小林製薬の紅麹サプリを摂取した人に、腎臓への障害が発生し、因果関係の可能性のある死亡者まで出ている事件は、機能性表示食品に大きな問題が投げかけられています。
小林製薬は、2024年3月29日、厚生労働省に製造時に意図せず含まれていた物質が「プベルル酸」の可能性があると報告したと明らかにしました。
いやプベルル酸と言われましても、何ですかそれ状態だったので、今回少し調べて急遽記事にしてみました。
化学物質管理の話の記事としてふさわしいかどうかは、別ですが世間に大きな影響を与えているので、、。
プベルル酸とはどんな物質なのか?
まず、プベルル酸の化学構造ですが以下のような形をしています。
プベルル酸は、以下のような構造式を持った化合物です。
また、その物理的、化学的性質はネットでも情報が少ないのですが、以下の通りです。
ただ、Wikiには今まで記載がなかったと思うのですが、いきなり出ています。(Wiki プベルル酸)
化学物質名:puberulic acid
これは、いわゆる慣用名で正式名称は異なります。
3,4,6-Trihydroxy-5-oxo-1,3,6-cycloheptatriene-1-carboxylic acid
和名:プベルル酸
別名:1,3,6-Cycloheptatriene-1-carboxylic acid, 3,4,6-trihydroxy-5-oxo-
化学式:C8H6O6
分子量:198.13
CAS RN:99-23-0
色形状:微黄色
比重:2.069
融点:316-318°C (不確か)
化学構造的には、トロポロンの誘導体とも考えられます。
この構造を持つ天然物は結構ありヒノキチオールなんかもこの誘導体です。
プベルル酸の毒性は判っているのか?
次にプベルル酸の毒性なのですが、管理人、生理学にも毒性学にも全く詳しくありません。ですので、ネット情報の受け売りです。
この物質は、強い抗マラリア作用が知られています。このことは、PubMedCLOUDで文献検索をかけると比較的すぐに分かります。
もう一つとして、Wikiからの情報で、生体内での毒性も高く、マウスを用いた評価では、5mg/kg×2回の皮下投与で5匹中4匹のマウスが3日目までに死亡しているという報告があります。
例えば、比較として青酸カリは経口致死量は成人の場合200 – 300mg/人と考えられているので、人に対して5mg/kg程度でしょう。マウスと人では耐性も異なるので実際にはわかりませんが、毒性が弱いとは言えないかもしれません。
ただ、プベルル酸の毒性の作用がどのようなものか詳しくはわかっていないようです。
今回の場合サプリメントとして、反復定常的に摂取していることから、ある程度毒性があれば健康被害にいたる可能性は否定できないとは思います。
そのため、小林製薬と国は今後、動物実験などで毒性を評価していく方針という情報が流れているのだと思います。
機能性表示食品、、、
機能性表示食品は、特定保健用食品と違って、事業者の責任で、科学的根拠を基に商品パッケージに 機能性を表示するものとして、消費者庁に届け出られた食品を言います。
特定保健用食品の場合は、国にデータや文献などを提出して、審査してもらい消費者庁の許可を受けた食品になります。
ですので、この二つの間には大きな隔たりがあります。
機能性表示食品は、事業者の責任で科学的根拠となるものを届出さえすればいいものなので、ある意味自由に機能を書くことができいるということになります。
届出が必要なので、その指導に従って会社は通常厳しい内部規定を設けていると思いますが、事業者が決められるので各社で差があるとは思います。
一応認識しておきましょう。
コメント
当初シトリニンが出た際
工程上の汚染物質としてシトリニンが出たのか
紅麹の中にはシトリニンを発生させるものもあるので
小林製薬の紅麹そのものがアウトなのか分からん
工程ライン検査したらわかるけど
小林製薬の紅麹工場廃棄されてて分からん
って状態だったのが
なんかプベルル酸ってマニアックな物質がでた
これの健康被害なのかは分からん
でも、こいつシトリニンと違い、青カビから生まれるぞ
って事は工程上の汚染で確定じゃね?
(健康被害の原因がプベル酸かどうかは分からんが、少なくとも工程に青カビは出てる)
って事なのかな?と思いながらニュースを観てます
科学屋としては「原因物質は何なのか?」に拘りたくはありますが
原因推理としては「原料からの非意図的発生なのか?」「工程汚染なのか?」が判れば
それはそれで一歩前進なのかな?と
パンダ様、コメントありがとうございます。管理人です。
管理人は、「原料からの非意図的発生なのか?」「工程汚染なのか?」ニュースやネット情報だけでは判然としてないんですが、工場の老朽化の話はかなり出てますね。
プベルル酸と腎臓障害の関係もこれから実験するんでしょうし、まだまだやることは多そうですね。