PFAS規制に関する動向 アメリカ

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少し前に「PFAS規制に関する動向 欧州」という記事で、REACH規則のPFASを制限物質に入れるプロセスの動向を記事にしました。

PFASは、世界的に規制が強化されておりアメリカにおいても色々と規制が行われています。今回は、州法まで見ておかねばならないアメリカのPFAS規制について概観しておきましょう。

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アメリカ環境保護庁(EPA)のPFAS規制について

最近のアメリカの動きでは(最近でもないか)、2023年10月11日に”TSCA Section 8(a)(7) Reporting and Recordkeeping Requirements for Perfluoroalkyl and Polyfluoroalkyl Substances”(TSCA セクション 8(a)(7) パーフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル物質の報告および記録管理要件)の官報が公布されました。

発効日は、2023年11月13日になっています。

この規則が問題なのは、二つの点です。

一つ目は、海外から輸入される成形品に含まれる物質も対象になっていることです。これは、今までのTSCA Section 8(a)の報告記録要件ではなかったことで、初めてのことになります。

成形品も対象なんかい!と思わず突っ込みを入れたくなります。

二つ目は、2011年1月1日以降のいずれかの年にPFAS又はPFAS含有成形品を製造(輸入を含む)する者、又は製造(輸入を含む)した者に対し、各種項目の報告を求めていることです。例えば、用途、製造・加工量や暴露、環境及び人健康への影響に関する情報なども含まれます。

こちらも2011年なんて干支一回りも昔のことなんてわかるかー!と言いたくなります。

とはいえ決まってしまったものは仕方ありません。

通常は、発効日から18カ月以内に報告しなければなりませんが、報告義務のあるものが、

通常は、発効日から18カ月以内に報告しなければなりませんが、報告義務のあるものが、成形品輸入のみに関する小規模製造業者(40 CFR 704.3 で定義)は、この規則の発効日から 24 か月まで延長できます。

それじゃ、実際の細かい規則ってどこに書いてあるのということになるのですが、”TSCA Section 8(a)(7) Reporting and Recordkeeping Requirements for Perfluoroalkyl and Polyfluoroalkyl Substances”に関するページができていますので、そこから各情報に飛びましょう。

どの程度正確かどうかは別にして、Google翻訳を使ってページごと日本語にすると以下のようになります。大枠の意味はなんとかなると思いますので、必要に応じてpdfに置いてある実際の規制文書や報告手順書、ガイダンスなどを入手しましょう。

また、このページの下のほうには2024年1月15日に行われたWebinarのページへのリンクも載っています。

そして、一番下にこの規則の対象となるPFASのリストが記載されているExcelへのリンクが載っています。

このように、面倒な報告をしなければならないのは、実際には一度だけで2011年1月1日~2022年12月31日までの過去の情報を年ごとにまとめたものを報告すればよいことになっています。

担当者からすれば「そんな昔のことは覚えていない」とカサブランカのハンフリー・ボガードのように言いたくもなりますが、アメリカの輸入業者から質問されたら答えなければならないでしょうから情報の収集はそれなりに必要になってしまうでしょう。

ですが、そんな昔のデータまで正確に集まるなんてことは国内ですら難しいと思います。

アメリカの州法におけるPFAS規制の動き

アメリカの場合は、連邦法だけを見ていれば大丈夫かと言えばそうでもありません。例えば、カリフォルニア州などは先進的な規制を行いますし、州に大きな権限があるアメリカではこれを無視するわけにはいきません。

PFASに関してもアメリカ各州で規制が始まっています。

最も多いのは、食品に触れるような容器や紙に対するものですが、それ以外にもあります。

州法の中で注目されているのは、2030年程度を目途にすべてのPFASの使用禁止(適用除外の物以外)するという規制をかけている州のものです。

以下に概略のみを記載しますが、関係される方は情報に留意し、詳細情報を得るようにしてください。

メイン州

メイン州の場所

アメリカの最も北東部にあるメイン州では、特別に認められた場合を除いて、2030年1月1日以降すべての製品でPFASの使用が禁止されます。

この、いわゆる適用除外(「currently unavoidable use(CUU)」と呼ばれます)は、企業によるその申請が2024年1月から始まり、3月1日までであったのですでに終わっています。その結果はまだわかっていません。

また、メイン州においては2025年1月よりPFASを含んだ製品の届け出義務が必要になっています。

ミネソタ州

ミネソタ州の場所

ミネソタ州は五大湖のスペリオル湖にも接しているあまりか中央北部にある州です。

ミネソタ州においても特別に認められた場合を除いて、2032年1月1日以降すべての製品でPFASを意図的に含む製品の販売や流通が禁止されます。

いわゆる適用除外の決定に関するプロセスはこれからのようですが、2026年1月1日よりPFASを含んだ製品の届け出義務が必要になっています。

今後について

アメリカにおいては、EPAが2023年3月に飲料水中の新たな規制値案としてPFOS、PFOAそれぞれで4ng/Lが示しました。

ただ、まだ最終決定されたという報告はないと思います。

とはいえ、PFAS全体に対しての規制が強化されつつあるのは事実であり、この傾向はしばらく変わらないと思います。

自社の使っている部品、原材料にフッ素系のものがあるかどうか、洗い出しておくのは必要不可欠と言えるでしょう。

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化学物質規制
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コメント

  1. パンダ より:

    いよいよもって「PFAS全部禁止」って地域が出てきましたね
    テフロンとか本気で禁止してどうするんだろう?と思います

    従来のPFAS以外規制では
    ・含有していてもエッセンシャルユースに該当する
    ・含有情報を伝達すれば良い
    ・それなりに代替材がある
    って逃げ道がいっぱいありましたが

    客「アメリカに売るよ、アメリカの何処に売るか考えてないから、とりあえず全部の州法禁止、何の製品がアメリカ向けで、そのどれがレーン州向けか区別するのめんどいので、うちに収める製品全部PFAS含有禁止な」
    自社「あ、うちの製品、工業機器なので、テフロンとかフッ素ゴム使ってます」
    客「は?何言ってんの?禁止だよ」
    自社「じゃぁ売れる製品ない」
    客「代替検討しろ」
    自社「んなもんねぇよ」
    客「販売責任ガー」
    自社「しらんがな」
    良く解ってない適当メーカ「うちのテフロンはPFAS含有してません」
    客「ならお前のところから買うわ」
    自社営業「お前のせいで失注した(# ゚Д゚)」

    って話が出てくるだろうなぁ・・・

    • OFFICE KS より:

      パンダ様、コメントありがとうございます。管理人です。

      笑えない(^^;。
      でも、含有していてもエッセンシャルユースに該当するは、どの規制にも必ずあるはずなので(そうじゃなきゃ物できませんがな)そのロビーイングが必要だと思います。

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