先日、ECHAがPFAS制限に関する案を公表という記事を書きました。皆さんから、色々コメントを頂いており、関心の高さがうかがえます。
この案は、報告書として200ページ以上ある上に、附属書が10個もついている膨大なものです。ですので前の記事では、中身をほとんど取り上げていませんでした。
今回、ちょっとだけどんな報告書や附属書があるのか見てみましたので紹介します。
報告書の目次(内容じゃありません)
まずは、200ページ以上ある報告書の目次ですが、項目が例えば1. 1.1 1.1.1 1.1.4.1のように4段もの細分化項目が存在するために、とてもじゃないけれども細分化したところまで紹介する気になれません。最初の小項目までの目次は以下のようです。
Summary (まとめ)……………………………………………………………………………….. 1
1. Problem identification (問題の特定)……………………………………………………….. 13
1.1. Hazard, exposure/emissions and risk (ハザード、曝露・排出とリスク)……….. 14
1.2. Justification for an EU-wide restriction measure (EU全域の規制措置の正当性).. 50
1.3. Baseline (基準値)…………………………………………………………………………… 52
2. Impact assessment (影響評価)…………………………………………………………….. 62
2.1. Introduction (導入)…………………………………………………………………………… 62
2.2. Regulatory risk management options (規制リスクマネジメントの選択肢)……….. 62
2.3. Restriction scenario(s) (制限のシナリオ)…………………………………………………. 75
2.4. Assessment of the restriction options (制限オプションの評価)……………………. 77
2.5. Practicability and monitorability (実施可能性及び監視可能……………………………. 169
3. Uncertainties (不確実性)……………………………………………………………………… 175
4. Conclusion (結論)……………………………………………………………………………… 178
5. References(参考資料) ………………………………………………………………………… 181
こうやってみると、多分、最初のまとめの12ページを読めば何とかなるのではないか考えられます。
ここには、最初にイントロが書かれた後、PFASについての懸念事項、規制リスクマネジメントの選択肢、範囲(制限する物質の範囲)、社会経済分析、比例原則による結論の順に記載されています。
この文章の後に制限の案は、P.4-8の4ページにもわたって記載されています。この部分は、二つのカラムがあるのですがカラム1には、制限する物質、物質群、または混合物の指定しかされていません。いわゆるPFASの定義ですね。
カラム2には、実際の制限の案について書かれています。
実際の制限の案には何が書いてあるのか
では、制限の案には何が書いてあるのでしょうか。
- 単独の物質として製造、使用、上市してはならない。
- 以下の濃度またはそれ以上の濃度で上市してはならない。
a. 他の物質の構成分として
b. 混合物
c. 成形品
i. 対象のPFAS 分析で測定された任意の PFAS について 25ppb (高分子 PFAS は定量化から除外される)。
ii. 対象のPFAS 分析の合計として測定された PFASs の合計について、任意で前駆体の事前分解を伴って250ppb(高分子 PFAS は定量化から除外される)
iii. PFASs について 50 ppm(高分子 PFASs を含む)。総フッ素量が 50mg F/kg を超える場合、製造者、輸入者または川下使用者は、要求に応じて、PFASs または非 PFASs のいずれかの含有量として測定したフッ素の証拠を施行当局に提供するものとする。 - 第1項および第2項は、制限の発効から18ヶ月後に適用されます。
- 適用除外として、第1項と第2項は以下のものには適用されない。
a. 規制(EU)528/2012 の範囲内の殺生物剤中の活性物質。
b. 規則(EC)1107/2009 の範囲内の植物保護製品に含まれる活性物質。
c. Regulation (EC) No 726/2004、Regulation (EU) 2019/6 および Directive 2001/83/EC の範囲内のヒトおよび動物用医薬品の活性物質。
a)~c)の活性物質の製造者及び輸入者は、2年毎に以下の情報を当局に提出しなければならない。i. 意図的な使用が属する軽減措置。
ii. 上市された活性物質の特定と数量
この後、第5項以降にはいろいろな場合の発効日から何年間は適用除外だよとかいうことが延々書いてあります。ただ、まだ確定していない部分だと思います。必要な方は原文をあたってください。
附属書には何があるのか
一方、10個もある附属書には何が書かれているのでしょうか?
附属書A:製造方法と用途
附属書B:危険性・有害性情報
附属書C:組合単位での行動の正当化(本文はありません)
附属書D:基準値(本文はありません)
附属書E:影響評価
附属書F:前提条件、不確実性および感応度
附属書G:ステークホルダー情報
附属書E4:PFASの規制提案(付属書E.4の付録)の添付資料であり、異なるマトリックスに対して利用可能な分析方法をまとめています。
附属書G1:PFASの規制オプションの分析を支持する証拠の募集
附属書G2:第2回PFASの規制に関するステークホルダー協議
附属書C,Dは、本文が無く内容は今のところありません。G1,G2に関しては、既に過去のものです。
附属書Aは製造方法と用途が書いてあるので、制限を気にされている方には役に立つと思います。
今後は何か動きがあれば追うスタンスです
EUのPFASの制限に関しては、気にされている方が多いと思います。ですが、管理人はまだ完全に決まってもいないこの案の段階での文章を読む力も気力もありません。
今後は、何か動きが有ったら追うという形になると思います。
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