水質調査で検出されるPFASのニュースと化審法におけるいわゆるPFASの規制について

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最近も、全国各地の河川等でPFASが検出され、その対応や処理をどうするかといったニュースが多くみられます。

PFASの汚染は、過去の検出地域だけでなく、色々なところが汚染されていることが明らかになってきています。

これらは、既に汚染されてしまった水や場所にどう対応していくかという問題になります。

一方、化審法は、化学物質の市場投入時に対応する規制です。

これは、いかに有害な化学物質の使用を管理していくかということになります。化審法では、既にいくつものPFAS物質が第一種特定化学物質に指定されています。

今回は、化審法におけるPFAS規制と現状の汚染について見ていきましょう。

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化審法の第一種特定化学物質に指定されているPFAS

PFASは、ぺルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物(Per- and PolyFluoroAlkyl Substances)の総称ですので、化審法の第一種特定化学物質に指定されている個々の化合物の中にもPFASに含まれるものがあります。

製品含有化学物質担当になっちゃった人のための超初級化学講座(その8)においても解説しています。

2024年7月時点での化審法の第一種特定化学物質でPFASに含まれるものは、以下の四つです。

  • ペルフルオロ(オクタン-1-スルホン酸)(別名PFOS)又はその塩 2010年4月
  • ペルフルオロ(オクタン-1-スルホニル)=フルオリド(別名PFOSF) 2010年4月
  • ペルフルオロオクタン酸(別名PFOA)又はその塩 2021年10月
  • ペルフルオロ(ヘキサン-1-スルホン酸)(別名PFHxS)若しくはペルフルオロ(アルカンスルホン酸)(構造が分枝であつて、炭素数が6のものに限る。)又はこれらの塩 2024年2月

というわけで、PFASという物質群からすると非常に少ない数の化合物しか指定されていないことになります。

ただし、意図的に製造された物質としては、PFASの全体量からすれば相当の割合になるのは確かだと思います。

また、指定された年月を見てみると分かるのですが、製造輸入の禁止から10年い以上経っているのはPFOSとPFOSFのみで、POFAも最近ですし、PFHxSにいたっては今年からになります。

水質検査で測定しているPFASは何なのか?

上に記載したように最近もニュースで次々にPFAS汚染のニュースが流れていますが、実際に測定されているPFASは何なのでしょうか?

どのニュースにおいても、測定されているものは、PFOSとPFOAだけです。PFHxSの値が出ているものは極めてまれです。

と言うことは、日本において騒いでいるPFASはPFOSとPFOAに他ならないということになります。実際のPFASは数千種類の化合物の総称ですから、PFOSとPFOA以外のPFASは無視していると言ってもよい状況です。

もう一つの問題点、消火器・泡消火薬剤等に含まれるPFASについて

化審法に置いて、第一種特定化学物質に指定されているPFAS、つまりPFOS、PFOA、PFHxSについては、消火器、消火器用消火薬剤及び泡消火薬剤として輸入されることは禁止されています。

しかし、現時点でストック又は現場に存在している消火器・泡消火薬剤等に含まれているPFASは、

    • 取扱上の技術基準の適合義務
    • 譲渡・提供する場合の表示義務

    はあるものの、火災の際に使用してはいけないということはありません。もちろん速やかにPFASを使用していないものに切り替えてくださいとはなっています。

    ですが、使用が禁止されていない以上、今後もPFOS、PFOA、PFHxSも環境中に放出されることになります。

    特に消火器・泡消火薬剤等は、火災という非常事態に使用されるので、いわゆる管理された状態ではなく環境中に大量に放出され、回収はできない状態で使われます。

    従って、入口である化審法で禁止しても今の状態では大量にあるであろう既存のもの(いわゆるストック)の制御が不可能な状態です。

    と言うことで、しばらく水環境への汚染は無くなりそうにありません。

    PFAS全体への規制やコントロールは日本では皆無な状態

    PFAS規制に関する動向 欧州PFAS規制に関する動向 アメリカでも書きましたが、海外においてはPFASを包括的に規制する動きが広まっています。

    これに対して、現在の日本の状況は、特定物質に一つ一つ対処していく従来の考えかたにあまり変化がありません。
    化学物質群全体に対する規制には、日本の法律の建付けが向いていないのか今のような状態になっています。

    残念ながら、PFASの取扱いにおいて、日本は世界的な規制に関する考え方より、一歩遅れている状態になっています。

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    化学物質規制
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    コメント

    1. パンダ より:

      ニュースで「PFAS汚染!」と聞くたび
      「PFASのなんだよ!PTFEだったら、いま目玉焼き焼いてんだけど、多分フライパンのテフロンコーティングから汚染されたってんぞ、これ!」
      とツッコミ入れてます

      基板の界面活性剤として使用され、基板廃工場から漏れたみたいなケースは論外ですが

      消火器のPFOAとかは、
      さっさと替えるのが理想ではあるけど、既に設置されているものの交換費用はどうすんだ?
      禁止されてるから捨てる、代替消火器は高い、で交換まごついている間に火事になって
      環境のために火事で人死んだらどうすんの?とは思っています

      難しい問題だとは思いますが
      なんかみんな良く解らずに騒ぎすぎでは?と思う今日この頃

      • OFFICE KS より:

        パンダ様、コメントありがとうござ合います。管理人です。
        良く解らずに騒ぎすぎは、言いえて妙ですね。管理人もそう思います。

        管理人の考える日本の一番の問題点は、実はかなり前から測っていてわかっているのにきちんと解析、説明しないことと、ことが起きてから慌てるという戦略性のなさだと思ってます。
        多分そのうち、PFOS、PFOA、PFHxSだけでなく、PFAS全体に対する問題になっていくのは目に見えている気がします。

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