循環経済(circular economy)と製品化学物質管理の7回目です。
今回からは、いよいよ循環経済対応の製品含有化学物質管理 ディスカッションペーパーについて見ていきたいと思います。
この文書は、2024年10月1日にEd.3.1が発表され、それが最新版になっています。
では行って見ましょう。
循環経済対応の製品含有化学物質管理 ディスカッションペーパー(Ed.3.1)には何が書かれているのか?
この文書は、chemSHERPA HPの管理ガイドラインのタブの製品含有化学物質の管理および 情報伝達・開示に関するガイダンスと言う場所にあります。
使用規約に同意して必要情報を入れてDLしましょう。
目次は大きく以下のようになっています。
1.本ドキュメントの目的
2.範囲
3.用語
4.循環経済対応の製品含有化学物質管理
5.参考情報:現在の製品含有化学物質管理(サプライチェーン)
ただ、文書全体は35頁ですが、4.循環経済対応の製品含有化学物質管理の部分が、P.11-34を占めておりここがこの文章の内容と言っても良いでしょう。
実際、この部分は小項目に分かれており以下のようになっています。
4.1 サプライチェーンにおける製品含有化学物質管理の再確認<対象プロセス:1>
4.1.1 併行生産の管理
4.1.2 リサイクル材のリスク管理
4.1.3 循環経済に配慮した設計開発における製品含有化学物質管理
4.2 リサイクル材の適切な利用のための管理<対象プロセス:2>
4.2.1 循環された資源の適切な利用のための管理
4.2.2 再生プラスチックの利用における管理
4.3 サプライチェーンにおける資源循環のための対応<対象プロセス:3>
4.3.1 製造者としての製品の適切なリサイクルのための対応
4.3.2 排出者としての排出物の適切なリサイクルのための対応
4.4 リバースサプライチェーンのリサイクルにおける製品含有物質管理<対象プロセス:4a>
4.4.1 プラスチックのマテリアルリサイクルにおける製品含有化学物質管理
4.4.2 プラスチックのケミカルリサイクルにおける製品含有化学物質管理
4.4.3 金属のリサイクルにおける製品含有化学物質管理
4.4.4 古紙のリサイクルにおける製品含有化学物質管理
4.5 部品再利用、再製造における製品含有化学物質管理<対象プロセス:4b>
4.5.1 製品の回収、部品の再利用、製品の再製造における製品含有化学物質管理
4.6 サーキュラリティ向上のための製品含有化学物質管理<対象プロセス:5>
4.6.1 人と環境に配慮した資源循環(化学物質の在り方)
4.6.2 製品含有化学物質管理 シナリオ
4.6.3 化審法 化審法第一種特定化学物質を例とするリサイクル材リスクの考え方
そして対象プロセスの番号が書いてあるのですが、こればかりは図を見ないとどこだかわからないので、この部分だけは、実際の文書から引用します。
循環経済対応の製品含有化学物質管理 ディスカッションペーパー(Ed.3.1)より引用
実際のところこの図自体が、経産省の環境経済ビジョン2020の図に加筆したものです。
でも、これも本来の循環経済(CE)の図ではないんですよね。
この図は、循環経済(circular economy)と化学物質管理(その5)で示した元々の循環経済(CE)のバタフライダイアグラムの片方の羽根だけが書かれている状態になっており、日本においてはほぼそこだけが議論になってしまっているのが現状です。
1. 本ドキュメントの目的
ここには、単純に言ってしまうと、循環経済への移行によって今までほとんど原料から製造、使用までしか考えていなかった製品含有化学物質管理で静脈側も考える必要が出てきている。
けれども、製品含有化学物質の管理レベルが低下することがないように、更には資源循環への取り組みが効率的になるようには、何が問題かどう対応するのかを考えるためのものだということになります。
2. 範囲
範囲は、上で引用した対象範囲とするプロセス、製品、サービス(1)に示された範囲になります。
更には、サーキュラーエコノミーの9Rフレームワークのうち対象とするものしないものは以下のように切り分けられています。これって正しいのかどうか管理人にはわかりません。
対象とするもの
- R3:Reuse
- R4:Repair
- R5:Refurbish
- R6:Remanufacture
- R7:Repurpose
- R8:Recycle
対象としないもの
- R0:Refuse
- R1:Rethink
- R2:Reduce
- R9:Recovery
3. 用語
用語は、実際の文書を読んでください(なんて無責任な)。
ただ、プラスチックのリサイクルについては、特別に表を使って分類しています。日本における一般的な呼び名とISOやJISの呼び名が異なることや、この文書で扱うのがどのプラスチックリサイクルなのかも記載されています。
次回も、この文書の続きです
次回もこの文書の続きと言うか、本題部分に入っていこうと思います。
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