循環経済(circular economy)と製品化学物質管理の4回目です。
この記事は一度上書きして消してしまったため、再度書いていますが、内容は同じでも前の時と全く同じにはなっていないと思います(^^;情けない。
今回は、ISO 59010:2024 Circular economy — Guidance on the transition of business models and value networks (循環型経済 – ビジネスモデルと価値ネットワークの移行に関するガイダンス)を見ていこうと思います。
イントロダクションに重要なことが記載されている
このISO 59010:2024は、イントロダクションが結構長く、ISO 59004:2024との関係などいろいろ書いてあるのですが、とても重要なことが書かれています。
著作権の関係上書けないとは思うのですが、ISOのISO 59010:2024のページに行ってサンプルを開いて、Figure 3を見てください。
ここには、この文書の主な構成が書かれているのですが、はっきり言って、ISO 59010:2024のエッセンスそのものだと思います。
それを見ると、このガイダンスに基づいてどう循環経済に移行するかがわかるようになっています。
それによれば、
まず目標設定と境界条件の決定(4条(章))を行い、次に循環経済戦略の決定(5条)を考え、組織の価値創造モデルを循環性へ移行する(6条)もしくは、価値ネットワークを循環性へ移行する(7条)を実行し、継続的改善のためのレビューとモニタリング(8条)するとなっています。
あれ、これどっかで見たことがあるぞ?ISO 9000やISO 14000と同じ、PDCAの構造そのものですね。
と言うことは、認証を考えてる?ということが頭をよぎりました。
ですがこの文書には、そのようなことは書かれていないと思います。
それに、循環経済の場合、境界条件をどうするかはとてつもなく難しいと思うのは管理人だけ?自社だけの循環経済なんてほとんど意味ないし、、、。
ISO 59010:2024 Circular economy — Guidance on the transition of business models and value networksには何が書いてあるのか?
では、実際にISO 59010:2024 Circular economy — Guidance on the transition of business models and value networksには何が書いてあるのか見てみましょう。
とは言え、目次くらいしか見られないので、そこから類推するしかありません。
以下メインコンテンツである4条(章)から見ていきましょう。
4. Setting goals for the transition to a circular economy value creation model and its boundary
循環経済の価値創造モデルへの移行に向けた目標とその境界の設定
4.1 Goal definition
目標の定義
4.2 Understanding the current value creation model and value network of the organization
組織の現在の価値創造モデルおよび価値ネットワークの理解
4.3 Mapping the value chain and networks of flows
バリューチェーンとフローのネットワークのマッピング
4.4 Setting the boundary for addressing circularity
循環性に対応するための境界の設定
4.5 Understanding current circularity performance
現在の循環性パフォーマンスの理解
4.6 Considering actions that contribute to a circular economy
循環経済に貢献する行動の検討
5. Determining a circular economy strategy
循環経済戦略の決定
5.1 Identifying gaps and opportunities
ギャップと機会の特定
5.2 Determining a circular economy strategy based on circular economy principles
循環経済の原則に基づく戦略の決定
5.3 Addressing economic rationalization
経済合理化への対応
6. Transitioning the value creation model of an organization towards circularity
組織の価値創造モデルを循環性に移行する
6.1 Developing a plan
計画の策定
6.2 Reviewing the elements of the value creation model in light of desired changes
希望する変化に基づいて価値創造モデルの要素を見直す
7. Transitioning a value network towards circularity
価値ネットワークを循環性に移行する
7.1 General
一般
7.2 Establishing shared objectives, strategy and plan
共有された目標、戦略、計画の確立
7.3 Implementing appropriate value network governance
適切な価値ネットワークガバナンスの実施
7.4 Leveraging or establishing shared infrastructures (physical and digital)
共有インフラ(物理的およびデジタル)の活用または確立
8. Reviewing and monitoring for continual improvement
継続的改善のためのレビューとモニタリング
8.1 Measuring and assessing circularity performance
循環性パフォーマンスの測定と評価
8.2 Improving the value creation model of the organization
組織の価値創造モデルの改善
8.3 Improving the value network
価値ネットワークの改善
多少詳しくはなっていますが、イントロダクションに書かれていた文書構造と内容そのものになっています。ですので、この文書の本質は、Figure 3に集約されています。
この後に、Annex A Supplementary examplesという附属書Aとして補足例が書かれています。
A.1 Example for mapping the value chain and network (see 4.4)
バリューチェーンおよびネットワークのマッピング例(4.4参照)
A.2 Example of the cumulative environmental impact over the solution’s life cycle (see 5.2)
ソリューションのライフサイクルにおける累積環境影響の例(5.2参照)
A.3 Example of materiality matrix (see 5.2)
マテリアリティマトリックスの例(5.2参照)
A.4 Example of economic rationalization (see 5.3)
経済合理化の例(5.3参照)
A.5 Example of reverse logistics (see 4.6)
リバースロジスティクスの例(4.6参照)
A.6 Example of industrial symbiosis
産業共生の例
ここには、例と書かれているのでかなり具体的なことを期待してしまいますが、全然そんなことはありません。
管理人、完全に規格になる前の文書をチラ見したことがあるのですが、概念より一段下がったくらいで、こういう考え方をするんだよくらいだと思います。
実際の例は、ISO/TR 59032:2024 Circular economy — Review of existing value networks(循環経済 — 既存の価値ネットワークのレビュー)にテクニカルレポートとして報告されています。
次回は、ISO-59000シリーズの続き
次回は、ISO-59000シリーズの最後となる、ISO 59020:2024 Circular economy — Measuring and assessing circularity performance (循環型経済 – 循環パフォーマンスの測定と評価)を記事化の予定です。
その後に、製品含有化学物質管理 ディスカッションペーパーを見て、このシリーズは終わりの
コメント
残念ながら、ヨーロッパ主導の認証前提のアクションです、どうにも止められない。ISOができて、認証ビジネススタートしたからと言って、英仏が共同でやっている27000シリーズの認証のように、そのビジネスは成功するとは限りませんが、取引関係で主張する/される事はあるでしょう。
Noriaki様、コメントありがとうございます。管理人です。
まあ、そうなんだろうなという感じで見ていましたが、より近いところにいる方からのコメントなので確実性があります。
ただ、これ個人的には認証する気には全くならないですね。もし会社にいたら大反対するでしょう。