任意なのですが、ここにチェックが入っていないと、複合化したとき変な動きをするかと思います。
      1SHAIファイルは1部品は、正しいので問題ありません。
      また、還暦環境調査員様のコメントも参考にしてください。
      エラーが出るというのであれば、それは違うのかもしれません。
      また、データのやり取りをクラウド上でやっていないですよね(OneDriveのような)。もしやっている場合は、エラーが頻発します。
      これは、chemSHERPAの仕様です。
      chemSHERPA HPのFAQを参考にしてください。

  3. 還暦環境調査員 より:

    ケムケム様へ

    小生も10年 ひとりで悪戦苦闘の毎日を過ごしております。
    売上や利益に通ずる部署ではない為 日陰の日々です。
    まあ愚痴はこれくらいにして
    chemSHERPA事務局が2024/12/5にchemSHERPA_Tool_V2R1_Technical_
    Report_No,2.Pdf を発行し複合化処理によるSCIP情報の不具合についての
    説明書がPCに出てきましたよ。   参考になれば一読してください。
    とっくに見てたら失礼しました。

    • OFFICE KS より:

      還暦環境調査員様、コメントありがとうございます。管理人です。
      こうやって助けていただけると非常に助かります(^^)。

    • ケムケム より:

      管理人様
      還暦環境調査員様

      アドバイスありがとうございます。
      社内の人に聞いても「分らんな~」と受け流されている毎日。
      お二人の方からのアドバイスをいただき、ケムケムは不覚にも職場で泣きそうです。笑

      管理人さんよりのアドバイスでチェックを入れたものの、成分情報を入れてください的なエラーが出てしまい、そこで還暦環境調査員さんからのアドバイスでchemSHERPA事務局のHPに行ってみて、無事に✔がついたSHAIファイルを作成することが出来ました。

      何となくですが、一筋の光が見えたような気がしてます。
      また何か困ったことがあればこちらに連絡させていただきます。
      本当に本当にありがとうございました。

      • OFFICE KS より:

        ケムケム様、コメントありがとうございます。管理人です。
        当Blogがお役に立ったのですね。それは、良かったです(^^)。還暦環境調査員様もアドバイスありがとうございました。

        当Blogが少しでもお役に立てば幸いです。

タイトルとURLをコピーしました