REACH 制限物質(その13)は、Entry57のCyclohexane(シクロヘキサン)です。
有機溶媒の一つですね。今回も訳が分からない名前や構造はしていないのでちょっとうれしい。
Entry57 Cyclohexaneの基本情報
それではまず、Entry57 Cyclohexaneについての基本情報を見ていきましょう。
化学物質名:Cyclohexane、シクロヘキサン
化学式:C6H12
分子量:84.16
CAS RN:110-82-7
EC No.: 203-806-2
融点:7℃
沸点:81℃
水和性を持つ官能基を持っていないため、水に溶けませんが、アセトンやベンゼンなどの有機溶媒とはよく混じります。
引火点が-20℃と低く、可燃性が非常に高いです。うん、それだけで危険だ。
Entry57 Cyclohexaneの危険性(概略)
ECHAのSubstance Infocardによれば、この物質は飲み込んで気道に入ると致死的な危険性があり、水生生物に対して非常に有毒であり、水生生物に長期的な影響があり、引火性の高い液体と蒸気であり、皮膚刺激性があり、眠気やめまいを起こす可能性があるとされています。
また日本の職場のあんぜんサイトのSDSによれば、更に血管系の障害のおそれがあり、強い眼刺激があると書かれています。
火気厳禁だし、直接暴露していいものでは全くありませんね。
どこに使われているか
ECHAのSubstance Infocardによれば、この物質はREACH規則に登録されていないため、ECHAはまだ登録書類からこの物質に関するデータを受け取っていません。
とあります。
前回のAmmonium nitrate (AN)(硝酸アンモニウム)に続いて、本当かよと思ってしまいます。
使用用途としては、潤滑油およびグリース、凍結防止製品、燃料、接着剤およびシーラント、インクおよびトナー、 洗浄およびクリーニング製品、エアケア製品、コーティング製品、皮革処理製品、ポリッシュおよびワックスなどが挙げられています。
更には、他の物質を作る中間体として用いられると記載されていますが、実際にはこのような他の物質の原料として使用される場合が多いです。
職場のあんぜんサイトのSDSによれば、用途の最も大きいのはカプロラクタム用で、次いでアジピン酸用、残りが有機溶剤(セルロース、エーテル、ワックス、レジン、ゴム、油脂)、ペイント及びワニスのはく離剤である
とあります。
また、NITEのCHRIPによれば、用途としては、シクロヘキサノン(カプロラクタム原料)・アジピン酸原料,有機溶剤が書かれています。
カプロラクタムは、ナイロンの原料ですからその原料となっているわけですね。
制限条件
Entry57 Cyclohexane(シクロヘキサン)の制限条件は以下のようなものです。
- ネオプレン系接着剤の成分として、2010年6月27日以降、350gを超えるパッケージサイズで重量比0.1%以上の濃度で、一般向けへの供給を目的として初めて上市してはならない。
- シクロヘキサンを含有するネオプレン系接着剤で第1項に適合しないものは、2010年12月27日以降、一般向けに上市してはならない。
- 物質及び混合物の分類、包装及び表示に関する他の共同体の法律を妨げることなく、供給者は、2010年12月27日以降に一般の人々に供給するために上市された0.1重量%以上の濃度のシクロヘキサンを含むネオプレンベースの接触接着剤が上市される前に、以下のように明確に、判読可能で、かつ消えないように表示しなければならない。
-本製品は換気の悪い環境下で使用しないでください。
-本製品はカーペット敷設には使用しないでください。
対象はネオプレン系ゴム接着剤に関するものですね。
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