今回の記事は、前回の続きになります。
鉛もよび鉛化合物について各社のグリーン調達基準にどう書かれているかを解説する第2弾です。
書き方は、前回と同様ですので前記事を参考にしてください。前回は、A社からC社の3社を見ましたので、今回はD社からになります。
D社
化学物質リストは別冊になっています。分類としては、含有禁止物質、含有報告物質、含有管理物質、製造時使用禁止物質に分かれています。鉛に関しては、含有禁止物質に書かれています。
まず、A列にはNoとして通し番号が振られています。B列は、物質名(英語名を正式とする)となっています。鉛に関しては、鉛/鉛化合物 Lead/Lead Compoundsと書かれています。
C列は含有禁止基準となっており、鉛/鉛化合物の部分は2行に分かれています。最初の行には、電気電子機器及び包装材 ①意図的添加禁止 ②素材質量における鉛含有率が1000ppm以下であること。但し、熱硬化性または熱可塑性コード/ケーブルの被覆は300ppm以下であること ③包装材の場合、素材毎に4物質(注釈〇)それぞれの含有率の合計が100ppm以下であること
となっています。
一方2行目は、 電気電子機器及び包装材 以外 上記①~②且つ子供が口に入れる可能性がある場合は、製品質量における鉛含有率が500ppm以下であること
と書かれています。
D列は備考となっており、1行目は除外用途:表○○となっており、2行目は子供が口に入れる可能性がある場合とは、1寸法が5cm未満、あるいはそのサイズで脱着可能または突出部位がある場合となっています。
E列は主な引用法律となっており、ここは 鉛/鉛化合物 で一行に戻っています。REACH規則「制限」 RoHS指令 カリフォルニア州法「プロポジション65」となっています。
管理人の個人的感想
読みやすい構造はしていると思います。なるべく、あちこちに飛ばない工夫はされている感じです。
質名を英語を正式名にするというのは、海外との取引が多いためなのか、それとも何か過去にトラブルでもあったのかもしれませんね。英語バージョンは別にあるはずだと思うので。ただ、素材の定義は書いてあるもののこれですべての人に意味が通じるのか管理人にはよくわかりません。
E社
この会社も対象化学物質リストは別冊になっています。
調達品と工程に分かれており、調達品は更に含有禁止化学物質と含有管理化学物質に分かれています。鉛については含有禁止化学物質に載っています。
まずA列にはNo.として通し番号が振られています。B列は物質群となっており、鉛及び鉛化合物と書かれています。
C列は、主な法令または工業基準となっており、鉛及び鉛化合物の行は、ここで7行の法令または工業基準に分かれて書かれており、更に8行目として注釈が書かれています。1行目が・RoHS指令 2011/65/EU・中国MII法・韓国RoHS・日本J-MOSS・米国/カリフォルニア州SB-20/50、2行目が・REACH規則 (EC)No.1907/2006の付属書17 No.63、3行目が・REACH規則
(EC)No.1907/2006の付属書17 No.72、4行目が・米国消費者製品安全改善法(CPSIA)、5行目が・米国消費者製品安全改善法(CPSIA)(4行目と同じ規制ですが対象が違うので独立して書かれています)、6行目が・米国/カリフォルニア州プロポジション65判例法、7行目が・EU包装廃棄物指令94/62/EC
・米国特定州の包装材重金属規制(Toxics In Packaging)となっています。
8行目には、各種注釈と該当する化学物質の代表例が収載されています。8行目はこれから述べるExcelで言うところのD,E,F列までセルが結合された状態に書かれています。
D列は対象、E列は閾値、F列は使用例が書かれています。管理人とても全部書く気になりません。1行目だけ例示で書くと、D列の対象は、下記(2行目から7行目の内容を指します)の対象品を除くすべて、E列の閾値は、均質材料中の鉛の濃度として0.1重量%(1,000ppm)、F列の使用例は、2行目と結合されていて塗料、潤滑剤、プラスチック安定剤、快削合金、快削鋼、光学材料、CRTガラスのX線遮蔽、電気はんだ材料、メカはんだ材料、硬化剤、加硫剤、強誘電体材料、めっき、合金、樹脂添加剤と書かれています。
このような書き方がなされているため、鉛及び鉛化合物の説明ページだけで1ページ半という量を使用しています。2行目以降は省略です。
管理人の個人的感想
化学物質(群)に対して、対応法令で先に分類をかけているので、説明に非常に多くの文言、ページを使用しています。法令基準かつ対象物が指定されているので、要求される側は納得はしやすいと思います。使用例が書いてあるのもある意味親切かもしれません。ですが、自分の納入物がどこにあたるのか探すのは結構大変です。ここまで細分化するのがいいのかある程度まとめた方がいいのかは、判断の難しいところだと思います。
F社
この会社も化学物質に関しては、別紙となっており環境負荷物質リストと表現されています。その中は禁止物質、申告必須物質、要請時報告物質に分かれています。
鉛に関しては、禁止物質のところに記載があります。
A列は、○○No.という形で通し番号が振られています。B列は、環境負荷物質(群)(英語名)となっており、Lead and its compounds, all membersと書かれています。
C列は、環境負荷物質(群)(日本語名)となっており、鉛及びその化合物類となっています。
D列は、CAS-No.となっており個別の化学物質の場合はCAS番号が書かれています。鉛に関しては群で指定されているため書かれません。
E列は、別表と項目が書かれており〇がついていると別表に個別の例示物質が書かれていることを示しています。鉛の項目は、〇がついています。
F列は、閾値(意図的添加は閾値以下でも禁止)と書かれており鉛の項目は、1000ppm(0.1%)となっています。
鉛の別表を見ると425の物質が記載されています。とても全部は見切れません。
管理人の個人的感想
E社とは全く対照的で、鉛及びその化合物類に対して閾値は一つしか存在しません。単純でいいのですが、これは、F社とE社の製品が全く異なることに依存しているかもしれません。必ずしも、すべてのメーカーがこのような方法を取れるかと言えば難しいかもしれませんし、本当にこれだけで大丈夫なのか管理人は判りません。また、別表の物質はこれでもかというほど沢山書かれています。まじめな担当者が、これ全部チェックするのかと思ったとしたら大変です。また、RoHS10物質の確認に非常にこだわりがあるとグリーン調達基準から読み取れました。
今回も管理人読み解くのに結構時間がかかっています。会社によってかなり違った書き方がされているのがお分かりいただけてきたかと思います。
11社全部やる根性もなくりかけてきていますが、もう1回はやろうと思います。そこで途絶えても勘弁してください。
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