循環経済(circular economy)と製品化学物質管理の10回目です。
今回も、循環経済対応の製品含有化学物質管理 ディスカッションペーパーの続きで、4.4 リバースサプライチェーンのリサイクルにおける製品含有物質管理からになります。
対象プロセスに関しては、循環経済(circular economy)と化学物質管理(その7)に書かれた図をご覧ください。
それと、文書はお手元にある前提で、管理人の考えも書いてありますのでご注意ください。
では行ってみましょう。
4.4 リバースサプライチェーンのリサイクルにおける製品含有物質管理<対象プロセス:4a>
この中には、以下の4項目があります。
4.4.1 プラスチックのマテリアルリサイクルにおける製品含有化学物質管理
4.4.2 プラスチックのケミカルリサイクルにおける製品含有化学物質管理
4.4.3 金属のリサイクルにおける製品含有化学物質管理
4.4.4 古紙のリサイクルにおける製品含有化学物質管理
要は、代表的なリバースサプライチェーンの例を挙げてそこで必要な管理項目や注意点が挙げられています。
4.4.1 プラスチックのマテリアルリサイクルにおける製品含有化学物質管理
この項目は、たった一行、自社製品等のマテリアルリサイクルについては、4.2.1参照とのみ書いてあります(^^;。
4.2.2 プラスチックのケミカルリサイクルにおける製品含有化学物質管理
この項目には、まずケミカルリサイクルでは化学物質が変化してしまうこと、その際、気を付けなければいけない物質がどの程度除去されるかもしくは反応して残ってしまうのかよくわかっていないことが書かれています。
化学的処理の場合、そのプロセスからこういった物質は分離される可能性が高いとは考えられるものの、正確には判っている例が少ないということでしょう。
また、製品の製造までに使用されてきたサプライチェーンの製品化学物質情報が、ケミカルリサイクルの場合直接は役に立たないことになります。
4.4.3 金属のリサイクルにおける製品含有化学物質管理
金属は、鉱物から素材にする場合は不純物の管理などは通常行われている。
金属は、融点が高いためリサイクルの際、含まれている有機物は燃え尽きてしまうので、不純物としてあまり考慮する必要はない。
ここまでは、その通りですね。
文書では、電炉の例が記載されているのですが、、金属リサイクルにおいては、スクラップを使用するため他の金属や別の元素が不純物として入る可能性があることが記載されています。
従って、品質においても鉱物から製造するものと全く同一にならない場合があるのが事実だと思います。もちろん、化学物質と品質の特性さえ満たせば使えばいいと思うのですが、特殊な場合使えない場合もあると思います。
4.4.4 古紙のリサイクルにおける製品含有化学物質管理
この部分は、「製品含有化学物質の管理及び情報伝達・開示に関するガイダンス 輸送包装(第3版)」を参考に段ボールの製造工程を例にやたらと詳しく書いてあります。
更には、日本製段ボール原紙メーカーのライナと中しんの4重金属濃度の表まで載っています。
注意点としては、段ボールを製造する際に新たに加えられる薬品や海外の古紙や段ボールを使用際には注意が必要と書いてあります。
4.5 部品再利用、再製造における製品含有化学物質管理<対象プロセス:4b>
この中には、以下の1項目のみです。
4.5.1 製品の回収、部品の再利用、製品の再製造における製品含有化学物質管理
4.5.1 製品の回収、部品の再利用、製品の再製造における製品含有化学物質管理
ここでは、製造メーカーが自社の製品を回収してメンテナンス、再利用などする場合は、化学物質の情報を持っているのでリスクは低いが、サードパーティのメンテナンスや純正部品以外の部品への交換などがあると、材質や化学物質が異なる可能性がありリスクが高まることが書かれています。
まあ、そりゃそうですね。
製造メーカーは、自社の部品じゃないものは判るでしょうから、リスクを下げるため必要に応じて取り除いてしまうことになると思います。
次回で終わりにしたい
次回は最後に残った、4.6 サーキュラリティ向上のための製品含有化学物質管理<対象プロセス:5>の部分です。
この部分は、結構重要なことが書かれており長さも長いのですが、次回で終わりにしたいところです。
コメント