REACH 制限物質(その19)は、Entry50のPolycyclic-aromatic hydrocarbons (PAH)です。
これも展開すると8つの物質が書いてあります。いやだから、1個のEntryに多数の物質を入れられるといくら性質から分けてるんだと言われても、調べたり解説したりする方はたいへんですよね。
Entry50 Polycyclic-aromatic hydrocarbons (PAH)の基本情報
それでは、Entry50 Polycyclic-aromatic hydrocarbons (PAH)の含まれる物質の基本情報を見ていきましょう。今回、8物質もあるので物理的性質の部分は省略させていただきます。
ただし、SVHCつまりcandidate listに入っているかどうかは書いておきます。
化学物質名:Benzo[a]pyrene (BaP)
和名:ベンゾ[a]ピレン
化学式:C20H12
分子量:252.31
構造式:
CAS RN :50-32-8
EC No.: –
SVHC
化学物質名:Dibenzo[a,h]anthracene (DBAhA)
和名:ベンゾ[k]テトラフェン、
化学式:C22H14
分子量:278.35
構造式:
CAS RN : 53-70-3
EC No.: –
化学物質名:Benzo[a]anthracene (BaA)
和名:ベンゾ[a]アントラセン
化学式:C18H12
分子量:228.29
構造式:
CAS RN : 56-55-3
EC No.: –
SVHC
化学物質名:Chrysen (CHR)
和名:クリセン
化学式:C18H12
分子量: 228.29
構造式:
CAS RN : 218-01-9
EC No.: –
SVHC
化学物質名:Benzo[j]fluoranthene (BjFA)
和名:ベンゾ[j]フルオランテン
化学式:C20H12
分子量:252.31
構造式:
CAS RN : 205-82-3
EC No.: –
化学物質名:Benzo[b]fluoranthene (BbFA)
和名:ベンゾ[b]フルオランテン
化学式:C20H12
分子量:252.31
構造式:
CAS RN : 205-99-2
EC No.: –
化学物質名:Benzo[k]fluoranthene (BkFA)
和名:ベンゾ[k]フルオランテン
化学式:C20H12
分子量:252.31
構造式:
CAS RN : 207-08-9
EC No.: –
SVHC
化学物質名:Benzo[e]pyrene (BeP)
和名:ベンゾ[e]ピレン
化学式:C20H12
分子量:252.31
構造式:
CAS RN : 192-97-2
EC No.: –
Entry50の物質の危険性は何か
8物質全部はやっていられないし、似たような性質をもつ物質ですから、一番上のBenzo[a]pyreneで代表させます。
ECHAのSubstance Infocardによれば、この物質は、遺伝的欠陥を引き起こす可能性があり、癌を引き起こす可能性があり、生殖能力を損なう可能性があり、胎児を傷つける可能性があり、水生生物に対して非常に毒性があり、長期的な影響を伴う水生生物に対して非常に毒性があり、アレルギー性皮膚反応を引き起こす可能性があると書かれています。
あああ!化学的危険性の博物館状態ですね。
更に、日本の職場のあんぜんサイトのSDSによれば、長期にわたる、又は反復ばく露による臓器の障害のおそれ(造血系)とも書いてあります。
とにもかくにも危険な物質です。残りの7つの物質も少なくとも発がん性に関しては、可能性が高い物質です。
どこに使われているか
というかこれらの物質は、作ろうとして作っているのは、試験用の試薬だけかと思います。
意図的でないものとしては、燻製や焼き肉、焼き鳥のような焦げができる焼き物には含まれています。有機物の不完全燃焼のの際は多かれ少なかれ生成しているとされます。
制限条件
Entry50の物質群の制限条件は、以下のようなものです。
いつものお約束ですが、管理人がGoogle翻訳などの助けも借りてやっている訳ですので、間違っている可能性は十分あり得ます。正確には、原文を参照してくださいね。今回、よくわからない用語が多すぎるので結構間違っていると思う。
- 2010 年 1 月 1 日以降、以下のエクステンダーオイルは、市場に出してはならず、またタイヤまたはタイヤの部品の製造に使用してはならない。
ー1 mg/kg (0,0001 重量%) を超える BaPがある, または.
