環境省主催のPFASに対する総合戦略検討専門家会議(第3回)が2023年6月15日に開催されました。
今までの回も含めながら、日本におけるPFAS関連の調査などがどうなっているのか見ていきたいと思います。
環境省は今年3回PFASに対する総合戦略検討専門家会議を開催
環境省は、2023年1月から3回PFASに対する総合戦略検討専門家会議を開催しています。
その開催理由としては、第1回目の資料に詳しく書かれていますが、要約すると
PFASは、人の健康保護の点から国際的に目標値や基準についていろいろ議論されているけれど、環境省の行った測定で一部濃度が高いところがあって、その周辺住民から不安の声が出ている。
なので、国際的な科学的知見を集めて、国内の検出状況の収集、評価を行って、国民への分かりやすい情報発信を通して国民の安全・安心に資することを目的としてこの会議設置する。
ということのようです。
委員名簿を見るといわゆる環境族の先生方が名を連ねています(環境省主催の会議なので当たり前ですが)。
どんな議論が行われているのか?
過去3回の会議に提出された資料は、PFASに対する総合戦略検討専門家会議のページですべて見ることができ、議事録も2回目までは見ることができます(3回目は、もうしばらくしたら見ることができるでしょう)。
議題についても書かれているのですが、大雑把すぎてわかりません。提出資料に基づき議論がされているので、それを見るのが良いでしょう。
行われている議論は全体として以下のようなものがあると思われます。あくまで管理人目線ですので正しいとは限りません。
- 世界における個々に規制されているPFAS(PFOS,PFOA等)とPFAS全体として国際的な基準や各国における基準や規制
- PFASの測定手法
- 国内における各種PFASの検出状況
- 国内における各種PFASの製造輸入状況
- 国民にどのようにリスクコミュニケーションするか
「PFOS 及び PFOA に関する対応の手引き」に基づく自治体の対応
国民への情報発信のためのQ&A集(案)
河川や地下水、土壌などの汚染からくる、特に飲料水などによるPFASの摂取の問題、いかに国民とのリスクコミュニケーションは多くの時間が割かれているような気がします。
詳細は、資料や議事録を確認してください。
有用と思われる資料
とはいえ、一般の製造業の方が心配するであろう、PFAS規制に関する情報として役立つ資料も提出されていますので、見ていきましょう。
第1回目の
資料3―1 PFOS、PFOAの国際動向
資料3―2 PFOS、PFOA以外のPFASの国際動向
には有害性評価や飲料水の目標値、更には各国の規制状況が載っています。ただし、REACH規則の制限案に関しては載っていません。
第2回目の
資料1―3 PFOS、PFOA の国内の製造状況等
資料3―3 PFOS、PFOA 以外のPFAS の国内の製造状況等
には、どの様な物質が製造輸入されているか具体的に書かれているので、参考になるでしょう。ある程度の用途も書かれています。
経済産業省の「米国及びEU 等における内分泌かく乱物質の規制動向」
一方、経済産業においては、毎年「米国及びEU 等における内分泌かく乱物質の規制動向」という報告がなされています。この報告は、経済産業省の政策一覧からたどって化学物質管理というページに記載されています。
内分泌かく乱物質の規制動向になぜPFAS全般が入っているのかは管理人はよくわからないのですが、とにかく個別内分泌かく乱物質の比較的大きな項目として報告されています。
そのほかの経済産業省の書類というか文書においてPFASが出てくるのは規制に対する心配のものが多いです。
国内のPFASに関する議論の今後
PFASに関する日本国内の動きは、管理人が知る限り、国際的な潮流というか動きに比べて早いとは言えません。
EUは結構極端ですが、成形品の規制まで物事が進んでいます。日本におけるPFAS規制対応が遅れるのは、今の状況では仕方ないかもしれません。
とはいえ、まず行われるのは消火器への管理対応や高濃度が検出された地域の住民の方に関するリスクコミュニケーションだと考えられます。
また、米軍基地の近くで高濃度の検出が頻発することは、今のところどうにも手の打ちようがないんでしょうね。
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