循環経済(circular economy)と化学物質管理(その3)

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循環経済(circular economy)と製品化学物質管理の3回目です。

循環経済(circular economy)を考えるとき、その中に含まれている化学物質(ここでは、材料などの製品構成しているすべては化学物質という考え方をしています)は、切っても切り離せない関係になっています。

今回からは、ISO規格(ISO 59000シリーズ)の概要をみていきたいと思います。

管理人は、ISO規格そのものは購入していません。いくら経費として扱って良くても個人事務所にとっては高すぎます(^^;。

ですので、それなりの中身にしかなっていません。実際の詳細を知りたい方は規格を買ってください(なんて他力本願な(^^;)。

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現在まで発行されているISO 5900シリーズには何があるのか?

ISO 5900シリーズは、いくつかの規格の集合体なわけですが、現在までに発行されているものは、以下の3つの規格です。

  • ISO 59004:2024 Circular economy — Vocabulary, principles and guidance for implementation (循環型経済-用語、原則、実施のための指針)
  • ISO 59010:2024 Circular economy — Guidance on the transition of business models and value networks (循環型経済 – ビジネスモデルと価値ネットワークの移行に関するガイダンス)
  • ISO 59020:2024 Circular economy — Measuring and assessing circularity performance (循環型経済 – 循環パフォーマンスの測定と評価)

うーん、題名だけだとISO 59004:2024以外はなんだか良く解りませんね。

それとISO 5900シリーズは、この3つだけではありません。他は、まだ発行されていませんが、

  • ISO 59040 Circular economy —Product circularity data sheet (製品の循環性のデータシート)
  • ISO 59014 Environmental management and circular economy —Sustainability and traceability of the recovery of secondary materials —Principles and requirements 
    (環境マネジメントと循環型経済 -二次材料の回収の持続可能性とトレーサビリティ -原則と要件)
  • ISO/TR 59031 Circular economy —Performance-based approach —Analysis of case studies (循環経済-成果を基礎としたアプローチ ーケーススタディの分析)
  • ISO/TR 59032 Circular economy —Review of existing value networks (循環経済-既存の価値ネットワークのレビュー)

があります。

では、発行された規格には何が書いてあるのか、わかる範囲で見ていきましょう。

ISO 59004:2024 Circular economy — Vocabulary, principles and guidance for implementationには何が書いてあるのか?

ISO 59004:2024は、用語、原則、実施のための指針が書かれているものになるので、ISO 59000シリーズの基本となるものと考えて良いでしょう。

序文の後にイントロダクションが書かれており、ここには、規格の背景やISO 59000シリーズのお互いの関係やこの文書の目的が書かれています。

その後は、以下のような章立てになっています。用語の定義までは、Sampleで見ることができます。
そういう意味ではキーとなる内容は見ることができません。
しかし、各章のサブタイトル(5.1とか5.2.1とかの部分)は目次として見ることができるので、大体何のことが書いてあるかは、知ることができます。

1 Scope (適用範囲)
2 Normative references (参考文書)
3 Terms and definitions (用語と定義)
3.1 Terms related to a circular economy
3.2 Terms related to solutions
3.3 Terms related to resources
3.4 Terms related to organizations and other interested parties
3.5 Terms related to value creation models and design and development
3.6 Terms related to measurement and assessment
4 Circular economy vision (循環経済のビジョン)
5 Circular economy principles (循環経済の原則)
6 Actions that contribute to a circular economy (循環経済に貢献する行動)
7 Implementation guidance (実施ガイダンス)
Annex A List of drivers (推進するためのリスト)
Annex B Non-exhaustive list of examples of actions (非網羅的な行動例のリスト)
Annex C Considering a sustainable development perspective in action (行動において持続可能な開発の視点を考慮する)

3の用語と定義の用語の数は、何に関係しているかで6つのサブタイトルがあり、全体では半端ない量であることがわかります。

これでは、どこまで規格を正しく読めるんだろうとげんなりしてしまいます。

では、4-7のキーとなる中身は何でしょうか?ここは、管理人の場合、サブ項目までの内容で推測するしかないのですが、以下のようなことだと思います。

4の循環経済のビジョンは、人類がサステナブルであるためには云々みたいなイントロで書かれているようなことを長期的に目指す姿として書かれているのでしょう。

5の循環経済の原則については、一般項目の次に、原則としてシステム思考と価値の創造と共有、資源の管理責務やトレーサビリティ、そして生態系の回復力について書かれています。当然、最終的には生態貝絵の回復力以下の資源を使うとことになるでしょう。

6の循環経済に貢献する行動には、付加価値を生み出す行動(循環型の設計、調達、プロセス最適化など)、価値保持に貢献する行動(リデュース、リユースやメンテナンス、シェアリングなど)、価値の回収に貢献する行動(リバース・ロジスティクス、資源のカスケード利用、リサイクル、素材回収、廃棄物管理など)、生態系を再生するための行動、循環型経済への移行を支援する行動(教育や研究、政策、金融制度、デジタル化など)などが書かれています。

7の実施ガイダンスには、コンテクストと参考状況の評価、循環型経済の目的、使命、ビジョン、目標の定義、循環経済の戦略的優先事項と行動計画の策定、循環経済の実施、循環経済のモニタリング、レビュー、報告というようなPDCA的なことが書かれています。

この後に附属書があるわけですが、そちらの方が多少具体的なことが書いてありそうな気がします。

目次だけでの推測からでも、いや一般的にはそうだろうけどさ、実際のところは部分最適解にしかなりかねないよねとか、ISO 59020:2024 循環型経済 – 循環パフォーマンスの測定と評価でやるんだろうけど、国や地域の文化との整合性はどうするんだろうとか、ISO 9000や14000より数段わけわからなくなりそうと思うのは管理人だけでしょうか。

次回は、ISO-59000シリーズの続き

このシリーズは、あまり長々とやっても仕方ないと思っています。何せ、今まで見てきたように化学物質への言及は少ないです。

ISO-59000シリーズが終わった後は、chemSHERPA HPに掲載されている、循環経済対応の製品含有化学物質管理 ディスカッションペーパー(Ed.3)を見て(1回で終了するかは不明)このシリーズは一旦終了としたいと思います。


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