ー記載されている全てのPAHの合計の10mg/kg(0.001重量%)を超えるもの。
規格 EN 16143:2013 (石油製品-エクステンダーオイル中のベンゾ(a)ピレン(BaP)および選択された多環芳香族炭化水素(PAH)の含有量の測定
-二重 LC 浄化と GC/MS 分析を使用した手順)を第 1 項で言及された制限値への適合性を証明するための試験方法として使用するものとする。
2016年9月23日までは、BaPおよびリストに記載されたPAHの限界値を遵守し、測定値とPCA抽出物との相関関係を測定することを条件に、多環芳香族(PCA)抽出物が石油協会規格IP346:1998(未使用潤滑基油およびアスファルテンフリー石油留分中のPCAの測定-ジメチルスルホキシド抽出屈折率法)で測定された重量比3%未満であれば、第1項で言及されている制限値は維持されているとみなすことができます。製造業者または輸入業者は、6ヶ月ごと、または各主要な操作上の変更後のいずれか早い方で測定します。
- さらに、2010 年 1 月 1 日以降に製造された再生タイヤ及び付け直された踏面は,第 1 項で示された限界値を超えるエクステンダーオイルを含む場合には,市場に出してはならない。
これらの閾値は、加硫ゴム化合物がISO 21461(加硫ゴム-加硫ゴム化合物中のオイルの芳香度の測定および計算)で測定された0,35%Bay プロトンを超えていない場合には、維持されているとみなされる。
3. 第 2 項は、再生タイヤの踏面に第 1 項の制限値を超えるエクステンダーオイルが含まれていない場合には適用されない。
4. 本エントリーにおける”タイヤ “とは、以下の指令が適用される車両用タイヤを意味するものとする。
ー自動車及びそのトレーラーの承認のための枠組みを確立するための 2007 年 9 月 5 日の欧州議会及び理事会指令(*)。
ー2003年5月26日の欧州議会および理事会指令2003/37/ECによる、農業用または林業用トラクター、そのトレーラー、交換可能な牽引機械、およびそれらのシステム、コンポーネント、別個の技術ユニットの型式承認に関する指令(**)
ー二輪または三輪自動車の型式承認に関する2002年3月18日の欧州議会および理事会指令2002/24/EC、および理事会指令92/61/EECの廃止。 (***)。
5. 成形品は、通常の使用条件または合理的に予見可能な使用条件の下で、人の皮膚または口腔に直接または長時間または短期の反復的な接触をするゴムまたはプラスチック製の部品のいずれかが、リストされた PAH のいずれかを 1mg/kg(この成分の重量で 0,0001 %)を超えて含有する場合は、一般への供給のために市場に出してはならない。
そのような成形品には、とりわけ以下のものが含まれる。
- 自転車、ゴルフクラブ、ラケットなどのスポーツ用品
- 家庭用品、トロッコ、ウォーキングフレーム
- 家事道具
- 衣料品、履物、手袋、スポーツウェア
- ストラップ、リストバンド、マスク、ヘッドバンド
6. 活動玩具を含む玩具および育児用品は、通常の使用条件または合理的に予見可能な使用条件の下で、人の皮膚または口腔に直接または長時間または短時間の反復的な接触をするゴムまたはプラスチック製の部品のいずれかが、リストされたPAHのいずれかを0.5mg/kg(この成分の重量で0,00005 %)を超えて含有する場合には、市場に出してはならない。
7. 第 5 項及び第 6 項の適用除外により、これらの項は、2015年12月27日以前に初めて市場に出された成形品には適用されないものとする。
8. 欧州委員会は、2017年12月27日までに、そこで言及された成形品からの PAH の移行を含む新たな科学的情報、代替原料に関する情報に照らして、第5項及び第6項の制限値を見直し、適切であれば、それに応じてこれらの項目を修正しなければならない。
(*) OJ L 263, 9.10.2007, p.1.
(**) OJ L 171, 9.7.2003, p.1.
(***) OJ L 124, 9.5.2002, P.1
制限条件の記述が長いよ(;_;)
制限条件の記述が長くて面倒で、思いっきり専門外なので今回の内容は、かなりヤバい訳が多いだろうなあ。途中からもう放り出したくなった、、。
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