循環経済(circular economy)と化学物質管理(その5)

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循環経済(circular economy)と製品化学物質管理の5回目です。

今回は、突然なのですが、循環経済(circular economy)と化学物質管理(その2)で紹介した2024年10月10日にJEMAI主催で行われた、循環経済(サーキュラーエコノミー)基礎セミナーについて記事にしたいと思います。

と言うのも、管理人、JEMAIの技術顧問をやっているので、聴講の機会を得ることができたのです。

もちろん、有料セミナーですから内容について書くことはできないのですが、講師の先生方の話を聞いて、「そうなのか!」と思った点を一点づつだけ記載します。

セミナー内容の全体とはあまり関係ない話になっていることにご注意ください(いや、そうでもないのもあるか)。

何かクレームが来た場合は、この記事は削除予定です。

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どんなセミナーだったのか

実際のセミナー内容は、

循環経済(サーキュラーエコノミー)基礎セミナー

に記載されているのですが、終了してしまっているので、そのうちページが無くなると思います。

まず、このセミナーのポイントの記載よれば、

<説明会のポイント>
 ■循環経済の考え(概念)を正しく理解する
 ■国際規格や関連する国内外の制度・規制の把握
 ■循環経済社会において事業者に求められることをつかむ(事業活動や実務への影響)

となっています。確かにここだけ見ると基礎セミナーのように思えますが、内容的には、基礎ではありません(^^;。というか、今の循環経済の状況についてほぼ知ることができるような講演でした。

そして、講師の先生方とその講演テーマのみ記載しておきます。

【講演1】
 サーキュラーエコノミーが生み出す新しい付加価値
 講師:中村 崇
〔東北大学名誉教授、ISO/TC323(Circular Economy)国内委員会委員長〕

【講演2】
 ISO/TC323(サーキュラーエコノミー)における規格開発と今後の動向
 講師:胡桃澤 昭夫
〔(一社)産業環境管理協会、ISO/TC323 国内審議団体事務局〕

【講演3】 
 サーキュラーエコノミー時代における事業者実務のポイント
 講師:市川 芳明
〔多摩大学客員教授、ISO/TC323/WG2コンビーナ〕

と言うことで、日本の循環経済の第一人者の方々で構成されています。

そうなのか!と思った点

サーキュラーエコノミーを象徴するバタフライダイアグラムは時間軸を無視している

まずは、中村先生の講演からです。

下図は、サーキュラーエコノミーを提唱したエレンマッカーサー財団の有名なバタフライダイアグラムです。このような図は、サーキュラーエコノミーの解説を見ているとあちこちで見ることができます。

しかしながら、この図、時間軸を無視して描かれています。

エレン マッカーサー財団のHPより引用

図では、左右がほぼ同じ大きさで書かれていますが、これがある意味誤解の素です。

現代の右側の速度は、左側に比べ圧倒的に早く、資源としての再生スピードは、左側は右側に全く追いつきません。これは、最終的に太陽エネルギーに依存する光合成が素晴らしいものではあるものの、効率が高いというわけでなく遅い反応であることに依存しています。

2024年5月に発行された規格は、直ちに見直しに入る

次は、胡桃澤先生の講演からです。

今年の5月に、循環経済(circular economy)と化学物質管理(その3)にも書いたように、
ISO 59004、ISO 59010、ISO 59020の三つの規格が発行されました。

しかしながら、これらの三つの規格は、直ちに見直しに入るとのことです。通常、規格が発行して直ちに見直しに入ることはありません。

つまり、これらの規格は、規格を発行しないと審議時間が長すぎてお流れになってしまうため、無理やり発行されているということです。

循環経済(サーキュラーエコノミー)は、国際間で整合が取れているのかと言えば、まだまだなのだろうということを象徴しているように管理人は感じました。

循環経済(circular economy)もEUの戦略の一環

最後は、市川先生の講演からです。

EUは世界のあるべき姿を提唱し、規格を作り(何せISOを作る際には、EUではなく各国に投票権がある)、それに対応するような規制を課して、世界をリードするというような施策を取っています。

そして、欧州経済の優位性や発展を促そうとしているわけです。

循環経済(circular economy)もその中の一つと考えられます。それに基づいた規制もどんどん作られています。

まあ、そうなのですが、このようなやり方が世界をリードして欧州の経済の活性化や雇用の創出につながっているのかと言えば、個人的には結構疑問です。検証していないので何とも言えませんが。

次回は、ISO-59000シリーズの続き

次回は、ISO-59000シリーズの続きに戻って、規格化されているISO-59020について見ていきたいと思います。


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