前回までは、大枠の話でしたが、今回から実際の内容にはいっていこうと思います。
今回は、前回の労働安全衛生法関連の規則改正について(2)の説明の中で、項目として一番上にあったラベル表示・SDS交付による危険性・有害性情報の伝達義務についてです。
とはいっても、管理人の理解力では1回では終わらないと思います。
ラベル表示・SDS交付による危険性・有害性情報の伝達義務のある2900物質とは何なのか?
労働安全衛生法関連の規則改正について(2)で説明した通り、この改正に伴って国がGHS分類済みでラベル表示、SDS等の通知とリスクアセスメントを実施義務の対象物質は、現時点で約2900です(順次義務化)。
今回の改正前のラベル表示・SDS交付による危険性・有害性情報の伝達義務のある物質は、製造使用の禁止物質である8物質を除けば、674物質でした。
これが、現在判っているだけで、約2900物質に増えることになります。
じゃあどの物質がラベル表示、SDS等の通知とリスクアセスメントを実施義務の対象物質なんだよということになるのですが、労働安全衛生法関連の規則改正についてで紹介した、
化学物質による労働災害防止のための新たな規制について
~労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(令和4年厚生労働省令第91号(令和4年5月31日公布))等の内容~
のページをスクロールしていくと、対象物質の一覧という項目があって、
- 労働安全衛生法に基づくラベル表示・SDS交付の義務化対象物質リスト(令和4年2月24日改正政令公布、令和6年4月1日施行)[Excel:38KB]
- 労働安全衛生法に基づくラベル表示・SDS交付の義務対象物質一覧(令和5年8月30日改正政令、令和5年9月29日改正省令公布、令和7年4月1日及び令和8年4月1日施行)[Excel:197KB]
※上記一覧には、令和7年3月31日以前からラベル表示・SDS交付の義務対象物質となっている物質を含みます。
というリストがあります。これが、現在までに国がGHS分類済みの物質リスト、すなわち約2900物質のリストになります。
ちなみに、ラベル表示・SDS交付による危険性・有害性情報の伝達義務は、上に書かれているように、令和6年(2024年)4月1日、令和7年(2025年)4月1日、令和8年(2026年)4月1日というように決まっています。
では、ExcelをDLして内容を見てみましょう。
- 令和6年(2024年)4月1日に義務化されるExcelには、234物質(番号が振ってある数)がリスト化されており、
国によるGHS分類の結果、発がん性、生殖細胞変異原性、生殖毒性及び急性毒性のカテゴリーで区分1相当の有害性を有する物質
との説明があります。 - 令和7年(2025年)4月1日に義務化されるExcelには、
労働安全衛生法施行令別表第3第1号(製造許可物質、特定化学物質第1類物質) 7物質
労働安全衛生法施行令別表第9の物質 33物質
労働安全衛生規則別表第2の物質 1497物質
の合計1537物質(番号が振ってある数)があります。
この説明としては、前回紹介した労働安全衛生法の新たな化学物質規制 [PDF:765KB]に上記以外のカテゴリーで区分1に分類されたた約700物質を義務対象に追加予定。
とあります。
1500物質以上あるのになんで700物質なんだよという疑問が生じるかもしれませんが、これは、改正前から義務であった674物質もほとんどここに入るからです。
そして、表を見てもらえばわかるのですが、化学物質の場合どうまとめるかとか、CASで数えればどうなるのかなどで違う場合もあります。 - 令和8年(2026年)4月1日に義務化されるExcelには、
労働安全衛生規則別表第2の物質 779物質(番号が振ってある数)
この説明としては、健康有害性のカテゴリーで区分2以下又は物理化学的危険性の区分に分類された約850物質を義務対象に追加予定。
とあります。
ここも50物質増えてるぞと思われるかもしれませんが、まあ色々あるんでしょう。
ということで、表に振ってある番号の数だけ足すと、2550物質になります。
なんで、約2900物質なんだよという話は、もうやめましょう(^^;。化学物質の数え方って本当面倒くさいです。
令和9年(2027年)以降はどうなるのか?
令和8年(2026年)4月1日までに義務化される物質は、色々あるもののExcelをちゃんと見ればわかります。
では、さらに先はどうなるのでしょう。
このシリーズの最初の記事、労働安全衛生法関連の規則改正についてで紹介した職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会の報告書には、
以下の図が載っています。
厚生労働省 職場における化学物質等の管理のあり方に関する検討会報告書より引用
この図の説明について、
令和2年度までに分類済みの物質( すでに義務化されている物質、環境有害性しかない物質等を除いた 約 1,800物質)の義務化(令和3~5年度)
となっているのですが、この部分が上で説明した内容なので、義務化の時期は3年ほどずれていることになります。
実際には令和3年(2021年)からも国によるGHS分類の作業は続いているでしょうから、新たに危険性・有害性情報が判明した物質については、令和9年(2027年)以降(さすがに、令和8年以前に足されることはないよな?)毎年足されていくことになります😱。
どれだけ足されるのかは、国が分類するといってもシンクタンクに投げるんでしょうから、多分予算で決まります(^^;。
次回もラベル表示・SDS交付による危険性・有害性情報の伝達義務の話
いや、もう管理人、ここまで読み考えるだけでまた頭がくらくらしています。
何せ、管理人はラベルもSDSも作ったことはありません。それに受取った回数も数えるほどです。というか、チェックのために見たという感じです。
実は上で説明したExcelには、
労働安全衛生法施行令別表第9及び労働安全衛生規則別表第2に掲げる物質の裾切値は、まだ案で裾切値を定める告示が公布された時点で更新されるとあります。
従って、伝達義務に必要十分な情報は、令和7年(2025年)4月1日、令和8年(2026年)4月1日施行の物には足りないということになります。
ですが、物質はわかっているので用意はしておかねばなりませんし、義務化される時期も物質によって違っているので、どうするんだということもあると思います。
管理人も勉強しながら続けます。1回、1回の記事の内容が薄かったり短かったりするのはご容赦ください。
更に、間違いがあれば指摘していただけると助かります。
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