2022年10月7日、経済産業省のニュースリリースに「ストックホルム条約残留性有機汚染物質検討委員会第18回会合(POPRC18)が開催されました」という記事が載りました。
これは、9月26日から30日にかけてイタリアのローマで行われたPOPRC18で決まった内容を発表したものです。
前回のPOPRC17は、2022年の1月に対面とオンラインのハイブリッドで行われているので、1年の間に2回行われたことになります。
POPRC18で決定された主な内容
ここでは、POPROC18で決定された主な内容を見ていきます。経済産業省のニュースリリースのパクリともいう(^^;。
条約対象物質へ追加されたもの
以下の2物質が新たに条約対象物質に追加されました。
デクロランプラス(提案国:ノルウェー)
この物質の主な用途は難燃剤です。
リスク管理に関する評価及びPOPs条約上の位置付け(製造・使用等の「廃絶」)について検討し、自動車、建設機械、農業機械、医療機器、分析機器等の修理用部品等のためのデクロランプラスの使用を適用除外とした上で、廃絶対象物質(附属書A)に追加することを、COPに勧告することが決定されました。
POPRC17時点では、リスク管理に関する評価を検討する段階に進めるということで、条約対象物質としての検討する物質となっていましたが、正式に条約対象物質になりました。
UV-328(提案国:スイス)
この物質の主な用途は、紫外線吸収剤です。
リスク管理に関する評価及びPOPs条約上の位置付け(製造・使用等の「廃絶」)について検討し、自動車、建設機械、農業機械、医療機器、分析機器等の修理用部品等のためのUV-328の使用を適用除外とした上で、廃絶対象物質(附属書A)に追加することを、COPに勧告することが決定されました。
POPRC17時点では、リスク管理に関する評価を検討する段階に進めるということで、条約対象物質としての検討する物質となっていましたが、正式に条約対象物質になりました。
条約対象物質としての検討が続けられるもの
以下の3物質は、今後も条約対象物質としての検討が続けられる物質です。
クロルピリホス(提案国:欧州連合)
この物質の主な用途は殺虫剤です。
リスクプロファイル案を審議し、残留性、濃縮性、長距離移動性及び毒性等を検討した結果、クロルピリホスについて、重大な悪影響をもたらすおそれがあると結論づけることに合意が得られなかったため、今後更なる情報を収集し、次回会合(POPRC19)において議論を継続することとなりました。
POPRC17の時点では、リスクプロファイル案を作成する段階に進めるとなっていたのですが、次のリスク管理に関する評価を検討する段階に進めるということにはならなかったようです。
中鎖塩素化パラフィン(炭素数14から17で塩素化率45重量%以上のもの)(提案国:英国)
この物質の主な用途は、難燃性樹脂原料等です。
リスクプロファイル案を審議し、残留性、濃縮性、長距離移動性及び毒性等を検討した結果、中鎖塩素化パラフィン(炭素数14から17で塩素化率45重量%以上のもの)が重大な悪影響をもたらすおそれがあるとの結論に達し、次回会合(POPRC19)においてリスク管理に関する評価を検討する段階に進めることが決定されました。
この物質もPOPRC17の時点では、リスクプロファイル案を作成する段階に進めるとなっていたのですが、こちらは次のリスク管理に関する評価を検討する段階に進めることになりました。
従って、次のPOPRCでリスク管理に関する評価が検討されPOPs条約上の位置づけが決まれば、条約対象物質へ追加されていくプロセスになります。
長鎖ペルフルオロカルボン酸(PFCA)※とその塩及び関連物質(提案国:カナダ)
この物質の主な用途は、フッ素ポリマー加工助剤、界面活性剤等です。
リスクプロファイル案を審議し、残留性、濃縮性、長距離移動性及び毒性等を検討した結果、長鎖ペルフルオロカルボン酸(PFCA)とその塩及び関連物質が重大な悪影響をもたらすおそれがあるとの結論に達し、次回会合(POPRC19)においてリスク管理に関する評価を検討する段階に進めることが決定されました。炭素数は、9から21です。
この物質もPOPRC17の時点では、リスクプロファイル案を作成する段階に進めるとなっていたのですが、こちらは次のリスク管理に関する評価を検討する段階に進めることになりました。
従って、次のPOPRCでリスク管理に関する評価が検討されPOPs条約上の位置づけが決まれば、条約対象物質へ追加されていくプロセスになります。
次回のPOPRCやCOP
次回のPOPRC19は、2023年の10月にローマで開催される予定です。また、次回の締約国会議であるCOP11は、2023年の5月にスイス・ジュネーブで開催される予定です。
COP11では、POPRC17および18で条約対象物質に勧告されているメトキシクロル、デクロランプラス、UV-328について議論が行われ、順調にいけば、まあ条約対象物質になると思われます。
ちょっと宣伝
以前の記事ケミカルマテリアルJapan 2022 ONLINEに出展しますに書いたように、2022年10月17日10:00~10月28日17:00のケミカルマテリアルJapan 2022 ONLINEに(一社)産業環境管理協会(JEMAI)が出展します。
来場者の事前登録は、既に始まっていますので登録はしておきましょう。
JEMAIの中のコンテンツの一つに製品化学物質管理2022というのがあるのですが、何とそれは、管理人が話をしています。しかも、動画で(゜o゜)。
ですが、POPRC18の情報は、時間的に間に合わずPOPRC17の結果をベースにお話ししています。他の話もしていますので、興味のある方は見てやってください。
感想なんかも聞かせていただけると大変助かります。
コメント
還暦環境調査員より
お疲れ様です。連日の報告ありがとうございます。
前日のchemSHERPAに続き POPRC18ストックホルム条約規制候補物質調査の案内拝見しました。
クロルピリホス・・聞きなれない物質ですよ 早速PCで調べたら
殺虫剤(白アリ)などに使用との事。
経済産業省が会議に参加ともあるし
また、音頭取って近々に調査依頼くるのかなあ
あっ CAS NO,載ってる となるとChemSHRPAやIMDSとかで調べて下さいと言われそうだな。
感想文になってしまいました。すいません。
還暦環境調査員様、コメントありがとうございます。管理人です。
外出があったので返事が遅れました。
環境調査員様の会社が成形品を主な製品として販売していて、木材を使っていないなら、クロルピリホスは無視して大丈夫ですよ。
まともな顧客なら調査しないと思うし、何でも聞いできちゃう会社があったとしても、樹脂とか金属材料でものを作っている会社なら切り捨てごめんで良いと思います。
還暦環境調査員より
返信ありがとうございます。
調査依頼来たら木材使用してないからって言ってやります。
まあ成形品が主ですから無さそうですね。
一安心です。
還暦環境調査員様、お返事ありがとうございます。管理人です。
まあ、そう答えてみてください。わかってる人なら納得してくれると思うのですが。