今回のREACH 制限物質(その47)はEntry10です。
このEntryは、具体的な物質として3つ書かれていてEntry10とだけ書かれ表題がありません。
実際には硫化アンモニウムとその仲間たちという感じです。
Entry10の物質の基本情報
では、まずEntry10の物質の基本情報を見ていきましょう。
化学物質名:Ammonium polysulphide
和名:硫化アンモニウム
別名:Ammonium sulfide ((NH4)2(Sx))、多硫化アンモニウム
化学式:-
分子量:-
構造式:-
CAS RN : 9080-17-5
EC No.: 232-989-1
化学物質名:Ammonium sulphide
和名:硫化アンモニウム(溶液,無色)
別名:-
化学式:H8N2S
分子量:68.14
構造式:
CAS RN : 12135-76-1
EC No.: 235-223-4
化学物質名:Ammonium hydrogen sulphide
和名:硫化水素アンモニウム
別名:硫化アンモニウム、Ammonium hydrosulfideなど
化学式:H5NS
分子量:51.11
構造式:
CAS RN :12124-99-1
EC No.: 235-184-3
上記の化合物の内、2番目と3番目の化合物は、水溶液として用いられます。というか、全部硫化アンモニウムじゃないか。
Entry10の物質の危険性は何か
ECHAのSubstance Infocardによれば、各物質には以下のような危険性が書かれています。
CAS RN : 9080-17-5に対しては、
この物質は重度の皮膚火傷と目の損傷を引き起こし、水生生物に非常に有毒である。
CAS RN : 12135-76-1に対しては、
この物質は、重度の皮膚火傷と眼の損傷を引き起こし、可燃性の液体と蒸気である。
CAS RN :12124-99-1に対しては、
この物質は、皮膚に触れると致命的、飲み込むと致命的、吸い込むと致命的、重度の皮膚火傷と眼の損傷を引き起こし、水生生物に非常に有毒である。
Entry10の物質はどこに使われているのか
これらの物質は、事業所(工場)でしか使われず、流通も確認されておらず、主に中間体として使用されます。
NITEのCHRIPによれば、CAS RN : 9080-17-5は、染色助剤,写真現像薬・医薬原料,試薬
CAS RN : 12135-76-1は、有機合成原料,試薬
の用途が記載されています。
制限条件
Entry10の物質の制限条件は以下のようなものです。
- ジョークやだますためのものや、くしゃみ粉や臭い爆弾の成分として使用することを目的とした混合物や成形品に使用してはならない。
- ジョークやだますためのもの、または第1項の用途を意図した混合物や成形品で第1項を満たさないものは、市場に出してはならない。
- ただし、1.5ml以下の液体を含む悪臭弾には、第1項および第2項は適用されない。
ということで、これは、Entry9の制限条件と全く同じになっています。
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