chemSHERPA講座の18回目です。
今回も、データ作成の補足事項になります。今までは、もう少し細かいところまでと思っていましたが、一応、このデータ作成方法は、今回で終わりにしようと思っています。
なぜなら、詳細まで解説し始めるときりがないからです(単にめんどくさいとも言う(^^;)。
それとこのシリーズを始めて半年以上たっており、次の大きなVer改定であるV2R1のリリースがこの秋にもあると予想され、その際改めて解説記事が必要だからです。
そして今回の記事も、ほぼchemSHERPAデータ作成支援ツールのキャプチャになります。ただし、今回のデータは、ほぼVer.2.08のものです。
複合化について
chemSHERPA-AIの複合化については、
に結構詳しく記事を書いていますので、そちらを読んでください。えっ、ダメ?
基本的に複合化は、現在のchemSHERPA-AIが、製品ー階層ー部品ー材質ー物質という階層構造までしかサポートしていないため、BOMにおける階層構造が深くなってしまうと対応ができないこと解消するためにあると言ってよいでしょう。
つまり、階層構造を圧縮するために使用されます。この部分は、この秋にリリースされるであろうVer.2R1では無限階層を取れるように改良?されるはずです。
chemSHERPA Tips(3)複合化についての時と同じように、以下のダミーサンプルを使用します。
積層セラミックコンデンサ 4個
チップバリスタ 2個
プリント基板 1個
これらのデータは、chemSHERPA-AI_CI_データ作成事例サンプル_2.08.00から持ってきていますが、現在はVer.2.09のデータ作成事例サンプルしかダウンロードできません。
複合化の実行のためには、基本情報画面からツールのタブから複合化を選びます。
すると複合化の画面に遷移します。
追加ボタンを押して、積層セラミックコンデンサのchemSHERPAのデータファイルを開きます。入力出来たら続けて追加ボタンを押し、積層セラミックコンデンサ、プリント基板を開きます。そして、それぞれの員数を入力します。
データのVer.は一致させておくべきでしょう。
この時注意しなければならないのは、ファイル名が、chemSHERPAのデータのものと異なる名前になってしまうということです。間違えて入力しても気づかないこともありうるため注意が必要です。
複合化を実行すると下図のように階層を使った成分情報の結果が得られます。
成分情報をチェックし、確定させましょう。この時、SCIP情報画面が現れる場合もあると思いますが、必要に応じて入力しましょう。
次に、遵法判断情報に移り、通常のデータ作成と同じように成分→遵法判断情報変換を行います。
今回の場合、Y/Nを判定するのは2項目でしたが、両者ともNなので遵法判断では、Yの項目が無くなってしまいました。
複合化でデータを作成すると基本情報画面が入力されていない状態でデータが出来上がります(下図)。
ですので、基本情報画面を入力してデータを完成させてください。基本情報画面の入力は、通常と同じなので省略します。
材質や物質検索時の注意点
chemSHERPAは、そのコマンドや押せるボタンに対していろいろ注意点は個々にあると思います。しかしながら、データを作る際に最も使用頻度の高い、材質の選択や物質の検索について悩まれる方が多いのではないでしょうか?
そこで、その疑問の解決に少しでも役に立つような部分を説明しようと思います。
材質選択に困る場合
chemSHERPAの材質選択は、結構悩ましいかもしれません。
ですが、chemSHERPAのデータ作成支援ツールをダウンロードすると、その中にchemSHERPA 材質リストのpdfが同梱されており、かなり詳しい材質の解説が書いてあります。
ですが、結構基本的な部分が解説されていません。
例えば、前回使ったダミーサンプルに更に、GlassとBinderを足してみました。ここで、Binderは反応系の接着剤と考えてください。
そして、材質コードの選択を行おうとします。
すると、接着剤という項目は存在しません。「ものに付いてるんだから多分付着剤なんだろうなあ?」として選ぶしかありません。というのも、chemSHERPA 材質リストに付着剤の定義は書いていないからです。
ネットを調べても、付着剤という用語は検索されず、付着防止剤だけが検索結果として出てきます。
同様に、母材、被覆、内包剤(運転用調剤などに適用)の定義もないため、結構迷ってしまいます。
実は、これらの用語、管理人は判って当然というものでもない気がします。ここでいう母材の定義は、ネットで通常出てくる「 ① 主要材料。 ② セメント・砂・砂利・水の混合によってできるコンクリートの場合の、特にセメントをさしていう。 ③ 溶接あるいは切断される側の金属材料。」のような定義とは異なるからです。
被覆や内包剤もわからない人が多いかもしれませんが、選択する人が限られているため母材や付着剤に比べれば気にしなくてもよいかもしれません。
次に、材質コードの選択になるのですが、この接着剤が、UV硬化型エポキシ接着剤の場合どれを選ぶべきなのか考えると疑問が生じます。
製品化学物質の情報伝達の場合、自社から製品が出ていく状態での情報伝達になります。ですので、塗装の場合、通常は塗料に入っている溶剤部分は記載されません(塗装の揮発して残らない)。
では、この場合はどうか?硬化した後のUV硬化型エポキシ接着剤には重合の結果、ほとんどエポキシ基は残っていません。それでもエポキシ樹脂を選ぶのか?その他の硬化性樹脂を選ぶべきなのか?
管理人は、はっきり言ってどっちでもいいと思っています(^^;。そこに目くじら立てる?
といった具合で、材質選択においてもあいまいな部分は残ります。全く異なるものを選んだら問題ですが、胃が痛くなるまで気をもむのはやめましょう。
物質選択上の注意点
次に物質選択上の注意点ですが、こちらは材質選択などよりはきちんと行う必要があります。
物質の検索ですが、検索画面はこのようになっています。
以前にも書いたのですが、CASがわかっている場合は図のように、CAS番号を入れて完全一致で検索してください。最も確実な方法です(今回はダミーとしてベンゾフェノンを入れてあります)。
CASが判ればいのですが、すぐにはその情報がわからない場合があります。
例えば、銀(Silver)のCASがわからない場合どうなるか見てみましょう。英語でSilverと入力して完全一致で検索しても以下のように「該当する行は存在しません」と言われてしまいます。
一方、日本語で銀と入力すると以下のように選択できます。
これは、英語がSilver(Ag)が一語になっているのが原因なので、Silverを入力して部分一致でやればいつかは出てくるのですが、とても面倒でやっていられません。
同様に、日本語で酸化アンチモンと入力して完全一致で検索しても「該当する行は存在しません」と返されます。
更に、この場合は部分一致でも検索できません。
ですので、可能な限りCASで検索するのが賢明です。
ですが、他にもCASは存在しないがEC No.が存在する物や、chemSHERPAの管理物質となっていて群として存在するようなものもあります(下図15,16)。
例えばセレン化合物とかですね。このようなものには、chemSHERPAにおける固有番号SNxxxxというものが振られています。セレン化合物の場合はSN0053となります。
というわけで、化学物質は複数の呼び方をされたり、慣用名が最も一般的に使われる物質もあったり色々ですので、chemSHERPAで正確に入れようとすると様々な問題が生じる場合があります。
こちらも、100%正しく入れるためには結構な知識と経験がいるでしょう。
ですが、100%正しいデータなのかの検証はもっと大変なので、まあ、力量にあった可能な限りの努力をするということなのかなと思います。
次回でこのシリーズを終了します
このchemSHERPA講座は、次回に書き残した部分で重要と思われるものを記載して終了となります。
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