今回のREACH 制限物質(その43)はEntry6のAsbestos fibresです。
これは、あまりにも有名な危険な物質ですね。日本においても、2020年6月に大気汚染防止法が改正され2021年4月から施行されています。詳しくは、環境省のページをご覧ください。
今でも健康被害が増え続けている物質です。
Entry6 Asbestos fibresの基本情報
では、まずEntry6 のAsbestos fibresの基本情報を見ていきましょう。このAsbestos fibresは、6つの鉱石に展開されています。EC NO.は付いていないので省略します。
また、和名や鉱物名、組成式なども本当に正しいのかはよくわかりません。○○石綿の部分は正しいと思うのですが。
化学物質名:Actinolite
和名:アクチノライト、緑閃石、陽起石綿
組成式:Ca(Mg,Fe2+)5[OH Si4O11]2
CAS RN : 77536-66-4
化学物質名:Tremolite
和名:トレモライト、透閃石、透角閃石綿
組成式: Ca2(Mg,Fe)5Si8O22(OH)2 (Mg/(Mg+Fe)=1.0-0.9)
CAS RN : 77536-68-6
化学物質名:Crocidolite
和名:クロシドライト、リーベック閃石、青石綿
組成式:[ ][Na2][Fe2+3Fe3+2](Si4O11)2(OH)2
CAS RN : 12001-28-4
化学物質名:Amosite
和名:アモサイト、茶石綿、カミントン閃石-グニュネル閃石
組成式: (Mg7Si8O22(OH)2) -(Fe2+7Si8O22(OH)2)
CAS RN : 12172-73-5
化学物質名:Chrysotile
和名:クリソタイル、温石綿、白石綿
化学式:Mg3Si2O5(OH)4
CAS RN : 12001-29-5, 132207-32-0
化学物質名:Anthophyllite
和名:アンソフィライト、直閃石綿、直閃石
化学式:(Mg7Si8O22(OH)2)
CAS RN : 77536-67-5
石綿の径は0.02-0.35 μm程度で太めの髪の毛の径100μmの3000から5000分の1程度です。これが肺に取り込まれてがんや中皮腫を引き起こします。
Entry6 Asbestos fibresの危険性は何か
ECHAのSubstance Infocardによれば、この物質は、欧州連合が承認した調和的分類および表示(CLP00)によると、長期または反復暴露により、発ガンおよび臓器障害を引き起こす可能性があるとのことです。
また職場のあんぜんサイトにおいて、クリソタイル(白石綿)についてのSDSを代表例として見てみると、遺伝性疾患のおそれの疑い、発がんのおそれ、呼吸器の障害、長期にわたる又は反復ばく露による呼吸器の障害が書かれています。
実際にアスベストの被害は現在でも続いており、肺がんや中皮腫による死者が後を絶たない状況です。
Entry6 Asbestos fibresはどこに使われているのか
アスベストは、耐久性、耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性に優れた材料であったため、過去には非常にたくさん使われてきました。使用された時期は、1970年代から90年代前半までがピークです。
日本は累積使用量1000万トンを超えており世界第2位の使用量です。
使用用途としては、石綿の紡織品(石綿手袋などもありました)、ブレーキライニング、ブレーキパッド、耐火被覆材、断熱材、建築材料、住宅建材などがあります。
職場のあんぜんサイトにおける、クリソタイル(白石綿)についてのSDSには、
推奨用途及び使用上の制限として、以下の記載があります。
スレート材,ブレーキライニングやブレーキパッド,防音材,断熱材,保温材などで使用されていたが,現在では,原則として製造等が禁止。
制限条件
Entry6 Asbestos fibresの制限条件は以下のようなものです。
- これらの繊維、及びこれらの繊維を意図的に添加した物品及び混合物の製造、上市、使用は禁止である。
ただし、2016年7月13日に使用されていた電解設備用のクリソタイルを含む隔膜の使用が、同日まで有効な本項の版に従って加盟国によって除外されていた場合、第1号は、2025年7月1日まで、これらの設備における当該隔膜又は当該隔膜の保守にのみ用いられるクリソタイルの使用には適用されないものとする。ただし、当該使用が欧州議会及び理事会の指令 2010/75/EU (*) に従って設定された許可の条件に従って実施される場合に限る。
このような免除の恩恵を受ける川下ユーザーは、各暦年の1月31日までに、関連する電解設備が所在する加盟国に対し、免除に従ってダイヤフラムに使用されるクリソタイルの量を示す報告書を送付するものとする。加盟国はその写しを欧州委員会に送付するものとする。
そこに労働者の健康と安全を守るために、加盟国が川下使用者による大気中のクリソタイルのモニタリングを要求する場合、その結果はその報告書に記載されるものとする。
(*) 産業排出物(統合的汚染防止管理)に関する2010年11月24日の欧州議会および理事会指令2010/75/EU (OJ L 334, 17.12.2010, p. 17)のこと。 - 2005年1月1日以前に既に設置及び/又は使用されていた1項のアスベスト繊維を含む物品の使用は、それらが廃棄されるか又は耐用年数が終了するまで、引き続き許可されるものとする。
しかし、加盟国は、人間の健康保護の理由から、廃棄されるか又は耐用年数の終わりに達する前に、当該物品の使用を制限、禁止又は特定の条件の対象とすることができる。加盟国は、2005年1月1日以前に既に設置及び/又は使用されていた、パラグラフ1で言及されたアスベスト繊維を含む全体が含まれる成形品を、高いレベルの人間の健康保護を確保する特定の条件の下で市場に出すことを許可することができる。加盟国は、2011年6月1日までに、これらの国内措置について欧州委員会に報告するものとする。欧州委員会はこの情報を一般に公開するものとする。 - 物質及び混合物の分類、包装及び表示に関する他の共同体規定の適用を損なうことなく、前述の緩和に従って許可されたこれらの繊維を含む成形品の上市及び使用は、供給者が上市前に成形品に以下のラベルを付けることを確実にする場合にのみ許可されるものとする。本付属書の付録 7 に従ったものである。
付録7(Appendix 7)には、実際につけるマークやその説明が書いてあります。
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