REACH SVHC:追加分だけゆっくり解説(43)

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第32次のSVHCの解説は、前回記事で終了しました。

しかしながら、2024年に追加されたSVHCにおいて、第31次に関連したものは、6月に1物質、11月に変則的に1物質追加されています。この2物質については、「REACH SVHC:追加分だけゆっくり解説」をやっていませんでしたので、遅くなりましたが、やっていこうと思います。

今回は、2024年6月27日に収載されたBis(α,α-dimethylbenzyl) peroxideです。この物質に関しては、REACH規則 第31次SVHC 1物質が公開されましたで報告しています。

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第31次SVHC Bis(α,α-dimethylbenzyl) peroxideの基本情報

では、まず 基本情報を見てみましょう。

化学物質名:Bis(α,α-dimethylbenzyl) peroxide
和名:2-フェニル-2-[(2-フェニルプロパン-2-イル)ペルオキシ]プロパン
別名:2-Phenyl-2-[(2-phenylpropan-2-yl)peroxy]propane、cumyl peroxide、ジクミルパーオキサイド、ビス(α,α-ジメチルベンジル)=ペルオキシドなど
化学式:C18H22O2
構造式:


CAS RN:80-43-3
EC No.: 115-86-6
分子量:270.37
融点:39-41 °C

Bis(α,α-dimethylbenzyl) peroxideの危険性は何か

この物質が、SVHCになっている理由は、Toxic for reproduction (Article 57c):生殖毒性 (Article 57c)です。

EUがが承認した調和された分類および表示(ATP15)によると、この物質は胎児に害を及ぼす可能性があり、水生生物に有毒で長期的影響を及ぼす可能性があり、眼に深刻な刺激をもたらし、加熱すると火災を引き起こす可能性があり、皮膚に刺激をもたらす、とあります。

さらに、REACH登録において企業がECHAに提供した分類では、この物質は水生生物に非常に有毒で、長期的な影響があり、アレルギー性皮膚反応を引き起こす可能性があることが示されています。

また、日本の職場のあんぜんサイトにおける安全データシートでは、眼刺激、生殖能又は胎児への悪影響のおそれ、呼吸器への刺激のおそれ、長期にわたる又は反復ばく露による鼻粘膜の障害、長期継続的影響により水生生物に非常に強い毒性が記載されています。

Bis(α,α-dimethylbenzyl) peroxide使用用途はどこか

ECHAのSubstance Infocardによれば、この物質はREACH規則で登録されており、EUで年間1,000トン以上10,000トン未満、製造または輸入されています。

この物質は、事業場および製造現場において、調合または再包装、成形品に使用されています。

消費者に対する製品に使用されている情報はありません。

この物質は、木材(例:床、家具、玩具)、石、石膏、セメント、ガラスまたはセラミック(例:食器、鍋/フライパン、食品保存容器、建築および断熱材)およびプラスチック(例:食品包装および保存、玩具、携帯電話)をベースとする材料を使用した製品に含まれる可能性があります。

専門事業者における使用の化学製品のどこに使用されているかの情報はありません。

この物質は、調合または再包装や事業場の以下の製品に使用される:ポリマー
そして事業場において、この物質は、プラスチック製品、化学製品、ゴム製品の製造に使用される。

日本のNITE-CHRIPによれば、この物質の用途は重合触媒です。有機過酸化物なのでラジカル重合の用途なのかな。

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