もう昨年度の話なので、少し古いのですが、2024年3月11日に産業構造審議会製造産業分科会第11回化学物質政策小委員会 令和5年度第1回化学物質審議会 合同会議(なげーよ!名前!)が開催されています。
その中にいろいろと資料があるのですが、いくつか興味深いものがあるので見ていきましょう。
どんなことが議論されているのか
この会議の資料は9つあり、さらには参考資料が3つと議事要旨と議事録が存在します。
資料1 議事次第(PDF形式:55KB)
資料2 委員名簿(PDF形式:85KB)
これらは形式的な資料ですが、どんな方が委員となっているのか確認するには良いかもしれません。
資料の中で製品化学物質にとって重要なのは、以下の3つでしょう。
資料3 化学物質管理に関連する国際動向等(PDF形式:1,075KB)
資料8 化学物質に関する情報伝達の取組(PDF形式:1,557KB)
資料9 化学物質審議会の審議状況等(PDF形式:366KB)
もちろん、それ以外の資料も重要ですが、当ブログの読者に密接に関係するのはこの3つです。
資料3 化学物質管理に関連する国際動向等の概要
「資料3 化学物質管理に関連する国際動向等の概要」には、日本の法律と国際条約の関係が書かれており、「化学物質管理課所管法令と国際条約」についてや残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)についての現在の状況が書かれています。
他には、SAICM(国際的な化学物質管理に関する戦略的なアプローチ)の後継としての、「化学物質に関するグローバル枠組み(GFC)―化学物質や廃棄物の有害な影響から解放された世界へ」が2023年9月に採択されたこととその内容が書かれています。
更に「水銀に関する水俣条約」及び水銀汚染防止法に関して比較的多くの枚数が割かれています。
資料8 化学物質に関する情報伝達の取組
「資料8 化学物質に関する情報伝達の取組について」には、CMP(仮称)構想についてが書かれています。
CMPって何のことなのかと思いましたが、
Chemical and Circular Management Platform
次世代製品含有化学物質情報・資源循環プラットフォーム
のことだそうです。
要は、今までの化学物質の情報伝達の欠点や充足されていない部分である
- 法改正があるたび再調査が行われることに対する問題解決
- リサイクル情報などサーキュラーエコノミー、資源循環実現のための情報の可視化
についてプラットフォーム化して、上流からブロックチェーンで情報が流れてくるようにする仕組みです。現在のような、下流からのバケツリレー方式ではなくなるため、本当にできたら情報伝達の負荷は相当軽くなります。
実際には、資料を見ていただきたいのですが、現在策定が進んでいる国際規格、IEC/ISO 82474、Material Declaration(資源循環情報を含む)に対応することも目標になっています。
多分、構想的にはすごくきれいでかっこいいですが、実際にやろうと思うと結構とんでもなく大変そうです。
特にリサイクル情報などは、現実に行われていることを考えると机上の空論になりかねません。情報あっても現実には使えないということはありそうなことです。
これから開発してくのでしょうから、管理人は確実に完全引退しているのであんまり追う気にもならないですが、今現役の方は今後どうなるのか情報は入手しておくべきでしょう。
資料9 化学物質審議会の審議状況等
「資料9 化学物質審議会の審議状況等」については、POPs条約を受けて、化審法においてどのような措置がなされたか書かれていますので、参考になるでしょう。
法第24条第1項に規定する当該化学物質が使用されている製品で輸入してはならないものは、
デクロランプラス、UV-328、PFOAの異性体又はその塩、ペルフルオロオクタン酸関連物質について記載があります。
法第25条に規定する当該化学物質が使用できる用途、法第28条第2項に規定する技術上の基準に従わなければならない当該化学物質が使用されている製品の記述もあります。
議事録
この会議の議事録も当然ですが、既に掲載されています。それを読んでみると、資料8のCMPに対する期待と懸念については、結構書かれています。
ここから先は、管理人の個人的感想です。
化学物質だけでもブロックチェーンで情報が伝達されればそれだけでもかなり負担は軽くなると思っています。
ただ、それだけであっても、日本のメーカーだけでなく輸入品に対する情報付けやすべての原材料加工製造メーカーでの入力は必須になるので、今以上に教育や普及・啓蒙が必須になり、長い期間を要しそうです。
管理人は、完全リタイアしていると思いますので、遠くから眺めるだけになるでしょう。
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