REACH 制限物質(その15)は、Entry55の2-(2-butoxyethoxy)ethanol (DEGBE)です。日本語だとジエチレングリコールモノブチルエーテルの名称が、一般的ですかね。DEGBEもその名称の略称ですし。
Entry55 2-(2-butoxyethoxy)ethanol (DEGBE)の基本情報
それではまず、Entry55 2-(2-butoxyethoxy)ethanol (DEGBE)の基本情報を見ていきましょう。この物質は、SVHCではありません。
化学物質名:2-(2-butoxyethoxy)ethanol (DEGBE)
和名:2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール
化学式:C8H18O3
分子量:162.23
構造式:
CAS RN:112-34-5
EC No.: 203-961-6
別名:ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ブチルカルビトール、3,6-ジオキサデカン-1-オール、Diethylene glycol monobutyl ether、DEGBE、Butyl carbitol等多数
融点-68℃
沸点230℃
この化合物、やたらと別名が存在しますので、注意してください。ジエチレングリコールモノブチルエーテルやブチルカルビトールと呼ばれていることが多いと思うのは、管理人が年寄りなだけ?
Entry55 2-(2-butoxyethoxy)ethanol (DEGBE)の危険性(概略)
ECHAのSubstance Infocardによれば、この物質は重篤な目への刺激があるとされています。
また日本の職場のあんぜんサイトのSDSによれば、目への重篤な刺激だけでなく、可燃性液体であり、眠気又はめまいのおそれがあり、長期にわたる、又は反復ばく露による呼吸器、肝臓の障害が書かれています。
どこに使われているか
ECHAのSubstance Infocardによれば、この物質の欧州域内の生産輸入は10000から100000t/yであり結構多く使用されています。
この物質は、コーティング製品、洗浄・洗浄製品、肥料、化粧品・パーソナルケア製品、熱伝達流体、油圧流体、潤滑油・グリース、植物保護製品、水処理薬品、香水・香料に使用されているとあります。
また、コーティング製品、非金属表面処理製品、実験室用化学品、凍結防止製品、肥料、金属表面処理製品、皮革処理製品、半導体、繊維処理製品および染料、化粧品およびパーソナルケア製品、フォトケミカルなどの製品を作る際に使用されます。皮革処理製品、ポリマーにも使用されるようです。
とはいっても、日本のSDSやNITEのCHRIPでは、用途は溶剤と書かれています。この物質は、いろいろな材料の溶剤としてよく使われます。普通の溶剤にはなかなか溶けないものでも、この物質には溶けるというものも多いと記憶しています。しかも、沸点が高いのでなかなか蒸発しにくいと思いました(これは、管理人の古い記憶を引きずり出して書いていますのであてにしないでね。)
制限条件
Entry55 2-(2-butoxyethoxy)ethanol (DEGBE)の制限条件は以下のようなものです。
- 2010年6月27日以降、エアゾール式ディスペンサーのスプレー塗料またはスプレー洗浄剤の成分として、重量比3%以上の濃度のものを、新たに上市してはならない。
- DEGBEを含有し、第1項に適合しないエアゾールディスペンサー内のスプレー塗料およびスプレー洗浄剤は、2010年12月27日以降、一般市民への供給のために市場に出してはならない。
- 物質及び混合物の分類、包装及び表示に関する他の共同体の法律を妨げることなく、供給者は、一般市民への供給のために上市される濃度が3重量%以上のDEGBEを含むスプレー塗料以外の塗料が上市される前に、2010年12月27日までに以下の内容が目に見えて、判読可能で、かつ明確に表示されていることを確実にしなければなりません。
”塗料噴霧装置では使用しないでください。”
スプレーに使っちゃいけないのね。
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