REACH 制限物質(その32)は、Entry35の1,1,2,2-Tetrachloroethaneです。
これも、この前3回と同じ、塩素系有機溶剤ですね。更には、前回のREACH 制限物質(その31):Entry36である、1,1,1,2-Tetrachloroethaneの異性体です。
Entry35 1,1,2,2-Tetrachloroethaneの基本情報
では、まずEntry35 1,1,2,2-Tetrachloroethaneの基本情報を見ていきましょう。
化学物質名:1,1,2,2-Tetrachloroethane
和名:1,1,2,2-テトラクロロエタン
別名:Acetylene tetrachloride、四塩化アセチレン
化学式:C2H2Cl4
分子量:167.85
構造式:
CAS RN : 79-34-5
EC No.: 201-197-8
融点:-44℃~-43℃
沸点:146°C
この物質、引火点は無く不燃性です。
Entry35 1,1,2,2-Tetrachloroethaneの危険性は何か
ECHAのSubstance Infocardによれば、皮膚に接触すると致命的であり、吸い込むと致命的であり、水生生物に長期的な影響を与える毒性があります。
日本の職場のあんぜんサイトにあるSDSの例には、
飲み込むと有害
皮膚刺激
強い眼刺激
吸入すると有毒
呼吸器への刺激のおそれ
眠気又はめまいのおそれ
遺伝性疾患のおそれの疑い
発がんのおそれの疑い
中枢神経系、肝臓、腎臓の障害
長期にわたる、又は反復ばく露による中枢神経系、肝臓の障害
水生生物に毒性
とまあ、ありとあらゆるといっていいほど有害性が羅列されています。
どこに使われているか
ECHAのサイトでは、現在、この物質はREACH registered substance factsheet のリンクはグレイアウトしています。
使用用途は、日本のサイト検索から溶剤以外ほとんどないと考えられます。
制限条件
Entry35 の1,1,2,2-Tetrachloroethaneの制限条件は以下のようなものです。というか、今までの塩素系有機溶剤と同じです。下に書かれているようにEntry32から38の制限条件は全く同じです。
本附属書の他の部分を損なうことなく、Entry32から38には以下が適用されます。
- 市場に出してはならない、または使用してはならない。
ー物質として、
ー物質として、他の物質の構成要素として、または0.1重量%以上の濃度の混合物として、
ここで、物質または混合物が、一般大衆への供給を意図している場合、および/または、表面洗浄や繊維の洗浄などの拡散用途を意図している場合である。 - 物質および混合物の分類、包装および表示に関する他の共同体規定の適用を損なうことなく、供給者は、0.1重量%以上の濃度でそれらを含む当該物質および混合物の包装が、以下のように目に見える形で、読みやすく、かつ消えないように表示されていることを、市場に出す前に保証しなければならない。
’For use in industrial installations only’
本規定は、以下のものには適用されないものとする。
(a) 指令 2001/82/EC および指令 2001/83/EC で定義される医薬品または動物用製品。
(b) 指令 76/768/EEC で定義される化粧品。
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