chemSHERPAデータ作成支援ツールV2R1_beta3 変化部分をチェック(その2)

広告
「スポンサーリンク」

2024年6月14日にchemSHERPAデータ作成支援ツールV2R1_beta3 として試行版が一般公開されました。

使用条件や制限などは、chemSHERPAデータ作成支援ツールV2R1_beta3 (サンプル同梱)が試行版として一般公開されましたをご覧ください。

今まで、画面の比較をして違いを確認したり、データを作成してみたりしましたが、7月末で使用できなくなるので、最後にもう一度だけ変化部分について気が付いた部分を見ていきたいと思います。

今回の記事ではサンプルデータを開いたファイルで解説しています。

広告

chemSHERPA V2R1は何が変わったのか?

chemSHERPA V2R1がどのような背景で作られて、どの様な仕様になっているのかということは、昨年11月に公開された【一般公開】chemSHERPAツール V2R1説明会_録画公開のお知らせにある、説明会の動画コンテンツと説明資料を見ると分かるようになっています。

ただ、これだけを1回見てもよくわからないので、chemSHERPAデータ作成支援ツールV2R1_beta3が公開されたのを機に自分で使っても見て多少説明してきました。

過去記事と重複部分もありますが見ていきましょう。

部品の多階層表現

chemSHERPA-AIの成分情報に今まであった、階層という項目が無くなり、項目名は部品から始まるようになりました。

その代わり、部品の項目の中に構成番号という項目が追加されています。

図1 chemSHERPA-AI Ver.2.09でWireのサンプルデータを開いた成分情報画面
図2 chemSHERPA-AI V2R1.00.1でWireのサンプルデータを開いた成分情報画面

構成番号は、組立系の製品におけるBOMの階層の深さにあたるものになりますので、そのほうがわかりやすい人がいるかもしれません。

全成分情報の伝達の追加

今までのchemSHERPAは、成分情報においては管理対象物質のみが必須伝達項目でした。それ以外は任意だったわけです。

しかし、V2R1においては、成分情報の伝達に全成分(FMD)を選択できるようになりました。ちなみに、FMDはFull Materials Declarationの略です。

図3 chemSHERPA-AI Ver.2.09でWireのサンプルデータを開いた基本情報画面
図4 chemSHERPA-AI V2R1.00.1でWireのサンプルデータを開いた基本情報画面
(全成分(FMD))が選択されている

全成分(FMD)の情報伝達は、今までのchemSHERPAの仕様より情報伝達項目が多くなってしまうので、工数負担が増えることは明白です。

本当に、全成分(FMD)が必要なのかよく考える必要があります。ただ、自動車業界と付き合っている方は、自動車業界の標準であるIMDS、GADSLが全成分開示ですので(chemSHERPAがそれに合わせている)そうせざるを得ないでしょう。

全成分(FMD)を簡単にするために、疑似物質やMISC(何にでも使えるワイルドカードのようなもの、まだ仮称)が、導入されます。

図2においてはSN9001と表現されており、成分情報は合計で100%になっています。

全成分(FMD)の際にどのように記述するかは、色々なバリエーションが存在し、一意にはならないでしょう。

CI(化学品)のファイルをAI(成形品)条件付きだが取り込める

今まで、さんざん要望があったと思われる、CIのファイルをAIで取り込むことことができるようになりました(特定の材質に対してという制限付き)。

これは、データ作成者にとっては、データの書き写しという今までの面倒さが解消されるので画期的です。

これに伴いCIの方では変換物質という項目が追加されました。これは、後工程によっては揮発したり、反応したり析出したりで変化が伴う可能性があるものを予めお知らせしとくという機能です。

図5 chemSHERPA-CIーV2R1.0で開いたSHCI_AIIN_V2ex_sample.shci成分情報画面

図5は、溶剤であるトルエンは揮発するものですよと言うことがお知らせされています。

このファイルを受領した側では、AIで引用する際、自社内の工程で溶剤が揮発してしまうのであれば、引用項目から削除が可能です。この行為は、あくまで受領側、自社の工程でどうなるかを判断して行わなければなりません。

管理対象候補物質が管理基準化される

chemSHERPAの管理対象物質は、規制が公表されていても規制の施行前は、管理対象物質に入れられないルールでした。

しかしながら、公表された規制物質への調査は、各社で行われているのが実際です(そうしないと対応が間に合わない場合もある)。当然各社様式が異なるので、面倒な状態になってしまいます。

そこで、V2R1では、この規制施行前で公表されている物質を管理対象候補物質として管理基準に組み込まれることになっています。

でもなあ、規制が公表されているってどの段階を言うんだ?実際の調査ってかなり前から行われている気もするのだが、そうなると個社様式の調査はなくならないだろうなあ。

実際のところは、顧客との契約でどうにもならないのかもしれませんが、調査が本当に必要かを考える力を持つことの方が重要だと管理人は考えます。沢山調査したって、儲からないよ(^^;。それにリスクが0にもなりません。

ツールがオンラインで更新可能になった

今まで、chemSHERPAのデータ作成支援ツールは、Ver.が上がるたびにいちいちDLして再導入しなければなりませんでした。

これが、V2R1ではオンライン上で行えるようになります。
この点は、chemSHERPAデータ作成支援ツールV2R1_beta3 (サンプル同梱)が試行版として一般公開されましたで、実際の画面とともに説明していますので、そちらをご覧ください。

chemSHERPAデータ作成支援ツールV2R1_beta3 についての感想

chemSHERPAデータ作成支援ツールV2R1_beta3 についていくつか記事を書いてきましたが、2024年7月31日までしか使えませんので、色々試したい方は今のうちです。

このシリーズもこの記事で終わりです。

chemSHERPAデータ作成支援ツールV2R1について、無限階層が取れるようになったことと、CIのデータをAIで取り込めるようになったことは、良いのではないかと思います。

管理人個人としては、変換物質の項目っているのかなとは思いますが、仕方ないのかもしれません。
内心、自社の工程で何が起こるのかも知らんのかいというツッコミを入れたくなる管理人です。

一方、全成分(FMD)が追加されたことによる弊害は、二つのフォーマットができたようなものなので、面倒くささが増えるでしょうね。

きっと、川中の人たちって、全成分(FMD)のデータを持っておいて、通常の成分情報しかいらないところにはデータを削除して渡すか、全成分(FMD)をそのまま渡すかしてしまいそう。

どちらにしろ9月にはV2R1がリリースされるでしょうから、慣れていくしかないのでしょうが、しばらく混乱しそうですね。

広告
chemSHERPA
「スポンサーリンク」
シェアする
OFFICE KSをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました