PFAS関連の国内における措置に関しては、当ブログでは情報は頻繁には出してきていませんでした。
しかしながら、POPs条約で廃絶や制限になるものがPOFS以来、PFOA、PFHxSと増えていっており、今後も増えると予想されます。
日本におけるPFOAについては、過去に2020年9月28日「PFOAとその塩および関連物質の化審法での取り扱いについて」、2021年4月23日「化審法施行令の一部が改正され「2・2・2―トリクロロ―1―(2―クロロフェニル)―1―(4―クロロフェニル)エタノール」及び「PFOA又はその塩」が第一種特定化学物質に指定されました」を書いてきました。
PFASの件が日本国内でも騒がしくなりつつあるので、少し追ってみようと思います。
POPs条約と化審法の関係
この部分は、復習です。
残留性有機汚染物質(POPs:Persistent Organic Pollutants)に関するストックフォルム条約(通称POPs条約)の附属書A(廃絶)附属書B(制限)になった物質は、日本においては化審法の第一種特定化学物質に指定されます。
日本はPOPs条約に批准していますので、その受け皿になっている法律が化審法になります。
ペルフルオロオクタン酸(PFOA)関連物質等の措置
2024年2月1日に「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律におけるペルフルオロオクタン酸(PFOA)関連物質等に係る措置(案)」が発表され、1カ月間の意見募集が行われました。
POPs条約においてペルフルオロオクタン酸(PFOA)とその塩及びPFOA関連物質が附属書A(廃絶)に決められたのは、2019年なのでこの物質全体の措置を決めるまで、長い時間がかかっていることになります。
一応、意見募集は行われていますが、この案を作るまでに、経済産業省は多くのことをやってきていると思うので、ほとんど変更は無いでしょう。
なので、案を読んでいただければいいのですが、何が書かれているだけは見てみましょう。
書かれていることは主として4項目です。
- 製造・輸入の原則禁止
- 使用する製品の輸入を禁止
- 認められた用途(エッセンシャルユース)以外での使用の禁止
- 使用された一部の製品について取扱いに係る技術基準を設定
ということで、厳しく管理されることになります。
- 製造・輸入の原則禁止は、ペルフルオロアルカン酸(構造が分枝であつて、炭素数が8のものに限る。)又はその塩とその塩及びPFOA関連物質が第一種特定化学物質になることを指示しています。従って、これらの化学物質の製造、輸入にあたっては許可を必要とすることになるのですが、まあ許可は下りないでしょう。
- 使用する製品の輸入を禁止の部分を読むと、使用されている物質と製品が並んでいます。
それじゃあ、ここに書かれていないものに使用された製品の輸入はOKなのねと言う疑問が生じます。
ですが、ここに書かれていない製品に使用されている確率は非常に低いです。というのも、何に使われているのかを製造業の人たちに調査した結果を基に決められているからです。
ですが、本当にここに書かれていないものに使用されていた場合、その時点では規制違反にはなりません。
ですが、使用されていた製品がわかった時点で、経済産業省に報告する対応が必要です。過去には、その報告によって、禁止する製品が追加された事例があります。 - 政令で指定された用途(エッセンシャルユース)以外の使用の禁止については、「ペルフルオロアルカン酸(構造が分枝であつて、炭素数が8のものに限る。)又はその塩」には、エッセンシャルユースが認められていません。
一方、PFOA関連物質については、以下の物質が以下の用途で認められています。いずれも医療用途に起因するものです。
・1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8-ヘプタデカフルオロ-8-ヨードオクタン(別名ペルフルオロオクチル=ヨージド)が医薬品の製造を目的としたペルフルオロオクチル=ブロミド(PFOB)の製造のためのペルフルオロオクチル=ヨージド(PFOI)の使用
・3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデカン-1-オール(別名8:2フルオロテロマーアルコール)が侵襲性及び埋込型医療機器の製造を目的としたペルフルオロオクチルエチルオキシプロピル=メタクリレート(PFMA)の製造のための8:2フルオロテロマーアルコール(8:2FTOH)の使用 - 取扱い等に係る技術上の基準の設定は、消火器、消火器用消火薬剤及び泡消火薬剤に対して設定されており、それに従わなければなりません。
PFOA の異性体又はその塩及び PFOA 関連物質に関する BAT 報告書の事前相談について
2024年2月16日に経済産業省から「PFOA の異性体又はその塩及び PFOA 関連物質に関する BAT 報告書の事前相談について」という文書が発表されました。
BAT(Best Available Technology/ Techniques)とは以下のようなものです。
他の化学物質を製造する際に副生される第一種特定化学物質について、「利用可能な最良の技術
PFOA の異性体又はその塩及び PFOA 関連物質に関する BAT 報告書の事前相談について
(BAT:Best Available Technology/ Techniques)」の原則、すなわち第一種特定化学物質
を「工業技術的・経済的に可能なレベル」まで低減すべきとの考え方に立ち、副生される第
一種特定化学物質による環境汚染を通じた人の健康を損なうおそれ等がなく、その含有割
合が工業技術的・経済的に可能なレベルまで低減していると認められるときは、当該副生成
物を第一種特定化学物質として取り扱わない
この文書には、P.3-20まで延々化学物質が記載されているのですが、それらが副生成物として含有されている化学物質について、BATの事前相談を受けますということとコンタクト方法が書かれています。
これ以外の規制について
今後化審法以外の国内での規制についても機会があれば書いていこうと思います。
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