循環経済(circular economy)と化学物質管理(その9)

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循環経済(circular economy)と製品化学物質管理の9回目です。

今回も、循環経済対応の製品含有化学物質管理 ディスカッションペーパーの続きで、4.2 リサイクル材の適切な利用のための管理からになります。

対象プロセスに関しては、循環経済(circular economy)と化学物質管理(その7)に書かれた図をご覧ください。

では行ってみましょう。

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4.2 リサイクル材の適切な利用のための管理<対象プロセス:2>

この中には、以下の2項目があります。
 4.2.1 循環された資源の適切な利用のための管理
 4.2.2 再生プラスチックの利用における管理の例

4.2.1 循環された資源の適切な利用のための管理

この部分には、主に再生資源(循環された資源)をより使うためには何が必要かが書かれています。

  • 製品含有化学物質管理に再生資源に関する基準も明確に書く(再生資源は、バージン資源に比べて管理すべき項目が多くなる)。
  • 製品化学物質情報を収集する、受け入れ時の確認は従来の材料と同等に行うのだが、再生資源であることを明確にしたうえで行う。
  • 供給者における製品化学物質の管理状況の確認については、再生資源の場合、バージン材とサプライチェーンが異なるために、循環プロセスや材料によって異なる合理的な製品化学物質管理が必要になります。
    この項目には、(a)~(i)まで沢山の方法が書かれているのですが、どれを使うかは循環プロセスや材料によって異なると考えます。

実際、再生資源を使用する場合(特にポストコンシューマー材)は、管理状況を確認し何が管理されていれば大丈夫なのかを見極めるのは結構大変です。

供給者における管理工数がかかりすぎて、本来であれば安く手に入るはずの再生資源がバージン材より高くなってしまうなどとなったら経済的には回りません。

4.2.2 再生プラスチックの利用における管理の例

この項目には、家電リサイクル法によるリサイクルで出てきたプラスチックを再生資源として利用する例が載っています。

考え方の要点として

  • 有害物質の含有はあって当たり前と考える(規制前の製品がリサイクルに持ち込まれる)
  • リスクを以下に下げるかが重要
  • プロセスで管理する

と言うことが書かれています。

入り口部分として、以下のように書かれています。

実際の管理として、添加物の分かるものとわからないものを分ける。というか、出所(材料や添加)がわかっているリサイクル品を回収する。

破砕は、汚染などを考え自社で行うと安心。

工程での管理部分として

洗浄、希釈、トレーサビリティーの確保、ロットごとの検査が書かれているのですが、結構工程かかるな、と思わずにはいられません。

どれだけ効率的に行えるかが、カギになるでしょう。

4.3 サプライチェーンにおける資源循環のための対応<対象プロセス:3>

この中には、以下の2項目があります。
 4.3.1 製造者としての製品の適切なリサイクルのための対応
 4.3.2 排出者としての排出物の適切なリサイクルのための対応

4.3.1 製造者としての製品の適切なリサイクルのための対応

ここには、家電リサイクルシステムにおける環境配慮設計の例がまず挙げられている。

JISにおけるブラスチックの識別や表記、その他にも金属部品の材料表示、難燃剤の有無、金属インサートの表示など、解体分別に役に立つ情報の表示がなされている。分析しなくても処理が可能になる。

ただ、重さには下限があってプラスチックだと25g以上の物に表示だったはず(あまり記憶に自信がない)。

次に書かれているのは、欧州で実施されているSCIPの例である。SCIPについては、本ブログで過去に記事にしているので参照してください。サイト内検索でSCIPと入力すれば出てきます。

そして、最後にサプライチェーンからインバースサプライチェーンへの情報伝達という言葉が出てくるのですが、インバースサプライチェーンってなんだ?用語の定義に書いてないぞ?

リバースサプライチェーンと何が違うんだ?意味は分かるけど?

と言うことで、同じ意味だと思っていいと思います。

サプライチェーンとインバースサプライチェーンには、3つのギャップがあると書かれています。

  1. 情報項目
    メーカーの持つ情報とリサイクル処理業者に必要な情報の間のギャップで、リサイクル処理のレベルによっても必要な情報は異なります。
  2. 組織間のつながり
    セットメーカーと処理業者の間のつながりがない。家電リサイクル法では、家電メーカーそのものが出資してリサイクル事業所の運営に関わっている場合もあるが少数です。
  3. 時間
    メーカーが市場に出してからリサイクル品として返ってくる場合、耐久消費財だと10年もかかる場合がある。

その他には、通常の家庭から廃棄物は、地方自治体が処理を管轄しているし、事業所からの廃棄物は、リサイクル業者に委託しているなど、日本においては、リバースサプライチェーンはかなり複雑です。

次回は、4.4 リバースサプライチェーンのリサイクルにおける製品含有物質管理から

次回は4.4 リバースサプライチェーンのリサイクルにおける製品含有物質管理の部分からです。

この文書は、年内では終わらないのが確定ですね(^^;。


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