前回は、厚生労働省版コントロール・バンディングを使ってリスクアセスメントはどのように行うのか実際にやってみました。
今回は、他のツールに関する多少の解説です。何せ管理人、ほぼリスクアセスメントツールを使ったことがありません。
そんな奴の説明、誰が読みたいんじゃということだと思います。とはいえ無視するわけにもいきません。
従って、本記事はリスクアセスメント支援ツールのあるページの厚生労働省作成のツールについてほんの少し説明を加えるだけになります。しかも、中級レベルのやつにはろくな説明もありません。ご了承ください。
また、労働安全衛生法関連の規則改正について(8)で書いたように厚生労働省以外の研究機関等で開発された支援ツールの記載もあるのですが、管理人にはついていくことができないレベルなので今回省略させていただきます。
初級ツール
まず最初は、化学物質に関する知識があまりなくても比較的簡単に実践できる初級ツールについてです。ただし、厚生労働省版コントロール・バンディングは、前回使用していますので省略します。
爆発・火災等のリスクアセスメントのためのスクリーニング支援ツール
SDSが公布される化学物質を取り扱う場合、有害性だけでなく危険性(化学物質に起因する爆発・発火など)についてリスクアセスメントを実施することが求められます。
従って、厚生労働省版コントロール・バンディングだけのリスクアセスメントだけでは、不十分なこともあります。
このツールは、危険性に関するリスクを知るツールで、はい、いいえだけで答える簡単なシステムであり、SDSに記載のGHS情報を活用しているため、危険性に関する専門的な知識があまりなくても利用可能というのが特徴です。
ただし、代表的な危険性だけを対象としているため、全ての危険性に対応しているわけではないことに注意しましょう。
前回使用した接着剤は、引火性液体に当たるので、事業として実施する場合、本来ならばこの爆発・火災等のリスクアセスメントのためのスクリーニング支援ツールによるアセスメントも必要なことになります。
試しに軽くやってみましたが、それほど難しくはないと思います。
作業別モデル対策シート
こちらは、専門性よりも分かりやすさや簡潔さを優先させ、チェックリスト、危険やその対策(リスク低減措置)を記載したシートになっています。
専門知識が無くてもチェックリストに答えていき、代表的なリスク低減措置の中から必要に応じて対策するということになります。
大きな特徴として、作業工程別にチェックシートがあるということで、各種印刷、接着、塗装、めっきや研削・研磨などの他、ネイル作業も含まれているのが面白いと思いました。全部で25作業あります。
その他に、換気や保護具などの共通シート4種類と作業別モデル対策シート(まとめとひな形)があります。
CREATE SIMPLE
CREATE-SIMPLE(Chemical Risk Easy Assessment Tool, Edited for Service Industry and MultiPLE workplaces)は、サービス業などを含め、あらゆる業種にむけた簡単な化学物質リスクアセスメントツールです。
ってこじつけすぎだろ(とはいえ良くある)。
上に述べてきたツールと異なり、ばく露限界値の値が必要ですし、作業条件なども多少細かく必要ですが、有害性だけでなく危険性も評価でき、より広い範囲の事業者で使用できるツールになっています。
その特徴は、
厚生労働省HPより引用
- 労働者の化学物質へのばく露濃度等を測定しなくても使用できる。
- 大量(数kL、数トン)から極少量(数mL、数g)まで幅広い化学物質取扱量に対応
- 選択肢から回答を選ぶだけで、簡単にリスクを見積もることが可能。
- リスク低減措置の検討も支援しており、どこを改善すればリスクが下がるかが確認可能。
- 厚生労働省版コントロール・バンディングでは考慮していない作業条件(換気や作業時間、作業頻度など)の効果も反映。
- 吸入による有害性リスクだけではなく、経皮吸収による有害性リスクや危険性についてもリスクの見積もりが可能。
また、注意点もあって以下のようになっています。
厚生労働省HPより引用
- 短時間のばく露による健康影響は対象外。
- 何らかの理由によりばく露が大きくなるような作業については、リスクを過小に見積る可能性がある。
- 危険性については、プロセスについては対象外としており、化学物質が潜在的に有する危険性に気づくことを主目的にしているため、プロセスで用いる場合などは、労働安全生成総合研究所が作成した「安衛研 リスクアセスメント等実施支援ツール」などをご利用ください。
管理人、CREATE-SIMPLEの使い方をやるつもりはないですが、DLして立ち上げると以下のような画面が出てきます。
そして、最近のPCではセキュリティが強化されていて、通常マクロが実行できない状態になっている方が普通だと思います。
そこで、ここに書かれている方法でマクロを有効にする必要があります。
9列目にあるファイルを右クリックは、DLした
のファイルのことです。
検知管を用いた化学物質のリスクアセスメントガイドブックおよびリアルタイムモニターを用いた化学物質のリスクアセスメントガイドブック
これらの二つのリスクアセスメントガイドブックは、実際の計測によってリスクアセスメントを行う際のガイドです。
従って、検知管やリアルタイムモニターの計測計などでターゲットとなる化学物質が測定できる場合には、精度の良いリスクアセスメントが可能になります。
ただし、全部の物質に対して検知管やリアルタイムモニターがあるわけではありません。
業種別のリスクアセスメントシート
ここには、代表的な三つの工程である、
- 工業塗装
- オフセット印刷、グラビア印刷
- めっき
に対するアセスメントシートが載っています。プロセスがわかっている場合に当たるので、かなり細かなチェックとそれによるリスクの見積もりが行えます。
厚生労働省以外の研究機関等で開発された支援ツールについて
上にも書きましたが、この領域になると管理人にはついていけないというか、ちゃんとした知識がないので省略します。
そして、次回(来年)からは、リスクアセスメントツールではなく、それに付随して行わなければならない項目についてのお話に移ります。
ただし、来年以降、この労働安全衛生法関連の規則改正についてのシリーズの中で、(一社)産業環境管理協会(JEMAI)で開発された、リスクアセスメントツールTRA_Linkについては可能な限り早期に解説予定です。
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