身近な化学物質の記事は、今回で一旦終わりになります。気が向いたら別のテーマでやるかもしれませんが、可能性は低いと思います。
最終回のテーマは、PCには必ず必要なディスプレイのお話です。
ディスプレイは、PCにはなくてはならない出力装置の一つです。
ディスプレイは液晶ディスプレイがほぼ独占
前回の身近な化学物質(日用品に使用される化学物質その11 PC及び電子部品その4)では、記憶装置で種類もいっぱいありましたが、現在PCで使用されているディスプレイは、ほぼ液晶ディスプレイ一択だと思います。
まあ、他にもTVと同じように有機ELという選択が無い訳ではありませんが、値段の面から非常に少ないと思います。
ただ、液晶ディスプレイは、光の制御の仕方(駆動方式)によって種類が分かれます。大きくは、以下の3つになります。
- TN(Twisted Nematic)方式
- VA(Vertical Alignment)方式
- IPS(In-Plane-Switching)方式
それぞれの方式についての詳しい説明は、「液晶ディスプレイ 種類 特徴」のような検索語でググってください(なんて投げやりな)。
ディスプレイにはどんな材料が使われているのか
それでは、液晶ディスプレイにはどんな材料が使われているのでしょうか?
まずは何はともあれ液晶ですね。液晶(Liquid Crystal)というように、液体と結晶の間に現れる中間相の一種です。
液晶ディスプレイに使われる液晶は、ほとんどがネマティック液晶と呼ばれる棒状の細長い有機分子です。実際の分子構造は、色々ありますが液晶ディスプレイに使用されるものはそれほど分子量は大きくないはずです。
そして、それらの液晶分子を何種類も混合して必要な特性を出して使用されます。
とはいえ、液晶だけあっても画像は出ませんので、その他にいろいろな材料、デバイスが使われます。
実際の液晶ディスプレイは、ピクセル(画素)と呼ばれる小さな要素がたくさん集まってできています。良く、ディスプレイでHD 1920×1080などと書いてあるのは、このピクセル数を意味しており、それで解像度が決まります。
実際の液晶ディスプレイのピクセルは、どうなっているのでしょうか?以下に図示します。
一つのピクセルの中は、実際には光の三原色によって色を作るために、3つの部屋に分かれており、それぞれ、赤、緑、青のカラーフィルター(実際には色素で色が付けられる)が配置されます。
それと薄膜トランジスタ(TFT)が、ガラス基板の上に形成されます。これらのトランジスタは、各色画素ごとに一つ作成され、ここに電圧を印加して液晶分子を動かし光を通したり遮断することによって特定の色と明るさが表現されます。TFT(thin film transistor)は、主にアモルファスシリコンでできています。
薄膜トランジスタ(TFT)という位なので、それこそ図を引用させていただいたULVAC様のスパッタリングやCVD行う装置で薄膜を形成してこれらの回路が形成されていきます。
光を通さなければならない部分への電圧印加は、透明電極(ITO:Indium Tin Oxide 酸化インジウムスズ)で行われます。
そして、これらのピクセルは偏光板で両側が挟まれており、液晶の配向を制御することによって、光の透過と遮断が行われます。
偏向板によく使われている材料は、PVA(ポリビニルアルコール)にヨウ素化合物を混ぜたもので、それを一方向に伸ばして分子を配列させた後、架橋して固定します。これだけだとペラペラなので形を保つものだったり、反射で見にくくならないようにしたり各種加工が施されます。
こうやってみると、液晶ディスプレイは滅茶苦茶複雑なプロセスで製造されることがわかります。使っている物質も、多種多様です。書いてるだけで疲れてきました。
身近な化学物質の記事は、今回で終了
身近な化学物質の記事は、 どちらかというと化学物質管理に関する記事ではなく、そのベースとなる身近なものはどんなものでできているのだろうというシリーズでした。
今回でPCに使用されている物質の解説も軽くではありますが、一通り説明しました。
このシリーズは、書いている管理人もプロでは全くないため、正確性では一部劣るところがあるかもしれません。
ということで、この身近な化学物質の記事は、今回で終了したいと思います。
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