身近な化学物質再び(RoHSで制限される化学物質のその10)は、DIBPです。
DIBPとは何ぞや
DIBPも今までフタル酸エステルの話をしてきた時は、あまり焦点が当てられなかったフタル酸エステルの一つです。
DIBPは、 Diisobutyl Phthalateの略称で、日本語ではフタル酸ジイソブチルと呼ばれますが、別の呼称も使われますので注意しましょう。例えば、フタル酸ビス(2-メチルプロビル)、ジイソブチル=ブチルフタラート、1,2-ベンゼンジカルボン酸ジイソブチルなどです。
DIBPも、Wikiに項目がありますが記載内容は多くありません。
CAS No.は、 84-69-5 で、分子量 は、DBPと同じく278.35 、沸点320℃です。
DIBPは、PRTR 届出対象物質とはなっていません。
DIBPの用途は
DIBPは、DBPと性質が似ているということから、DBPの代替物として用いられるとの記載がWEB上では見られます。ということは、DBPの記事をご覧いただきたいのですが、結構いろいろなところに使われている可能性があることになります。
DBPとDIBPは異性体
DIBPとDBPは、似た性質であると言われていますが、この二つは異性体です。但し、異性体だから性質が似ているというわけではないので注意してください。異性体でも性質が全く異なるものは存在します。
異性体は、同じ数、同じ種類の元素を持っているにもかかわらず、分子構造が異なるものを言います。化学式で書くと両方ともC16H22O4(数字を小さくする方法がわからないので勘弁してね)になります。
DIBPの規制は
DIBPは、RoHS指令においては他のフタル酸エステル(DEHP、BBP、DBP)と全く同じに扱われますが、他の規制では DBP と扱いが異なる場合もあります。
REACH規則においては、DIBPは他の3つのフタル酸エステル同様認可物質です。更に、制限物質としても他の3つのフタル酸エステルと同じように扱われています。
一方日本の食品衛生法の玩具に対する安全規制では、DIBPに対する規制は書かれていません。
DIBPは、現在は規制によってその取扱いが異なる化合物ですので、自社の製品がどのような規制を受けているのかを知って対応しなければなりません。
もちろん、他のすべての化学物質についてもそうなんですが、すべてを調べつくすのは大変です。
そういう時は、多少お金がかかっても専門家のアドバイスを聞くのが良いと思います。
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