ちょっとだけ遅くなってしまいましたが、2024年10月2日に経済産業省から、
ストックホルム条約残留性有機汚染物質検討委員会第20回会合(POPRC20)が開催されました
という発表がありましたので内容を見ていきましょう。
前回のPOPRC19に関する記事は、
POPs条約残留性有機汚染物質検討委員会第19回会合(POPRC19)の結果について
をご覧ください。
POPRC20で決定された主な内容
ここでは、POPROC20で決定された主な内容を見ていきます。経済産業省のニュースリリースのパクリともいう(^^;。
条約対象物質へ追加勧告されたもの
以下の3物質が新たに条約対象物質に追加されました。と言ってもそのうちの2つは、POPRC19で既に条約対象物質に追加されていました。
クロルピリホス(提案国:欧州連合)
この物質の用途は、殺虫剤です。
前回のPOPRC19では、リスク管理に関する評価を検討する段階に進めるという結論になっていたので、今回のPOPRC20で検討され、一部の適用除外はあるものの、廃絶対象物質(附属書A)としてCOP12に勧告されることになりました。
中鎖塩素化パラフィン(提案国:英国)
この物質の主な用途は、金属加工油剤・難燃性樹脂原料等となっています。
この物質は、前回のPOPRC19で、リスク管理に関する評価及び POPs 条約上の位置付け(製造・使用等の「廃絶」)について検討し、自動車、社会インフラ向け電気電子機器、医療機器に用いる金属加工油剤や修理用部品等のための MCCP の使用(加工プロセスを含む。)を適用除外にした上で、廃絶対象物質(附属書 A)に追加することを COP12 に勧告することが決定されていました。
ただ、POPRC19では、規制の対象となる MCCP の定義の範囲については議論を継続する状態でした。今回規制対象が決められ、
規制対象となるMCCPの定義の範囲については炭素数14~17までのものであって、塩素化率45重量%以上であるものを対象とする
となっています。
長鎖ペルフルオロカルボン酸(LC-PFCA)※とその塩及び LC-PFCA 関連物質(提案国:カナダ)
※炭素数:9~21
この物質の主な用途は、フッ素ポリマー加工助剤、界面活性剤等です。
この物質も、前回のPOPRC19で、リスク管理に関する評価及び POPs 条約上の位置付け(製造・使用等の「廃絶」)について検討し、信頼性試験や温度管理用の不活性フッ素液体、電気電子機器の閉鎖系で用いる熱媒体及び熱媒体を含有する修理用部品等のための LC-PFCA の使用を適用除外にした上で、廃絶対象物質(附属書 A)に追加することを COP12 に勧告することが決定されていました。
ただ、POPRC19では、適用除外の用途を更に明確化するため、適用除外の用途に使用する化学物質の情報を収集することになったという状態でした。
今回は、交換用部品として設計された半導体や自動車の交換用部品のためのLC-PFCAの使用を適用除外とすることが決まりました。
条約対象物質としての検討
今回、以下の1物質が、条約対象物質としての検討が続けられることになりました。
ポリ臭素化ジベンゾ-p-ジオキシン及びジベンゾフラン(提案国:スイス)
この物質は、非意図的生成物として作られてしまうものです。
提案国であるスイスから提出された提案書について、残留性、濃縮性、長距離移動性及び毒性等を審議した結果、ポリ臭素化ジベンゾ-p-ジオキシン及びジベンゾフランがスクリーニング基準を満たすとの結論に達し、次回会合(POPRC21)に向けてリスクプロファイル案を作成する段階に進めることが決定されています。
非意図的生成物なので、どのように管理するかは問題になるでしょう。この物質は、臭素系難燃剤が高温で反応する際に生成されます。
いわゆるダイオキシン類の塩素の部分が臭素になっているものです。
次回のPOPRCやCOP
次回のPOPRC21は、2025 年 9月~10月にイタリア・ローマで開催される予定です。
次の第12回締約国会議COP12は、2025 年4~5 月にスイス・ジュネーブで開催される予定です。ここで、今回追加された物質が廃絶対象物質(附属書A)に正式に決定されます。
廃絶対象物質(附属書A)に決定されると、日本においては、化審法第一種特定化学物質への追加の審議が始まります。
今回の記事は、ほぼ経済産業省のニュースのパクリです。ごめんなさいm(_ _)m。
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