今回のREACH 制限物質(その48)はEntry11です。
Entry11の表題は、Volatile esters of bromoacetic acidsとなっていますから、臭素化酢酸のエステルで揮発性のものです。
4つの物質が含まれています。
Entry11の物質の基本情報
では、まずEntry11の物質の基本情報を見ていきましょう。
化学物質名:Butyl bromoacetate
和名:ブロモ酢酸ブチル
別名:Butyl 2-bromoacetate
化学式:C6H11BrO2
分子量:195.05
構造式:
CAS RN : 18991-98-5
EC No.: 242-729-9
化学物質名:Propyl bromoacetate
和名:ブロモ酢酸プロピル
別名:ブロモ酢酸n-プロピル
化学式:C5H9BrO2
分子量:181.03
構造式:
CAS RN : 35223-80-4
EC No.: 679-467-3
化学物質名:Ethyl bromoacetate
和名:ブロモ酢酸エチル
別名:2-ブロモ酢酸エチル、エチルブロモアセタート
化学式:C4H7BrO2
分子量:167.0
構造式:
CAS RN : 105-36-2
EC No.: 203-290-9
化学物質名:Methyl bromoacetate
和名:ブロモ酢酸メチル
別名:BAM
化学式:C3H5BrO2
分子量:152.97
構造式:
CAS RN : 96-32-2
EC No.: 202-499-2
Entry11の物質の危険性は何か
ECHAのSubstance Infocardによれば、各物質には以下のような危険性が書かれています。
CAS RN : 18991-98-5、ブロモ酢酸ブチルに対しては、
特に記載はありません。
CAS RN : 35223-80-4、ブロモ酢酸プロピルに対しては、
この物質は、重度の皮膚火傷と眼球損傷を引き起こし、呼吸器系の炎症を引き起こす可能性がある。
CAS RN :105-36-2、ブロモ酢酸エチルに対しては、
この物質は、飲み込むと致命的、皮膚に接触すると致命的、吸い込むと致命的である。更には、この物質が可燃性の液体および蒸気であることが特定されています。
この物質に対しては、職場のあんぜんサイトにあるSDSにおいても引火性液体及び蒸気、重篤な眼の損傷の危険性が記述されています。
CAS RN :96-32-2、ブロモ酢酸メチルに対しては、
この物質は、飲み込むと有毒であり、重度の皮膚火傷や眼障害を引き起こし、アレルギー性の皮膚反応を引き起こす可能性がある。
Entry10の物質はどこに使われているのか
ECHAのSubstance Infocardによれば、これらの物質については、中間体や他の物質の原料としての記述しかありません。
NITEのCHRIPによれば、ブロモ酢酸エチルについての用途として、農薬中間体、有機合成原料の記述があります。
いずれにせよ、事業所内でしか使用されないと考えられます。
制限条件
Entry11の物質の制限条件は以下のようなものです。
- ジョークやだますためのものや、くしゃみ粉や臭い爆弾の成分として使用することを目的とした混合物や成形品に使用してはならない。
- ジョークやだますためのもの、または第1項の用途を意図した混合物や成形品で第1項を満たさないものは、市場に出してはならない。
- ただし、1.5ml以下の液体を含む悪臭弾には、第1項および第2項は適用されない。
ということで、これは、Entry9,10の制限条件と全く同じになっています。
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