REACH SVHC:追加分だけゆっくり解説(25)です。
今回は、第28次SVHCの五つ目、Bis(2-ethylhexyl) tetrabromophthalate covering any of the individual isomers and/or combinations thereofです。
和訳すると個々の異性体および/またはその組み合わせを含むテトラブロモフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)となります。
第28次SVHC の基本情報
では、まずBis(2-ethylhexyl) tetrabromophthalate covering any of the individual isomers and/or combinations thereof 基本情報を見てみましょう。
とはいってもこれだとなんだかよくわかりません。更に、CAS番号もEC番号も記載されていません。
なので今回の基本情報にはBis(2-ethylhexyl) tetrabromophthalateのものを書くことにします。
化学物質名:Bis(2-ethylhexyl) tetrabromophthalate
和名:ビス(2-エチルヘキシル)=テトラブロモフタラート(NITE CHRIPによる)
別名:テトラブロモフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)、FRP 45
化学式:C24H34Br4O4
構造式:
分子量:706.14
CAS RN:26040-51-7
EC No.: 247-426-5
では、個々の異性体および/またはその組み合わせを含むというのは何なんじゃということになります。
このBis(2-ethylhexyl) tetrabromophthalateでは、枝のように出ているエチル基の付け根の炭素は、2個とも不斉炭素になっています。
従って、空間配置が異なる異性体が存在します。
異性体としては3個存在するのですが(専門家の方間違ってたら指摘してね)、そのどの組み合わせだろうが、SVHCの対象になりますということを示しています。
Bis(2-ethylhexyl) tetrabromophthalate covering any of the individual isomers and/or combinations thereofの危険性は何か
ECHAのSubstance Infocardによれば、Bis(2-ethylhexyl) tetrabromophthalateについては、REACH登録の際に企業がECHAに提出した通知によると、危険有害性は分類されていません。
この物質がSVHCになった理由は、非常に難分解性で生物濃縮性が高い (Article 57 e)です。
Bis(2-ethylhexyl) tetrabromophthalate covering any of the individual isomers and/or combinations thereofの使用用途はどこか
ECHAのSubstance Infocardによれば、Bis(2-ethylhexyl) tetrabromophthalateは、REACH登録はされており、欧州域内で年間100トン以上1,000トン未満製造もしくは輸入されている。
この物質は、機械、機械器具、電気・電子製品(コンピュータ、カメラ、ランプ、冷蔵庫、洗濯機など)、ゴム(例:タイヤ、靴、玩具)、プラスチック(例:食品包装・保管、玩具、携帯電話)などの中で見つけることができます。
この物質は、接着剤およびシーラント、ポリマーに使用されます。
SVHCの公表の際も、使用例として、難燃剤、軟質ポリ塩化ビニル用可塑剤として、電線・ケーブル絶縁、フィルム・シート、カーペットバッキング、コーティング布、壁装材、接着剤が挙げられています。
ちょっとした疑問
この物質については、管理人ちょっとよくわからないことがあります。それは、なんでBis(2-ethylhexyl) tetrabromophthalateではだめだったのかということです。
なぜ、わざわざBis(2-ethylhexyl) tetrabromophthalate covering any of the individual isomers and/or combinations thereofにしたんだろう?
教えてください、偉い人。
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