今回のREACH 制限物質(その55)はEntry18のMercury compoundsです。
今回のMercury compoundsは、物質群になると思うのですが、展開すらされていません。
では、その物質について見ていきましょう。
Entry18 Mercury compoundsの基本情報
まずEntry18の基本情報と言いたいところですが、水銀化合物ということで特定の物質が示されているわけでもありません。
従って、従来通りのような方法で基本情報を書くことができません。
水銀化合物は基本的に猛毒なので、日本においては「水銀による環境の汚染の防止に関する法律」いわゆる水俣条約に対応した法律によって規制されています。
よく聞く化合物だけ挙げておくことにします。
- 塩化第一水銀(Hg2Cl2):甘汞(かんこう)、カロメルとも言います。
- 塩化第二水銀(HgCl2):昇汞(しょうこう)とも呼ばれます。
- 硫化水銀(II) (HgS):辰砂(しんしゃ)、丹砂、朱砂などと呼ばれます。昔は、朱肉に使われていました。
- 塩化メチル水銀(II) (CH3HgCl):クロロメチル水銀とも呼ばれます。水俣病の主な原因物質
- ジメチル水銀(C2H6Hg):0.001ml吸入しただけで致命的な強い神経毒
もちろん、もっとたくさんの化合物があります。
Entry18 の物質の危険性は何か
水銀の化合物は、基本的に摂取すると内臓に障害をもたらします。
例えば、有機水銀であるジメチル水銀は、日本の職場のあんぜんサイトにおけるSDSには、
- 引火性の高い液体及び蒸気
- 発がんのおそれの疑い
- 生殖能又は胎児への悪影響のおそれ
- 授乳中の子に害を及ぼすおそれ
- 神経系の障害
- 長期にわたる、又は反復ばく露による神経系、腎臓の障害
の表示があります。
Entry18の物質はどこに使われているのか
ECHAのSubstance Infocardには、何ら情報はありません。
日本においては、「水銀による環境の汚染の防止に関する法律」において、水銀を使用する製品を作るためには許可が必要で、更には製造できるものは、「特定水銀使用製品」として定められています。
電池とか蛍光管とか高圧水銀ランプとか気圧計とかその他いろいろ決められています。詳しくは、法令を参照してください。
制限条件
Entry18の物質Mercury compoundsの制限条件は、以下の通りです。
物質または混合物が使用を意図している場合、以下のものに物質または混合物として上市、または使用してはならない。
(a) 以下の微生物、植物または動物による汚染を防止するために
ー船舶の船体
ー魚介類の養殖に使用されるかご、浮き輪、網、その他の器具または装置
ー全部または一部が水没している器具または装置
(b) 木材の防腐
(c) 耐久性の高い産業繊維とその製造のための糸の含浸
(d) 工業用水の処理、その用途を問わない
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